必然は偶然、偶然は必然 第九話

「そうだルーク、だから今このアクゼリュスを救えるのはその力を操れるお前だけだ。無論、いきなり使えと言われても無理があるから私が補助する・・・導師、私を信じてこの扉を開けていただきませんか?」
「・・・わかりました、貴方がそう言うなら」
そんなルークに安心するよう優しく言いつつもイオンにだからと扉を開けるよう繋げてヴァンが言えば、イオンはようやくその声に応じて扉に手をかざす。
‘・・・キィィィン!’
「・・・うっ・・・!」
「!イオン、大丈夫か!?」
ダアト式譜術を展開し封印された扉を開けたイオン。しかしダアト式譜術を使ったイオンは辛そうにハッと崩れ落ち、ルークはスッと肩に手をかけ訳がわからないと焦った顔を見せる。
「どうした、ルーク?」
「だっていきなりイオンが倒れるって、一体なんで・・・!?」
「・・・そうか、お前は知らなかったのか。導師はダアト式譜術を使うと体調を著しく崩すのだ」
「・・・そうなのか、イオン・・・?」
「はい・・・」
その様子にどうしたと問うヴァンに今回はまだ一回もダアト式譜術を使ってない為に知らないと焦った様子で言えば、ヴァンもそれに気付いたのかそのイオンの状態についての説明をする。ルークが改めて問えばイオンも辛そうに頷き、ヴァンはその様子に重く頷いて口を開く。
「ルーク、お前は導師に付いて私の後をゆっくり来なさい。無理をさせすぎてもよくはない」
「師匠・・・は、はい、わかりました」
その中身はイオンを労る物でルークは様子を見ろという物。普段なら断るだろう命令にルークは動揺していたのもあり、素直ながらもコクコクと二回頷く。それを見届けるとヴァンは歩調はゆっくりながらも、扉の開いた先へと歩き出す。その後に、ルーク達は寄り添うように近付いてゆっくり後を付いていくよう歩き出す・・・















・・・ゆっくりとしながらも先を進む一行。そのゆっくりとした歩みの終わりに、パッセージリングの操作板の前に既に立っているヴァンの後ろ姿を二人は目撃する。
「師匠・・・」
「来たかルーク・・・ではこちらに来なさい」
「はい・・・」
その後ろ姿に声をかければ早速本題とヴァンは振り向きながら自身の側に来いと言い、ルークはイオンから離れヴァンへと近付き寄る。
「何も緊張することはない、私の言葉に従うんだ。そうすればここの障気は消せる・・・」
「はい・・・」
それで自分の元に来た若干緊張気味のルークに、ヴァンは背後について落ち着かせようと優しい言葉を紡ぐ。
「さぁ、上に向かって両手をかざしなさいルーク・・・」
「はい・・・」



「・・・さぁ力を解放するのだ、『愚かなレプリカルーク』!」



・・・そして優しい指示の声からヴァンは人が変わったかのよう、悪意あるいやらしい笑みを浮かべルークへの暗示の言葉を放つ・・・が、
「・・・なんだ?何故、何も起きん・・・?」
暗示の言葉を放ったというのにルークには一切何か起きる気配もない。ヴァンはその様子に呆然と呟きパッセージリングを見上げていると・・・



「ぶっ飛べ髭親父!」



‘バキッ!’
「がぁっ!?」
・・・意気揚々。今まで貯めてたもの全てを爆発させ相当にいい笑顔でルークはヴァンに振り向き様、渾身の拳を相当な早さで振り抜き思い切りぶっ飛ばした。








6/14ページ
スキ