必然は偶然、偶然は必然 第九話

‘ズザザッ!’
「ぐっ・・・ル、ルーク・・・何を・・・」
「何を?」
操作板の前から殴り飛ばされたヴァンは地面から身を起こし今更ながらに敵意を隠しながら正気を問うが、ルークはそれこそ心外だと薄ら笑いを浮かべて首を傾げる。
「殴ったんですよ。その程度の事もわからない位に頭おかしくなっんですか?俺をレプリカだって覚えてるくらいには知能が残ってるのに、おかしいですね」
「っ・・・貴様・・・!」
その顔のまま嘲りを存分に含ませ返せば、ヴァンは話の中身に何かハッとして良い師匠の顔を捨て苛立ち立ち上がろうとする。
「勝手に起きないでくださいよ」
‘ゴッ!’
「がっ・・・!?」
だが体勢の悪さに少し離れた所にいたイオンが距離を詰め杖を振り抜くと、ヴァンはまた顔面に手痛い一撃を喰らい上体を再び地面にぶつける。
「よーし、綺麗に決まったなぁ」
「はい、スッキリしました」
「・・・ぐ、ぐぐぐ・・・き、貴様ら・・・どういうことだ・・・」
それを見ながらルークはイオンの隣に行き爽快な笑顔を浮かべると、イオンもまた爽快な笑顔で返す。だがタフなヴァンは顔にキズがつき鼻血を流しながらもまた上体を起こし起き上がり、いきなりの連携を見せた二人に不可解だと言わん声を敵意をぎらつかせながら向けてくる。
「・・・様子を見てはいたが、無事のようだな」
「おっ、クラトス。すまない」
「・・・っ!?」
だがタイミングを見図ったかのようクラトスが二人の元まで駆け付け、ルークが軽い笑みで手を上げ迎えればヴァンは意外そうに目を見開く。
「別に構わない。それより今はこの男をこの場から逃がさない事が重要だ」
「そうですね、ではきっちりここでカタをつけておきましょう」
「・・・くっ・・・!」
クラトスはなんてないと言いつつも始末を口にすればイオンも同意し、ヴァンは焦りながら急いで身を起こし剣を抜きながらも3人から距離を取る。
「・・・なっ!?どういう状況だ、これは!?」
「アッシュ!?何故ここに来た!?」
「・・・はっ!お前の大切な妹も連れてきてやったぜ!」
「兄さん!」
・・・3対1、その構図で一気に戦いが始まる。そう思える空気の中で唐突に乱入してきたアッシュの動揺の声にヴァンも動揺し、アッシュはその様子にまた無駄に偉そうに務めだしティアが悲壮そうな声を上げてくる。そしてよくよく見れば後ろにはアニスと、冷静な様子を浮かべるセネルとディムロス・・・その光景を見てルークとイオンの二人はひっそりと、口角を上げる。
「兄さん、ルーク!これはどういうことなの!?」
「くっ・・・ピィッ!」
‘クァァァッ!’
ティアは今の状況の訳を説明するよう叫んでくるが、ヴァンは続々人が集まるこの状況は良くないと感じたのか指笛を吹きグリフィンを呼ぶ。ヴァンは自身に来たグリフィンの足に掴まるが、イオンの元にもグリフィンが来るのを見て、
「閃空裂破!」
‘ギャアァァァッ!’
クラトスが飛び上がり閃空裂破でグリフィンを切り裂き、撃退した。
「・・・くそっ!導師だけでも確保しておきたかったが、この状況ではやむを得んか・・・」
「兄さん!」
「さらばだ、ティア!」
すぐさま目論見が崩れた事にヴァンは苦い顔をする中でティアはこちらに来てくれとの懇願の声を向けるが、ヴァンは捨て台詞を残し飛び去っていく・・・



・・・そして、後に残ったのはヴァンの企みを予想もさせない形で潰したルーク達とアッシュ達・・・








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