必然は偶然、偶然は必然 第七話

(・・・なんだ・・・なんなんだコイツらは・・・!?)
ウッドロウ達に引き連れられる中でリグレットは内心で改めてルーク達の異質さに驚愕していた。



・・・バチカルから自分達の預かり知らぬ所から抜け出した、導師があまりにも捕まらない事から情報を集めて判明したことから急いで陸路をタルタロスで追い掛けた。それはいい、抜け出されたなら捕まえればいいと思ったから。

そしてタルタロスを走らせ陸路を行くなら立ち寄るだろうオアシスに放った斥候から導師達は二組に分かれたと聞いた時は仲違いでも起こしたのだと思い、リグレットはルークの方は放っておけばいいと判断したがアッシュが意地になってルークの方に行くと言ったので仕方なくお守り役として自分が行くことにした。

それでいざアッシュと兵士を引き連れルーク達の元に来てみれば、まるで全て自分達の取る行動が見透かされていたかのようにあしらわれた・・・その事にリグレットは何故としか思えなかった。



「・・・どうしたのかな、気分でも悪いのかい?」
「っ!?・・・いや、なんでもない・・・」
するとそんな悩みが表情に出ていたのを見て声をかけたウッドロウに、リグレットははっとして目を逸らし力なくなんともないと言う。
「無理はしない方がいい、体調がきついだけでも悩みがあるにしても口に出せば少しは楽になれる」
「(・・・何か言うこと、か。何も言わんだろうがせめて聞くだけ聞くか、いい加減一人考えるのも限界だ・・・)・・・なら、聞いていいか?」
「なんだい?」
そんな態度にまだ物腰柔らかく声をかけるウッドロウに、その内容に何か聞かねば話にならないと思ったリグレットは硬化した態度を少し緩めダメ元で口を開く。
「・・・お前達は何を持って行動をしている?我々の行動を読んで対処したかと思えば、敵である私を殺さず生かし・・・理解が出来ん、何がしたいんだお前らは?」
・・・自身の疑問を口にしながらもリグレットはその言葉は自身に向けられていると、リグレットは感じていた。ルークにウッドロウと会うまでの自分だったなら敵の言葉に耳を貸すこともなく、一笑にもふすこともなかっただろうと。しかしウッドロウの言葉は自身にかつて弟が存在していた頃を彷彿とさせる何かがあるとそう知らずに感じていたが故に、今の自身の差異への戸惑いがリグレットにはあった。
「敵、か。確かに今の私達に君達は味方と敵で分かれている間柄ではあるね。だがだからと言ってムザムザ命を奪う絶対的な理由にはなり得ない」
「だから私を生かしているとでもいうのか?だったらそれは・・・」
「甘い、とでも言いたいのかね?・・・ふふ、それは事実だよ」
「なっ・・・!?」
そんなリグレットに真摯に答える姿にすかさず毒づこうとすると、ウッドロウはそれを全面的に肯定した柔和な笑みを浮かべ逆にリグレットは驚愕する。
「私も生きていく上で捨てられない感情はある、それが甘いと言われた事もある・・・だがその甘さを恥じ入て捨て去ってしまえば、人は人としての尊厳を1つ無くす事になる。だから私は甘さを捨てたくはないのだよ、同じく甘さを持った人の心を理解して助ける事が出来なくなるからね」
「っ・・・甘さで、人が救える物か・・・っ!」
「確かにそうだ。だが人を助けるには情がなければ、人を思いやれねば意味がない。システム的に務めただけのなんの優しさもない声になど、人は救えない・・・君はそうやって家族にも甘さはいらないなどと言ってきたのかい?」
「!家、族・・・」
そこから更に畳み掛けるよう自身の甘さを誇りとすら言うかのような語り口にリグレットは精一杯の抵抗を吐き捨てるが、ウッドロウから家族と出てきた事にその目が呆然と開かれる。







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