時代と焔の守り手は龍の剣 第七話
二人の間での事を起こすタイムリミットが決められた後、二人は特に会話を交わす事なく終わらせ別れた。
(さて、そろそろ着くが・・・ん、あれはルークか?)
一人甲板に残っていた比古清十郎は船がバチカルに着くかと考えていると、通路からルークが歩いてくる姿を目撃する。
「・・・あ、カクノシン。ちょっといいか?」
「・・・何か用でもあるのか?」
「うん、まぁちょっと暇だし少し話をしてもいいか?」
「・・・いいだろう」
そのルークは比古清十郎に近付くとおもむろに話しかけてきて、別に当たり障りのない話くらいはいいかと考えた比古清十郎は尊大に頷く。
「ちょっと話をセカンから聞いたんだけど、カクノシンはセカンを育ててるのになんで自分の事を師匠って呼ばせてんだ?アイツはなんかお前が師匠って言えって言ったから今更父親って呼べないって言ってたんだけど、お前は父上って呼ばれたくないのか?」
「・・・何を話しているんだ、アイツは・・・」
だが遠慮を知らないルークの興味本意の声を受け、比古清十郎は質問とセカンの話の内容にたまらず眉間にシワを寄せる。
「・・・まぁいいだろう。これから会うかどうかは知らんが、セカンに話さんと言うなら話そう。いいか?」
「あぁ、わかったよ」
しかし当の本人であるセカンにさえ話を言われなければ別に構わない、そう考えた比古清十郎は素直に答える事にした。若干心苦しい物を感じながらも・・・
「・・・という訳だ」
「・・・」
・・・そしてセカンを拾った経緯から、最初はセカンを育てる気がなかったことから師匠と呼ばせて他人行儀の雰囲気を作ろうとし、だが結局セカンが離れようとしないまま過ごしてきたので今に至ったのだと比古清十郎は語り終える。その話を聞き、ルークは微妙な顔をする。
「・・・なぁ、それって言ってみたらアンタになついてたって事だよなセカンは・・・わかんねー、どうしてこんな無愛想な奴に育てられてセカンはあんな風に育ったんだよ・・・」
「・・・本人を前によくもそのようなことが言えるな、まぁそう言った事は周りからよく言われてはいたがな」
セカンがまっすぐな性格に育ったのは目の前にいる無愛想な男、それを信じられないと呟くルークの声に比古清十郎は頭に青筋を浮かべながらも静かによく言われていることで気にしていないと言う。
・・・実際比古清十郎だけがセカンを育てて訳ではない、エンゲーブに行ってはローズおばさん達などと交流してきたし時折顔を見せる漆黒の翼は案外面倒見よくセカンと接していた(尚取り巻きの男二人はセカンにいたらぬ事をしないよう、肉体的な痛みと精神的な痛みを比古清十郎に存分に刻み付けられた)。いくらなんでも無愛想な男一人の生活で礼儀正しい明朗な子供には育たない・・・だがそれを知らない人間は疑うのだ、比古清十郎がセカンという子供をそだてられるのかを。故に言われ慣れているというのも不本意ながら確かな事である。
「聞かれた事には答えたが、聞きたいことはそれだけか?」
「い、いや・・・それだけじゃないけどさ・・・さっきいつまた会えるかどうかわからないって言ったけど・・・セカンはこっちに来る事ってないのか?」
「・・・何?」
その不機嫌さを多少だが隠しつつ話を終わらせようとするが、比古清十郎は聞き捨てならない物を感じ声に険が増す。少し横を向き恥ずかしさを隠そうと頬をかくその仕草を見て。
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(さて、そろそろ着くが・・・ん、あれはルークか?)
一人甲板に残っていた比古清十郎は船がバチカルに着くかと考えていると、通路からルークが歩いてくる姿を目撃する。
「・・・あ、カクノシン。ちょっといいか?」
「・・・何か用でもあるのか?」
「うん、まぁちょっと暇だし少し話をしてもいいか?」
「・・・いいだろう」
そのルークは比古清十郎に近付くとおもむろに話しかけてきて、別に当たり障りのない話くらいはいいかと考えた比古清十郎は尊大に頷く。
「ちょっと話をセカンから聞いたんだけど、カクノシンはセカンを育ててるのになんで自分の事を師匠って呼ばせてんだ?アイツはなんかお前が師匠って言えって言ったから今更父親って呼べないって言ってたんだけど、お前は父上って呼ばれたくないのか?」
「・・・何を話しているんだ、アイツは・・・」
だが遠慮を知らないルークの興味本意の声を受け、比古清十郎は質問とセカンの話の内容にたまらず眉間にシワを寄せる。
「・・・まぁいいだろう。これから会うかどうかは知らんが、セカンに話さんと言うなら話そう。いいか?」
「あぁ、わかったよ」
しかし当の本人であるセカンにさえ話を言われなければ別に構わない、そう考えた比古清十郎は素直に答える事にした。若干心苦しい物を感じながらも・・・
「・・・という訳だ」
「・・・」
・・・そしてセカンを拾った経緯から、最初はセカンを育てる気がなかったことから師匠と呼ばせて他人行儀の雰囲気を作ろうとし、だが結局セカンが離れようとしないまま過ごしてきたので今に至ったのだと比古清十郎は語り終える。その話を聞き、ルークは微妙な顔をする。
「・・・なぁ、それって言ってみたらアンタになついてたって事だよなセカンは・・・わかんねー、どうしてこんな無愛想な奴に育てられてセカンはあんな風に育ったんだよ・・・」
「・・・本人を前によくもそのようなことが言えるな、まぁそう言った事は周りからよく言われてはいたがな」
セカンがまっすぐな性格に育ったのは目の前にいる無愛想な男、それを信じられないと呟くルークの声に比古清十郎は頭に青筋を浮かべながらも静かによく言われていることで気にしていないと言う。
・・・実際比古清十郎だけがセカンを育てて訳ではない、エンゲーブに行ってはローズおばさん達などと交流してきたし時折顔を見せる漆黒の翼は案外面倒見よくセカンと接していた(尚取り巻きの男二人はセカンにいたらぬ事をしないよう、肉体的な痛みと精神的な痛みを比古清十郎に存分に刻み付けられた)。いくらなんでも無愛想な男一人の生活で礼儀正しい明朗な子供には育たない・・・だがそれを知らない人間は疑うのだ、比古清十郎がセカンという子供をそだてられるのかを。故に言われ慣れているというのも不本意ながら確かな事である。
「聞かれた事には答えたが、聞きたいことはそれだけか?」
「い、いや・・・それだけじゃないけどさ・・・さっきいつまた会えるかどうかわからないって言ったけど・・・セカンはこっちに来る事ってないのか?」
「・・・何?」
その不機嫌さを多少だが隠しつつ話を終わらせようとするが、比古清十郎は聞き捨てならない物を感じ声に険が増す。少し横を向き恥ずかしさを隠そうと頬をかくその仕草を見て。
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