必然は偶然、偶然は必然 第八話
「・・・確かに預言に最終的に滅びが詠まれた結末があるくらいなら先に変えてしまえばいいという気持ちはわからなくもない。だがそれでは先に進めないのだ、人は」
「貴様、何をわかったようなことを・・・!」
「わかったようなことというわけではない。私も過去を変えれたらと思わなかった訳ではないからね・・・」
「え・・・?」
そして手を出せば触れれる位置に立ち真剣に言葉を紡ぐウッドロウにリグレットはすぐに苛立つが、今までになかった寂しさをまとわせるその一変した空気に戸惑い声を上げる。
「・・・私が元王とは言っただろう。だが私が王になる前には国どころか、世界を大きく巻き込む事件が起きてね・・・その時、私の父である前王はある男に殺された」
「!?」
その戸惑いのままの様子にウッドロウは自分の身の上を語る上で欠かせない父親が殺された事を明かし、リグレットは大きく目を見開く。
「その時私は父が死んだ事を悲しむ暇もないままその男の手の者により追われ逃亡者となったが、その男を倒し王として活動するようになり私は少なからず後悔する時があったのだよ。あの時父を助ける事が出来たら父は今も無事にこの椅子に座り民を導いてくれたかもしれない、何故私はあの時にグレバムを倒せなかったのかとね・・・」
「・・・だから過去を変えれればいいと思ったことがある、と」
「あぁ、そうだよ」
「・・・」
・・・ウッドロウにとって辛く苦い思い出に真っ先に上がる候補の思い出は、父のイザークをグレバムに殺された時の事がある。その時の無念を思い出し真摯でいて静かに語るウッドロウに、さしものリグレットもいちゃもんをつける事も出来ずに黙りこむ。
「しかしそうやって父の事をのみ気にかける事は出来なかった。私は新たな王として当時即位したばかりでね・・・とは言え時折は思い出さざるを得なかった。時間がある時には度々父の事を思い出していた・・・」
「・・・ならばこそわかるだろう、私の想いが・・・過去を変えれたらという想いが・・・」
そして時間が経っても否応なしに思い出す父の話をすると、リグレットは同意を求めてくる・・・切に、泣きそうな想いをほんのわずかだが滲ませ。
「あぁ・・・だがそうやって過去に思いを馳せるだけではいけないと思った。だから私は私の道を歩むと決めたんだ」
「っ!・・・それは、何故貴様はそう思ったんだ!?」
「それは、父に蔑まれたくなかったからだよ」
「!蔑、む・・・!?」
しかしその声を否定されすぐさま感情的に叫ぶリグレットにウッドロウが答えた蔑まれたくないとの答えに、リグレットはビクッと動揺と同時に不安を覚えて表情に浮かべた。
「父を自慢する訳ではないが、父は賢王として名高き人だった。そして私はそんな父を誇らしくも目標とし、超えるべき存在としていた。まぁ簡単に言えば敬愛していた訳だが・・・その父の姿を思い浮かべ過去にだけ思いを馳せる姿を見たら父は私を確実に軽蔑する姿を容易に想像出来たんだ。ファンダリアの王たる者が何事か!・・・とね・・・もちろん民を導く為という気持ちの方が大切だというのは私も重々思ってはいた、だが父という存在が私を私として少なからず形成していたのも事実だ。だからこそ私は父の姿を心に留め蔑まれないよう、ファンダリアの為に身を粉にしようと決めたのだよ」
「っ・・・!」
更に父の事を語りつつも自身にとって大事な過去の物となった父の受け止め方を途中から笑顔になっていったウッドロウから聞いたリグレットは知らず知らずの内に足を一歩動揺のままに後退させていた。
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「貴様、何をわかったようなことを・・・!」
「わかったようなことというわけではない。私も過去を変えれたらと思わなかった訳ではないからね・・・」
「え・・・?」
そして手を出せば触れれる位置に立ち真剣に言葉を紡ぐウッドロウにリグレットはすぐに苛立つが、今までになかった寂しさをまとわせるその一変した空気に戸惑い声を上げる。
「・・・私が元王とは言っただろう。だが私が王になる前には国どころか、世界を大きく巻き込む事件が起きてね・・・その時、私の父である前王はある男に殺された」
「!?」
その戸惑いのままの様子にウッドロウは自分の身の上を語る上で欠かせない父親が殺された事を明かし、リグレットは大きく目を見開く。
「その時私は父が死んだ事を悲しむ暇もないままその男の手の者により追われ逃亡者となったが、その男を倒し王として活動するようになり私は少なからず後悔する時があったのだよ。あの時父を助ける事が出来たら父は今も無事にこの椅子に座り民を導いてくれたかもしれない、何故私はあの時にグレバムを倒せなかったのかとね・・・」
「・・・だから過去を変えれればいいと思ったことがある、と」
「あぁ、そうだよ」
「・・・」
・・・ウッドロウにとって辛く苦い思い出に真っ先に上がる候補の思い出は、父のイザークをグレバムに殺された時の事がある。その時の無念を思い出し真摯でいて静かに語るウッドロウに、さしものリグレットもいちゃもんをつける事も出来ずに黙りこむ。
「しかしそうやって父の事をのみ気にかける事は出来なかった。私は新たな王として当時即位したばかりでね・・・とは言え時折は思い出さざるを得なかった。時間がある時には度々父の事を思い出していた・・・」
「・・・ならばこそわかるだろう、私の想いが・・・過去を変えれたらという想いが・・・」
そして時間が経っても否応なしに思い出す父の話をすると、リグレットは同意を求めてくる・・・切に、泣きそうな想いをほんのわずかだが滲ませ。
「あぁ・・・だがそうやって過去に思いを馳せるだけではいけないと思った。だから私は私の道を歩むと決めたんだ」
「っ!・・・それは、何故貴様はそう思ったんだ!?」
「それは、父に蔑まれたくなかったからだよ」
「!蔑、む・・・!?」
しかしその声を否定されすぐさま感情的に叫ぶリグレットにウッドロウが答えた蔑まれたくないとの答えに、リグレットはビクッと動揺と同時に不安を覚えて表情に浮かべた。
「父を自慢する訳ではないが、父は賢王として名高き人だった。そして私はそんな父を誇らしくも目標とし、超えるべき存在としていた。まぁ簡単に言えば敬愛していた訳だが・・・その父の姿を思い浮かべ過去にだけ思いを馳せる姿を見たら父は私を確実に軽蔑する姿を容易に想像出来たんだ。ファンダリアの王たる者が何事か!・・・とね・・・もちろん民を導く為という気持ちの方が大切だというのは私も重々思ってはいた、だが父という存在が私を私として少なからず形成していたのも事実だ。だからこそ私は父の姿を心に留め蔑まれないよう、ファンダリアの為に身を粉にしようと決めたのだよ」
「っ・・・!」
更に父の事を語りつつも自身にとって大事な過去の物となった父の受け止め方を途中から笑顔になっていったウッドロウから聞いたリグレットは知らず知らずの内に足を一歩動揺のままに後退させていた。
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