時代と焔の守り手は龍の剣 第七話

「何をしている、お前達?」
「あらぁ、センセイじゃないか」
「ど、導師イオン・・・では後は頼んだぞ」
漆黒の翼の面々に比古清十郎は声をかけノワールは機嫌よさげに答え、神託の盾兵士はイオンを見つけそそくさと退散していく。
「奴はなんだ?」
「あたし達に仕事の事を聞きに来たのさ、別に大したことじゃないさ」
「ふん・・・まぁいいだろう」
その姿を見てなんなのかと問うが他愛なく返され、興味を無くしたよう比古清十郎は後ろを振り返る。
「俺はここでお前達と別れる、俺は俺の仕事の為にここに来たのでな。これ以上は別に同行する理由もない」
「あっ、そう言えばそんなこと言ってたな・・・」
「そうですね、これ以上は引き止めるのも野暮と言う物です・・・では我々は行きましょうか」
「あぁ、じゃあな」
そこで別れを告げる比古清十郎にルークとジェイドは先に行こうと言い、比古清十郎は簡潔な別れの言葉を告げ上に登ろうとするルーク達を見届ける。そしてある程度距離が空くと比古清十郎はノワール達へ振り返る。
「・・・神託の盾からの依頼を受け、ここに来たようだな」
「そうだね・・・まずは宿屋にでも行こうか、少し落ち着いた所で話したいしね」
「そうだな」
話を聞かれてはいけない人物もいなくなったことで、比古清十郎とノワールは遠慮を見せず宿屋に行こうと言い出し四人はなかったよ宿屋に向かう・・・









・・・そして宿の中、久しぶりと言うにはあまりにも早い再会の時に比古清十郎は漆黒の翼達と話をしあう。
「・・・で、ホントにいいのかい?導師をさらってもさ?」
「あぁ、構わん。むしろお前らがやらなければ神託の盾はいかなる手段をもってしてでも導師をさらうだろう、遅いか早いかの違いだ。そうなればあの導師守護役では導師をさらうのを阻止など出来ん」
「やけに断言するね・・・それだけあのオチビを信用してないって事なのかい?」
「信用以前に奴を俺は護衛として見ていない。一々導師から目を離して俺に陶器を媚びるように譲ってくれと任務中に堂々と言うような奴が何故護衛などと言える、その気になれば奴の隙を突き導師を奪うことなど誰にでも出来る・・・お前達でなくともな」
「・・・どれだけ無能なんだい、あの娘は・・・」
イオンをさらってもいいという事にノワールはホントにやってもいいのかと疑うが、アニスに対しての信頼など一片たりとも感じられない言葉を受け目を細めて呆れ返る。
「まぁそれは置いておく。今重要なのはどれくらい早くキムラスカがマルクトの話を受け、行動を起こすかだ」
「・・・あぁ、その事についてだけどね。多分早ければ即決で明日に決まると思うよ、バチカルには今大詠師が来てるって情報があるからね」
「・・・何?」
「・・・顔が怖いよ、センセイ」
そんな会話はもういいと切り捨て比古清十郎はどのようにキムラスカが動くのかと気にし出すが、大詠師とノワールから聞いた瞬間顔の険が一気に増す。
「それは確かなのか・・・?」
「あぁ、ケセドニアでセンセイ達が来る少し前にバチカルに行く船に乗ったって情報が入ってね。多分じゃあるけど今もバチカルにいると思うから、センセイの話から考えたらすぐに聖なる焔の光をアクゼリュスに派遣すると思うよ」
「・・・だろうな、モースなら確実に明日にはルークをアクゼリュスに派遣するよう持ち掛けるだろう。インゴベルトにな・・・」
「「「・・・」」」
明らかに不機嫌さが増したことを隠す気もなく話を進める比古清十郎に、ノワールも後ろの二人も比古清十郎から視線を背ける。
・・・だがそれでは話は進まないと感じたのか、ノワールは改めて前を向く。








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