必然は偶然、偶然は必然 第七話

「何・・・っ!?」
ウッドロウから出された条件、それは再度の自身の人質としての扱い。リグレットの顔が一瞬にして驚愕に染まる。
「・・・成程、イオン達の方に行った神託の盾を排除させてイオン達の身の安全を保証させようってんだな」
「・・・まぁそうだね。彼らもそう易々とはやられないだろうが、念には念を・・・と思ってね。だから彼らの安全の為とアッシュを解放したいというなら、私はそうした方がいいと思うのだが・・・いかがかな?」
「いいぜ、俺はそれで構わない。けど、問題はこっちだな」
「「・・・っ!」」
そこからルークとウッドロウの二人は顔を見合わせながらあからさまな狙いを口にしながら会話をしつつ、ルークはその案を了承してからアッシュとリグレットの二人の確認の声を向ける。その剣先は未だアッシュの首の横にある、二人には選択肢はほぼないに等しいと理解しているからこそ苦渋の表情になる・・・だが二人は知らない。その先にある狙いはイオンの負担の軽減だけでないことを。
「さ、どうするんだ?別に拒否なら拒否で構わねぇぞ、その場合はコイツもろともお前も片付けるだけだからな」
「待て!わかった!・・・私が人質になり、アッシュを導師から手を引かせるためのメッセンジャーにする・・・だからアッシュを解放してくれ・・・」
「リグレット・・・!」
そして最後通告かのようアッシュの首に剣を近付けながら話すルークにリグレットは瞬間的にやむを得ずその要求を飲むと叫び、アッシュがルークに八つ当たりの苛立たしげな視線を向ける。
「・・・ならまず武器を捨ててウッドロウの方に行け、そうしたらコイツを解放してやる」
「・・・わかった」
そんな視線など気にせずルークはウッドロウの方にアゴを向け先に人質になれと告げると、リグレットは返事を返しながら譜銃を砂地に投げ捨てウッドロウの方に歩く。そしてウッドロウの前に立ったリグレットを目にして人質になったと判断したルークは剣を引き、アッシュから少し距離を取る。それに合わせてアッシュは苛立たしそうに立ち上がる。
「テメェ・・・っ!」
「あぁ?んだその目・・・リグレットに命助けられたクセしやがって、リグレットの命を気にせず襲い掛かって来る気か?そうならとんでもねぇ恥知らずだな、お前」
「・・・くっ・・・!」
そんなアッシュを牽制するよう自身の苛立ちも含めリグレットの事をルークが上げると、流石に今助けられた事があり何も言えなくなりうつむく。
「そんな感情任せのバカに一々関わる気も起きねぇんだよ・・・目障りだ、さっさと消えろ!」
「!・・・ぐっ・・・・・・クソがぁぁぁぁぁぁっ・・・!」
そしてだめ押しと言わんばかりにルークが手を振り払いながら罵倒しつつ声を荒げると、もはや感情をどこにもぶつけられないアッシュはただタルタロスがいるだろう方向に向かい叫びながら走っていく。
「あらら、情けないわねー。あんなんでよく六神将なんて名乗れるわね」
「私から見てもあれは八つ当たりでしかないな、普通はリグレットに感謝こそすれルークにぶつけるものではないだろう」
そんな情けない様子にハロルドとディムロスの二人が呆れ気味に会話をする。
「ま、あれがアッシュって奴の本質だよ。それよっか邪魔者も消えた事だし、もう行こうぜ」
「そうだね」
そんな二人にアッシュをうまくやり込めたルークが先に行こうと言い、ウッドロウも同意したところで二人も頷く。



・・・そしてその四人に連れられるよう、リグレットもやりづらそうに一緒に歩いていく・・・









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