必然は偶然、偶然は必然 第八話

そして船から降り港の地を踏みしめるルーク達だが、イオンは早速と一同に振り返る。
「ちょっと僕はこう言った経過でアクゼリュスに僕も向かうという手紙をピオニー陛下に向けて出したいと思います。時間は取りませんので少し待ってもらっていいですか?」
「あぁ、そういや船ん中で書いてたなそんなの。んじゃ入口で待ってるから送ったら来いよ、ディムロスとセネルも一緒につけてやる」
「はい、では・・・」
早速手紙を出すと言い出したイオンにルークはさも今思い出したかのように言い、その許可を出すとイオンは二人と一緒にそそくさと立ち去っていく・・・
「ルーク様ぁ、イオン様そんな手紙を書いてたんですかぁ?アニスちゃんその事初めて知ったんですけどぉ~・・・」
「んあ?俺も気付いたらなんか書いてたってくらいしか知らねーんだよ。それともなんか都合でも悪いのか、マルクトに手紙出されると?」
「べ、別に何もないですけどぉ・・・そういうことはアニスちゃんには言ってて欲しかったかな~って・・・」
するとイオンがいなくなってすぐにすりよって批難めいた声を上げて来たアニスに、ルークはその痛い腹を突くような質問をする。するとアニスはすぐさま勢いを削られいじらしいかわいさをウザくアピールしながらも、その実イオンを批難する声をやはり上げながらそっぽを向く。
(つーかんなこと言うくらいなら最初から離れてんじゃねーよ、スパイも護衛もやりきれてねぇ半端者)
だがそんな態度をとること事態色々お門違いだと思うルークはタメ息を吐きたくなるのをこらえ、さっさと前を歩き出す。
「もう話ねーんなら俺入口行っとくぞ」
その代わり隠さない気だるさをまとわせルークはさっさと入口の方に歩き出す・・・
(ま、色々やってるようだけど心配すんなアニス。もうそろそろあの樽豚の言うことは聞かなくて済むようになるんだ。そう、イオンの手によってそろそろな・・・)
後ろでキャンキャン言ってくるティアなど気にしない。その心中でアニスに訪れるだろう結末を新たに思い返し、口元に笑みを浮かべながら・・・












・・・そんな心中のことは当のルーク以外に知るよしもなく、イオン達が合流した後一同は早々にアクゼリュスへ向けて出発した。

そしてルーク達の敵足りえるような強い魔物もいなかったため、一同は予想以上に早い足取りでデオ峠に辿り着いた。



「さってとっと・・・来るかな、リグレットは?」
「おそらく来るだろうが、馬鹿正直に来るとも思えないな」
デオ峠の入口に差し掛かり先を行くティア達を視界に入れつつ、ルークは隣にいたディムロスと歩きながら小声でリグレットについて会話する。
「あの手のタイプが話を聞くためだからとそれを理由にそれだけで来るとは思えないし、かといって向こうも六神将の立場だ。そうそう簡単には動けないだろう上、向こうもこちらを警戒しているのは予測がつく。何らかの手を打ってくるのは想像がつくが、正直どういった手を打つかまでは予測がつかないな・・・」
「だよな~、リグレットの性格と周りの状況からしてなんか手を打って来るのは想像出来るけど・・・」
冷静にリグレットと周りを分析するディムロスの最後はどうとも言えないという声に、ルークも似たような想いを抱きこれまたなんとも言えないという苦い様子をそっと浮かべる・・・以前と違う流れになっている今でリグレットのもだが他の人物達の挙動がわからない、その事に一抹の不安があった。
「・・・1つ言える事はリグレットがウッドロウを狙って来る可能性が高い、というくらいだ。もちろん導師にも気を張らねばならんのはあるが、出来ればウッドロウにも注意をしておいた方がいい」
「・・・だな」
そんな状況で動きが分からないからこそ現状注意以外にやれることはない。ディムロスのそんな考えがつまった想いにルークも苦く頷く以外に出来なかった。









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