時代と焔の守り手は龍の剣 第七話

そうしてルーク達の後を付いていくと、一同の前に二人の男を連れたやたら派手な姿をした女がやって来た・・・それと同時に比古清十郎は眉を上げる。
「あら、こんなとこに来るなんて珍しいじゃないか。セ・ン・セ?」
「・・・バチカルに用があって立ち寄っただけだ、ここに目的があって来た訳ではない」
そんな比古清十郎にその女は気付き、親しげに話しかけてくる。満更不快そうに返さない比古清十郎のその様子にジェイドが問いかける。
「お知り合いですか?」
「あぁ、暗闇の夢というサーカス団の代表だ。そして俺の旧知の知り合いでもある」
「でもどうしたのかしら、センセ?いつもならセカンちゃんも一緒のはずなのに・・・」
そんな問いに比古清十郎は普通に答えるが、その女は首を傾げながらセカンの事を聞いてくる。その様子にアニスにガイは「ホントに知り合いなんだ・・・」などと言った会話を意外そうな声でヒソヒソと行っている。
「セカンは少し用があって置いてきている・・・それよりわざわざ話しかけてきたのはそれを聞くためだけか?」
「いや、久しぶりだから少しお話がしたかったんだけど・・・この様子じゃ無理のようね。それじゃあ行くよ、お前達」
「・・・待て、少しなら時間はあるだろう・・・済まんが俺はコイツらと話す、その間お前達は入国などの細かい手続きをするために領事館にでも行って時間を潰しておいてくれ」
「・・・そう言うことなら領事館に行くか」
「では行きましょう・・・」
そこから話をしたそうにしながらも帰る事を口にした女を引き止め比古清十郎が話をすると言うと、ルークが領事館に行こうと言いジェイドも意味ありげな視線を残しながら同意して比古清十郎を残し一同はその場を去っていく。
「・・・さて、本当は何の用だ?」
ルーク達が行き比古清十郎の空気が緊迫したものへと瞬間で切り替わる。
「つれない事を言うねぇ、折角の同郷同士の人間であり協力者との再会だってのに。ただでさえアンタに合う時なんて滅多にないんだからさ、顔を見るくらいバチは当たらないだろ?」
「・・・フン」
常人なら息を呑み気圧されるだろう雰囲気をまとっているのに、女・・・ノワールという名の女は至って軽口でいなし、慣れた様子の微笑で返す。
「まぁいい。そろそろお前達にも本格的に動いてもらおうと思っていた所だ、むしろちょうどよかったと言える」
「・・・へぇ、アンタがそう言うなんてね・・・ますます珍しいけど、それって裏を返せば事態は差し迫ってるって事に他ならないって事だろ?」
「あぁ、そうだ」
同郷、そして協力者。明らかに不穏な気配を匂わせる言葉を肯定するよう話す比古清十郎はむしろちょうどいいと言い、ノワールはその言葉からただならぬ気配を感じ声のトーンを落とす。
「これはあまり誰彼にでも聞かれてもいい話ではない、どこか別の場所で話すぞ」
「なら付いてきなよ、この街の私らの拠点で話を聞くからさ」
「いいだろう・・・では行くぞ」
そして比古清十郎は辺りを見渡しながら場所の変更を口にし、ノワールは街中の方に視線を向けながらそちらに行こうと言う。特に反対する理由もなかった比古清十郎が頷くと、ノワールが先を行く形でその後を連れの男二人が付いていき比古清十郎が最後尾を行く・・・









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