必然は偶然、偶然は必然 第八話

・・・そして領事館を出たルーク達。
「いいのか?このままナタリアをバチカルに帰して?」
「いいんだよ」
そこから開口一番ナタリアを帰す事は問題があると言わんばかりのセネルに、ルークは迷いなくいいと断言する。
「どうせ遅かれ早かれアイツは『ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア』じゃなく、『メリル・オークランド』だってバラされる時が来るんだ。預言だからっつっても頑なに俺らの肩を持つようなら、ナタリアを排除してでもと考えるあの樽豚にな。いつあの樽豚がその事実を陛下にバラしたかは定かじゃねーけど、陛下にナタリアを諦めてもらう為にバチカルを出た時点でバラされた可能性は非常に高い」
「ま、それが妥当ね。その時点で王女として使い物にならないどころか自身の邪魔をするだろうナタリアはもう切り捨てるのが最善・・・そう思うのがモースってヤツの最悪なシナリオね」
「そう。だろうから下手に連れてってもケセドニアに拘束してもらっても、後々バチカルに行く時にこっちの混乱の種になられたら困るんだよ。精神的にもだが、その時次第だけど『ナタリア王女殿下』って存在の名目的にな」
「・・・名目的?」
そこからもう『メリル・オークランド』であると陛下にバラされているだろうナタリアの裏を捕捉に入ったハロルドとともに語るルークだが、意味深に出された名目的という言葉にセネルはなんなのかと首を傾げる。
「ま・・・それは話すと長くなるから後で説明するよ。今は早くウッドロウ達の所に戻ろうぜ、じゃないと変にこっちの事をティア辺りがグチグチ言ってくるのが目に浮かぶ」
「あぁ、そうだな」
しかしそれは後にして早く合流しようと話すルークにセネルもそれでいいと首を振り、3人はマルクト側の港へと歩き出す・・・









「・・・あっ、ルーク。ナタリア王女が来ていない所を見ると、貴方の言った事をクリア出来なかったのですか?」
「まぁな」
・・・そして港の入口にて、ルーク達を見つけたイオンが声をかける。
「貴方、一体どんなことをさせたの?とてもナタリア様がすぐには納得するようには思えなかったのだけど・・・」
「まぁ軽く問答しただけだ、ナタリアは王女だから色々やることがあるだろうし。それで全て淀みなく質問に問題点なく答えられたなら連れていくっつったんだけど、それが出来なかったんでな。領事館に置いてきた・・・ただ俺がナタリアに話した中身には触れんな、結構政治的な部分もあるからな。それでこっちの二人にも喋んなと言ってるから聞いてもムダだ。こっちが雇ってて喋んなって言ってるから雇い主の意向で守秘義務があるから喋んねーぞ、誰が相手でもな。それでもムリにでも聞き出したら守秘義務果たせなかったって事でコイツらをペナルティにするから、聞きたいならそうしろ」
「・・・聞かないわよ、そこまでして」
そしてすぐさま貴方に出来たのと疑うティアにルークは肝心の中身を言いはしないものの、それがどれだけ大事であるかと興味本意程度では聞くべきではないと予想させる中身を突き付けティアは仕方なさそうに引き下がる。



・・・二人を連れていったのはこのルークの話の中身に真実味を持たせる為で、ルークを信じない声を封じる為だ。それを理解しているが故にセネルとハロルドは黙っていた、ナタリアがどうなったのかの実態の事を。



「それよっかもう行くぞ、船は出航出来るのか?」
「えぇ、後は僕達が乗るだけです」
「なら行くか」
何が何でも聞く気のないティアを退かせた所で船に乗ろうと口にするルークにイオンが大丈夫と答え、ならもう行くぞと船の方へと歩き出しイオン達もさっさとその後ろを歩いていく・・・










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