必然は偶然、偶然は必然 第八話

「・・・ならジェイドを飛び退かしてマルクトに渡りをつけるしかねーな。考えられる手段としては港に着いたらイオンの名で事の次第を書いてセントビナーのマクガヴァン元帥達に手紙を渡す事だけど」
「ん?なんでマクガヴァン元帥なんだ?」
そんな中でルークが案を出すが、セネルは何故マクガヴァン元帥が引き合いに出されるかを問う。
「流石に今からじゃピオニー陛下に話を通すには時間が足りないし、それにマルクトから兵を出すならセントビナーが一番近い。その上マクガヴァン元帥ならピオニー陛下に許可をもらう前にこっちに兵を送ってくれる可能性もある。これは手紙でどれだけ元帥を触発出来るかによるけどな」
「じゃあなんでイオン名義で手紙を出すんだ?」
「港でマルクト宛に手紙を出すのに俺名義で出すにはまだ和平が結ばれてないのもあるから、ジェイドもだけど元帥側も不審がるだろうからな。こう言ったのには名の知れてなくてマルクトの人間じゃない俺よりイオンの導師って肩書きの方がいいんだ」
「成程な・・・」
そこからその訳を聞いた後再び名義がイオンの訳を聞くと、ルークは自身の立場を理解した上の理由を返しセネルは納得する。
「私もそれでいいと思うよ。出来る限りの配慮はしておいた方がいい」
「僕もそれでいいと思いますよ、あまり時間がないのもありますしね・・・それにジェイドがマルクト側に情報を渡さない可能性もある上、そもそもデオ峠側から人々を撤退させない限りマルクト側に住民救出に関して連絡を入れない可能性すらありますし・・・」
「・・・有り得るのが嫌な所だな」
その意見にウッドロウも賛成しイオンも賛成しつつも微妙そうにジェイドの対応の甘さの可能性を上げ、ディムロスも同様に微妙そうに顔を歪める。
「・・・とりあえず僕はマクガヴァン元帥宛に手紙を書きたいと思います。港に入ったらすぐに送れるように」
「だったら今までのジェイドの行動についても色々書いといた方がいいんじゃないの?あえて元帥に送ったのはこう言った訳があるんですよって」
「あぁ、それはいいですね。いただきます、そのアイデア」
そんな空気のまま手紙を書くと言い出すイオンにハロルドがナチュラルにジェイドのこき下ろしを含めればと言い、イオンはいい笑顔になる。
「それに加えセントビナーの兵はアクゼリュスとセントビナーを繋いでいた橋の前に来るように指示をしておいた方がいいな。カイツールの国境側から兵を越えさせればたちまちキムラスカ側にその情報が知れ渡る事になる。ある程度の情報を知らせた上でそうするべきだと言うべきだ。それで向こうも橋が無くても人々をセントビナー側に渡しをつける手段を講じてくるだろう」
「それもそうですね・・・ではそう言ったことも含めて色々まとめて書きましょう」
「ならちゃんと文章考えるか、ごちゃごちゃになったら元も子もないしな」
そこにクラトスも加わり細やかな配慮に満ちた指示を出し、イオンもまた納得してルークはならちゃんとまとめるべきと提案する。
『それなら我はこの辺りで戻ろう、こう言った話し合いでは我は役には立てんのでな』
「おう、んじゃなローレライ」
そんな全員が一丸となる空気が辺りに満ちる中でローレライが通信を切るよう言い、ルークは軽く別れを言う。
『では俺も口しか出せないが、その手伝いはさせてもらおう』
「ありがとな、イクティノス」
そして代わりにとイクティノスも協力すると言い出し、ルークは微笑を浮かべ礼を言う。






・・・そこからルーク達は1つの机に向かい椅子に座るイオンを中心としてマクガヴァン元帥宛の手紙を書き上げ、完成させた。

そんな手紙をイオンが胸にしまいつつ、船は港にその身をつけた・・・








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