「さて、んじゃ行こうぜ。ケセドニアに」
「えぇ、そうですね」
リグレットを見送りルークが出立を口にし、イオンも同意を返し周りは特に反発も見せずに歩き出す。
「・・・そっちには六神将は誰が来た？」
「僕らにはシンクとラルゴですよ。そちらは？」
「俺らはリグレットとアッシュだよ。まぁ大方の予想通りだったな、ディストがこっちにも来なかったのはちょっと意外だったけどな」
そして隣り合わせで歩く二人は状況を小声で報告しあう。
「でもまさかリグレットを人質に取って僕達の方の神託の盾を撤退させるなんて思いませんでしたよ。おかげで楽になりました」
「まぁそれを提案したのはウッドロウなんだ。感謝ならあいつに言ってくれ」
「・・・ただこっちに来た時、あのリグレットがああなっているとは思ってはいませんでしたけどね」
「あぁ、それは俺もそう思った・・・見た感じじゃあっけど、ほぼ確実にリグレットはアクゼリュス前には来ると思うぜ。あいつはウッドロウの言葉にすげぇ揺れてるからな。下手に先伸ばししたらアクゼリュスが落ちてウッドロウごと消えちまうって考えるだろうから、答えを望むならその前に来るはずだ」
「そこで彼女をウッドロウさんが説得する、という訳ですか・・・」
「ん？どうした、イオン？」
そこからリグレットの話になった二人だったが、イオンは苦い顔をする。
「いえ、ウッドロウさんがリグレットを説得するというなら僕も・・・今回はちゃんと、アリエッタに真実を話すべきかと思いまして・・・ね」
「・・・あぁ、そういうことか・・・」
・・・そこから出てきたのはアリエッタに関しての思いやりでありながら痛い想いが詰まった言葉。そのイオンの想いを見たルークも苦い表情になる。
「前は真実を話さないまま僕が死んだ後、アリエッタに対しアニスが決闘を申し込んだと貴方に聞きましたが・・・あんな結果があるなら言っても酷であり言わなくても酷でもあります。それならいっそ、僕は彼女に真実を話した方がいいと思いました。それが辛くとも、彼女が生きる意味を僕の被験者に投影して依存しないようにするには・・・」
「・・・だな。それに言わなきゃ、アリエッタは先に進めないだろうしな」



・・・かつてアリエッタがイオンの死を知った時にアニスはアリエッタと闘う道を選んだが、ルークは正直闘う以外の方法もあっただろうと思っていた。イオンは最初は音譜帯でその成り行きを聞きアリエッタの為に苦渋の決断で行動したとアニスの行動を非難はしなかったが、時が経つにつれその行動は『アニス自身が起こしたイオン殺しの一端の事実から目を反らしたいが為の逃避の為の八つ当たりの正当化』だと考えるようになった。そしてそれは実際にヒステリックにアリエッタと対峙していたアニスを見たルークも同様の意見だった。



そんな事になるくらいならばいっそ全てを明かしてというイオンの重い意思表明に、ルークも同意して重く頷く。
「ただちゃんと状況を整えなければ彼女は説得出来ないでしょう・・・アニスとかね」
「あぁ、ちゃんと状況は整えないとな・・・まぁ俺も色々協力するから、アリエッタには今度会った時にゆっくり説得するぞ」
「はい」
そこから二人は確かに決心しあう、邪魔物は排除してでもアリエッタに真実を告げて無事にいられるようにしようと・・・
















変わり行く世界に変わり行く人



世界が変わるきっかけは人から始まる



それは本来作られた流れを変える者達の気持ちも変化させていく






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