必然は偶然、偶然は必然 第八話
「てな訳でだ、これ以上恥の上塗りを避けたいなら大人しくバチカルに戻れナタリア。一応通常の公的な立場は俺の方が地位は下だが、今の俺は陛下からアクゼリュス救援を任じられたいわば和平においての最高責任者。つまりはこのアクゼリュス救援においてのみだが陛下から全権を委託されているんだ、俺は。つまりアクゼリュス救援に関しての有事に対してはお前の地位でも今の俺に尚連れていけと命令することは出来ない、むしろ邪魔をするなら排除することも出来る・・・それを理解してるからこうやってお前を捕縛することに何のためらいもなかったんだぜ、ここの兵士はな」
「・・・っ・・・そう、ですの・・・?」
そして更にその立場を大いに盾に取った理屈攻めと兵士の迷いない態度はだからだとの声に、ナタリアは力なく顔を上げ周りに問いかけると兵士はただコクりと頷く。
・・・ジェイドがマルクトの名代としてキムラスカに送られたよう、ルークもあくまで表向きとは言えアクゼリュス救援の任務を国王から賜った以上その行動にはキムラスカの代表という立場になりその言葉には責任が伴われる。
ジェイドがあくまで嫌味な上から目線を崩さない事には触れはしないが、ルークはそういった立場の重さとナタリアのバチカル脱走という2つの事実を明かせばケセドニアの兵を動かせると考え先程のような芝居を打ちナタリアを捕らえることを提案し・・・領事館の人間に兵士達は重々にナタリアを捕らえることを決意したのだ。そうしなければルークからもだが、ナタリアを見逃した責によりインゴベルトからの叱りを受ける事への恐れを抱き。
・・・まぁその時に表現をオーバーにした話し方をルークがしたからこそというのもあるのだろうが、あくまでルークは正当に人々を説得したと言っておく。
「そういうわけだ。あぁちなみに言っておくけど今から俺お前がバチカルに戻る船に乗せたって手紙送るから、それを反故にしたような無理矢理の行動取ったらもうその時点で王女の肩書きが頭から抜ける・・・そう思っといた方がいいぞ。流石にもう送り返したはずが更にそこから抜け出したなんて報告あったら、陛下も弁明の余地なんてお前に与える訳ないだろうしな」
「っ!!」
そして最後にそれでも尚強引に愚行を犯さないようしっかりルークは起こりうる最悪の事態を口にして釘を刺し、ナタリアの表情を凍らせる。
・・・いくらナタリアが考えなしとは言え流石に王女の地位が無くなるとなれば、二の足を踏むのは容易に想像がつく。ナタリアは長年王女として育ってきた分地位が上がることは受け入れは出来ても、いきなりガクンと格下げされた地位に甘んじることは時が経ってもあるわけがないとルークは思っている・・・というよりもルークは知っているのだ、かつての未来で愚昧さを露呈して民達から引退の要望の声をたくさん送られてもけして自分達が間違っているわけじゃないとその声を認めず、長々と玉座にアッシュ共々居座り続け退位を拒んでいた事を・・・だからそんな地位への誇りではなくむしろ拘りを持つナタリアの心を利用した訳だが、最早反論が出る余地もない様子にルークの心中に何度目浮かんだか分からない考えが浮かぶ。
(やっぱコイツは王女として救い上げるのはナシだな、下手すりゃとか言う以前に確実に国が割れる。むしろ叩くだけ叩いとかないと更に厄介そうだ、俺との意見の食い違いを間違いだなんて言って声高に罵ったりしてな)
・・・音譜帯の上に過去に戻ってきて、それまで何回だろうかもうルークは数える事すら忘れた。今のこの瞬間の地位以上の地位にいたのだから自分達が死んだ後の世界は混迷の一途を辿る大きな要因となった、そう思う回数を数えることを。
「・・・そういう訳なんでな、精々大人しくしろよ。んじゃな、俺らは手紙書いたらさっさと行くから」
「・・・ぁ・・・」
