必然は偶然、偶然は必然 第八話

・・・イオン達がわずかの時間とは言え離ればなれになる理由が契約を結ぶためなど、それこそありえない。ルークがイオンと示し合わせた本当の訳、それはここらでティア達を追い落とす為の作業を1つしておくためだ。だがそれはティア達の目に入れば確実に不等な物、もしくは間違いや勘違いだと言われる可能性が100%の物の為に悟らせる訳にはいかないのだ。

だからこそイオンからティア達をルークは引き剥がす事を引き受けた訳だが、それだけで済む訳がないとも思っていた。そしてそれだけではないという要因とは・・・



「でも本当にここでナタリアは来るのか?」
「あぁ、間違いねぇよ。神託の盾の船が引いた後に出た船に密航してケセドニアに到着した後、俺達をここで待ち構えてるよ。確実に」
セネルの疑問の声にルークは確信しきった声でナタリアは来ると告げる・・・そう、それだけではない要因とはナタリアの事だ。
「あいつの脳内にあるのはあくまでも親善大使である俺とともにアクゼリュスに行き、自分がそこで自分以外に出来ない事があるつって活躍することだ。それでバチカルで俺が説教して理解した事って言えば精々自分が陛下の意向を無視して王女として行けば、お父様に恥をかかせることになるっていう至って失敗する事を考えてない都合のいいプラス解釈極まりない考え・・・だからアイツはこうでも考えてここに来てるはずだ。『自分は王女としては来てはおらずお父様には一個人として行くと書き置きをしておいた、だからお父様の名誉を傷付けずにこれた。後はルーク達にこの事を説明して合流すれば何の気兼ねもなく迎え入れてくれるはずだ』ってな」
「有り得ない事考えてくれるわねー。私は自分勝手だって自覚あってあえてそうしてるけど、無自覚な分余計にタチが悪いわ」
「自覚あってやってたのかよ・・・」
続けたルークの思考と行動予測の言にハロルドが自分よりタチが悪いと言うと、セネルは力なくツッコミを入れる。それもそれでやっぱりタチが悪いと思いながら。
「でもなんでここで合流するの?そこそこ弓の腕はあるらしいし、アクゼリュスの人達を助けたいなら先に行けばいいじゃない。ホントにアクゼリュスを助けたいなら」
「んな考えアイツの中にはねぇよ。一個人とか言いながら結局自分が『ナタリア殿下』であるって自覚を捨てると言わなくても置いとく事すらないからな。そんなもんだから誰も行かないなら従者とかいなくても、たった1人ででも行くっていう真のボランティア精神はアイツは持ってないんだよ。今まで王女として活動してきたアイツの中では命令出来る者とか頼れる誰かが側にいることは確定でいて、なおかつ誰も頼れるヤツが城を抜け出した事からいない。だから・・・」
「ルーク達と合流して共に事に当たるのが最善、そう考えているから先に行かずにここで待ってるって事ね。けど常に団体行動の枠組みにいて、しかもまとめる側しかやったことのない人間・・・これは簡単に言ったらガキ大将によく見られるような傾向ね。自身の要望をやれることの裁量の容量オーバーまで容易に相手に求めるもんだから、上に立つ人間が周りに迷惑かける典型的なパターンだわ」
「ブッ!ガキ大将!ちょっとそれ、めちゃめちゃ当てはまりすぎてはまっちまうんだけど・・・!」
そんなセネルはさておきとわざわざここで合流する意味がないと言うハロルドにルークは1人では行動する気はないからだと説明混じりに言うと、冷静にガキ大将の行動パターンと解析した声を聞きルークは吹き出し大笑いを我慢して腹を抱えながらニヤニヤする。
「・・・それでそのガキ大将王女はどこにいると思う、ルーク?」
「う、うーん・・・多分港の前、かな?そこが合流するには間違いないし、っていうかセネル・・・お前もガキ大将にノんなよ・・・!」
「いいだろ、ホントにガキ大将みたいなんだし・・・!」
そこに思い立ったようセネルが明らかにニヤニヤしながらナタリアの居場所の予想を聞けば、ルークはそれに笑いをこらえながら答えつつもセネルを責める。だがそれが芯からではないことに気づいてるのでセネルもククッと笑いながら開き直ったように返す。










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