必然は偶然、偶然は必然 第一話

『・・・という訳で我はルーク達やウッドロウの助けとなるよう、イクティノス。そなたに協力してほしいと呼び寄せたのだ』
『成程・・・確かに厄介な問題だな、それは』
ローレライの説明も終わり、イクティノスはオールドラントの現状を大きな問題と見て取る。
「イクティノス・・・お前はローレライに呼び出された訳だが、お前はどうするのだ?」
『・・・いきなりどうした、ウッドロウ』
そんなイクティノスにウッドロウは深刻に話を切り出す。
「私はお前とともに再び戦えるという事を考えれば、無上の喜びを感じずにはいられない・・・だがそれがお前の本意ではないというのなら、私はお前なしでオールドラントの改革に取り組むつもりでいる。その上でお前はどうしたいのか、ということを聞きたいのだ」
ウッドロウの弁には自身の気持ちとイクティノスの意思の確認、二つが混合したものが込められている。後はイクティノス次第・・・そんな答えを待つ二人の前で、イクティノスはその意思を示す。
『俺もウッドロウに協力しよう』
『・・・いいのか、イクティノス?』
『あぁ、天寿を成して後は眠りにつくだけとなったウッドロウが老体に鞭を打って働くと言っているんだ。ならばせめて俺が協力し、その負担を減らしてやるべきだと思ってな』
「フフ、言ってくれるではないかイクティノス」
出された結論はあっさりとしながらも、気心の知れた間柄で通じる皮肉に彩られた了承。ウッドロウはそんなイクティノスに微笑みながら返す。
『まぁそんな訳だ。俺も手伝う、早い所そのオールドラントに行くぞ。何をするにしてもまずはそのルークにイオンとやらと話をつけねばならんのだろう』
『確かにそうだな・・・すまん、迷惑をかける』
「気にしないでくれ、頼まれて乗りこんだ船だ。むしろ今更協力の願いを取り下げるなどと言われた方が消化不良で迷惑になる」
そしてイクティノスは早速の出発を口にし、ローレライは謝りを入れるとウッドロウは今更放っておかないという風に微笑みながら返す。
『・・・それでは行こう、オールドラントへ』
そんな気遣いに触れたローレライはこれ以上は何も言わず、光を全員包み込ませるように発生させオールドラントに戻ろうとする。






・・・だが三人は気付いていなかった。予想外の要因が三人、そしてルークとイオンの二人と大きく関わる事態を引き起こす事を。















・・・その予想外の要因とはウッドロウの生きた時代から見ておおよそにして1050年程も前になる、いわゆる天地戦争と呼ばれる時代に生きていた一人の天才科学者だった。



「よ~っし!完成~!」
ラディスロウの中の自身の私室にて、机の上に置いた自身の作ったペンダント型の装置を見てハロルドはニマァッといった笑みを浮かべる。
「超時空間超越装置1号ちゃ~ん!エネルギーのレンズの都合をつけることの方が苦労したけど、これで貴女もようやく時間移動が出来るようになったのよ~!」
唐突にそのペンダント型装置を両手で持ち上げると、ハロルドはクルクル陽気にその場で回りだす。
「待ってなさいよ、カイル達~!あんたらが私の事を覚えてなくても、この超時空間超越装置1号ちゃんであんたらに私は会いに行くわ~!」
そして回りつつもハロルドはカイルと名を出し、目的地をあらわにする・・・







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