だからこそ今ならナタリアがどうなってもいいと考えるルークは暖かみなど一切見せず形だけの気遣いを残しセネルとハロルドと共に退出していき、ナタリアはその姿に何か言いたげに掠れた小さな声を上げるがそんな声はルークに届く訳がなかった・・・後に残ったのは静寂ばかりの空間、そこからナタリアはしばらく何も言えずうなだれるばかりであった・・・
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「・・・っ・・・そう、ですの・・・?」
そして更にその立場を大いに盾に取った理屈攻めと兵士の迷いない態度はだからだとの声に、ナタリアは力なく顔を上げ周りに問いかけると兵士はただコクりと頷く。
・・・ジェイドがマルクトの名代としてキムラスカに送られたよう、ルークもあくまで表向きとは言えアクゼリュス救援の任務を国王から賜った以上その行動にはキムラスカの代表という立場になりその言葉には責任が伴われる。
ジェイドがあくまで嫌味な上から目線を崩さない事には触れはしないが、ルークはそういった立場の重さとナタリアのバチカル脱走という2つの事実を明かせばケセドニアの兵を動かせると考え先程のような芝居を打ちナタリアを捕らえることを提案し・・・領事館の人間に兵士達は重々にナタリアを捕らえることを決意したのだ。そうしなければルークからもだが、ナタリアを見逃した責によりインゴベルトからの叱りを受ける事への恐れを抱き。
・・・まぁその時に表現をオーバーにした話し方をルークがしたからこそというのもあるのだろうが、あくまでルークは正当に人々を説得したと言っておく。
「そういうわけだ。あぁちなみに言っておくけど今から俺お前がバチカルに戻る船に乗せたって手紙送るから、それを反故にしたような無理矢理の行動取ったらもうその時点で王女の肩書きが頭から抜ける・・・そう思っといた方がいいぞ。流石にもう送り返したはずが更にそこから抜け出したなんて報告あったら、陛下も弁明の余地なんてお前に与える訳ないだろうしな」
「っ!!」
そして最後にそれでも尚強引に愚行を犯さないようしっかりルークは起こりうる最悪の事態を口にして釘を刺し、ナタリアの表情を凍らせる。
・・・いくらナタリアが考えなしとは言え流石に王女の地位が無くなるとなれば、二の足を踏むのは容易に想像がつく。ナタリアは長年王女として育ってきた分地位が上がることは受け入れは出来ても、いきなりガクンと格下げされた地位に甘んじることは時が経ってもあるわけがないとルークは思っている・・・というよりもルークは知っているのだ、かつての未来で愚昧さを露呈して民達から引退の要望の声をたくさん送られてもけして自分達が間違っているわけじゃないとその声を認めず、長々と玉座にアッシュ共々居座り続け退位を拒んでいた事を・・・だからそんな地位への誇りではなくむしろ拘りを持つナタリアの心を利用した訳だが、最早反論が出る余地もない様子にルークの心中に何度目浮かんだか分からない考えが浮かぶ。
(やっぱコイツは王女として救い上げるのはナシだな、下手すりゃとか言う以前に確実に国が割れる。むしろ叩くだけ叩いとかないと更に厄介そうだ、俺との意見の食い違いを間違いだなんて言って声高に罵ったりしてな)
・・・音譜帯の上に過去に戻ってきて、それまで何回だろうかもうルークは数える事すら忘れた。今のこの瞬間の地位以上の地位にいたのだから自分達が死んだ後の世界は混迷の一途を辿る大きな要因となった、そう思う回数を数えることを。
「・・・そういう訳なんでな、精々大人しくしろよ。んじゃな、俺らは手紙書いたらさっさと行くから」
「・・・ぁ・・・」
だからこそ今ならナタリアがどうなってもいいと考えるルークは暖かみなど一切見せず形だけの気遣いを残しセネルとハロルドと共に退出していき、ナタリアはその姿に何か言いたげに掠れた小さな声を上げるがそんな声はルークに届く訳がなかった・・・後に残ったのは静寂ばかりの空間、そこからナタリアはしばらく何も言えずうなだれるばかりであった・・・
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