必然は偶然、偶然は必然 第九話

(・・・そろそろかな・・・?)
・・・所代わりデオ峠の中腹、休憩の形を取っていた一行の中でイオンはルークはそろそろ戻ってくる頃かなと考え出す。
「・・・待たせました」
「・・・?」
するとちょうどよく戻ってきたウッドロウが声をかけてきたのでそこにイオンが振り向くと、ルークとウッドロウの二人のみの姿しかなかった。イオンは首を傾げかけるがその気持ちを抑える。
「先を見てきましたが特には問題はありませんでしたので、もし休憩が十分と言うのであれば出発した方がよろしいかと思われますが・・・いかがされますか、導師?」
「・・・えぇ、ではそろそろ行きましょうか」
「じゃあ行きましょうかぁ、イオン様ぁ~」
そして問題ないからと出発を打診してきたウッドロウに、イオンは快く了承する。アニスがぶりっこしながら同意し周りもそれに呼応し、先に行こうと動き出す。
「・・・収穫はどうでしたか?」
「それは歩きながら話すよ」
そこからウッドロウの隣に立っていたルークの隣に行きボソッとイオンが呟くと、進行方向に向き直り速度を合わせて歩き出したルークが歩きながらと小声で呟く。












・・・そして特に問題が起こるでもなく先を進んでいく一行。
「・・・成程、だからリグレットもアリエッタも二人には付いてこなかったんですね」
「そゆこと」
デオ峠も終わりに差し掛かる少し前になった所で、ルークの説明を聞いたイオンは納得した。ハロルドも聞き耳を立てれば聞こえるというくらいの少し前の位置にいる。
「まぁさっきの説得の後ですぐにこっちに連れてきたってリグレットに対してならティアはまだ戸惑いながら歓迎はしても、他のメンツは程度の差はあれ拒否すんのが目に見えてるからな。アリエッタなんかもっての他だ。んな状況で当たり障りなく投降した訳話すなんて出来る訳ねーし、説得の時間もそんなにねーから二人にはより良く後々進める為にも俺の考えた手順を踏んだ後で合流って事で話をつけたんだ」
「・・・それが妥当な所でしょうね」
「でもそんな流れをウッドロウが話してる間にあんた考えてたんでしょ?やるじゃない」
「・・・アリエッタが付いてくるっていう嬉しい誤算が付いてきたからな。どうにかうまくいかせるために必死に頭回転させたんだから成功してもらわなきゃ困るんだよ。こっちは」
そこで二人の事を考えた上で行動を指示したという中身にイオンはまた納得の声を上げハロルドからはお褒めの言葉が出てくるが、ルークは自分なりにうまくいくよう絞り出したんだと真剣に返す。
「まぁあんたがそんな風にするようにしたってんなら私はそれでいいと思うわ。ただそうするにしても次が重要な事には変わりないわよ」
「・・・あぁ、わかってるよ・・・ここでとちったら何のために動いてるのか、分かんなくなりそうだからな・・・絶対に落とさねぇよ・・・」
「ルーク・・・」
「・・・聞くまでもなかったわね」
その声にハロルドはお墨付きをしながらも次が大事と返せば、ルークは苦々しげにしながらも重々しい決意を覗かせて返し、その様子にイオンもハロルドも不必要な言葉を挟むことが出来なかった。



・・・ルークにとって今もアクゼリュスを落とした事は罪を忘れる事の出来ない最大最悪の事件だ。あの時は何も知らずに状況に流されるがままに動いてしまい、セフィロトのパッセージリングを壊すような事態に陥らせてしまった・・・その事は幾年が経っても忘れることが出来なかったし、忘れようとすることなどルーク自身到底許せる物ではなかった。故に二度目となるこのアクゼリュス救援は絶対に失敗出来ないししたくない、過去の罪の減刑を求める訳ではないがルークの心中は強い・・・強い決意に満ちていた。



「・・・でもルーク、忘れないでくださいね。今度は僕は最初から最後まで貴方の味方です。そしてウッドロウさん達も付いてます・・・だから一人では突っ走らないでくださいね?」
「・・・わかってるよ」
・・・だがアクゼリュスの件に関して強く後悔してるのはイオンも同じ。あの時自身に心身共に力なくルークを擁護出来なかった事、自身にもその責はあると言えなかった事は非常にイオンは心苦しかった。



そんなイオンの気遣いに満ちた自身とウッドロウ達がいるとの言葉に、ルークは落ち着いた声に戻って返した。








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