時代と焔の守り手は龍の剣 第七話
・・・カイツールの港より船は出港し、ケセドニアに向かう・・・その船の上で比古清十郎は一人甲板の上で佇んでいた。
「ふぅ・・・」
進路先を真っ直ぐ見据え潮風を受けながら髪をなびかせる比古清十郎の表情は、いつもの無愛想な物と比べれば多少は緩んでいる。船旅を気持ちいいと思うくらいには比古清十郎も心は開放的になっているのだろう・・・だがそんな表情をすぐに引き締めて消すと、比古清十郎は後ろの操舵室に上がるための階段へ振り返る。
「流石に船の上では何もないか・・・それならそれで構わんがな」
比古清十郎の視線にある階段の先にいるのはヴァン。船の上で何か起こらないか、ジェイドはルークを見守る形で別の場所にいて比古清十郎はヴァンを見張る形で今の位置にいるのだ。
「ん・・・あれは、ルークか・・・」
すると船の通路を歩いて比古清十郎の方に向かってくるルークの姿を比古清十郎は目撃する。見たところルークは比古清十郎に気付いた様子を見せてはいない。
「・・・隠れて様子を見てみるか・・・ヴァンの元に行くかもしれんからな・・・」
そんなルークを見て比古清十郎は何か応対するのではなく、敢えて泳がしてみようと近くの物陰の方に身を寄せる。
・・・だがその考えが幸か不幸か、比古清十郎は予想だにしないものを目撃した。
(・・・・・・なんだ!?あれは、ルークは苦しんでいるのか!?まるで何かに操られているように見える・・・!)
甲板に来て一人になったルークだったが、唐突に何か海の方に苦しんだような声を上げて両手を差し出す姿に比古清十郎はただ事ではないと目を見開く。そしてルークの手元に光が収束しだす・・・
(何、あれは・・・!見ていても仕方ない、俺がアイツを落ち着かせるしか・・・何、ヴァン・・・!?)
一向にルークが落ち着かずむしろ激しくなる様子を見て比古清十郎はそこから飛び出そうとするが、階段を降りてきたヴァンがルークに急いで近付き落ち着かせようと話しかける様子を見てその場に留まる。
(・・・・・・どうやら落ち着いたようだな・・・む、あれは・・・)
そのままヴァンにルークのことを任せているとルークはなんとか落ち着いたが、ふらっとヴァンに体を預け気を失った姿を見てなんとかなったと比古清十郎は感じた。だがその瞬間、比古清十郎はヴァンの顔を見た。
(・・・セカンの感じた物は確かだったようだな。あれは弟子を見る師の目などではない、他人をゴミとしか見ない人間のクズの目だ・・・)
あれだけルークに優しい態度だったのがいきなり一変して、冷酷さしか感じない感情の伴わない物へと表情が変わった。その事に比古清十郎は自身以外どうなっても構わないといった考えのクズどもと同じ目をしていると、セカンの報告が正しかった事を確信する。
(恐らく奴の思惑の内ではなかったのだろう、今のルークの暴走は・・・でなければ超振動を今この場でぶっぱなすなんて許すはずがない。まだルークを作った意味は奴からすれば果たされてはいないからな・・・だが何故ルークは暴走した・・・?)
そして事態が落ち着いたからこそ比古清十郎は考える、何故ヴァンの意志でなくルークが暴走したのかを。
(・・・こればかりは推測を立てようがないな。とりあえずはルークが起きて二人がこの場から退散するのを待って、その後ジェイドに今の様子を話すか・・・)
だがその原因に関しては比古清十郎にも検討がつけられない。どう言うことなのかは後で二人で話すかと思いながら、比古清十郎は早く目の前の二人が退散することを願う・・・
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「ふぅ・・・」
進路先を真っ直ぐ見据え潮風を受けながら髪をなびかせる比古清十郎の表情は、いつもの無愛想な物と比べれば多少は緩んでいる。船旅を気持ちいいと思うくらいには比古清十郎も心は開放的になっているのだろう・・・だがそんな表情をすぐに引き締めて消すと、比古清十郎は後ろの操舵室に上がるための階段へ振り返る。
「流石に船の上では何もないか・・・それならそれで構わんがな」
比古清十郎の視線にある階段の先にいるのはヴァン。船の上で何か起こらないか、ジェイドはルークを見守る形で別の場所にいて比古清十郎はヴァンを見張る形で今の位置にいるのだ。
「ん・・・あれは、ルークか・・・」
すると船の通路を歩いて比古清十郎の方に向かってくるルークの姿を比古清十郎は目撃する。見たところルークは比古清十郎に気付いた様子を見せてはいない。
「・・・隠れて様子を見てみるか・・・ヴァンの元に行くかもしれんからな・・・」
そんなルークを見て比古清十郎は何か応対するのではなく、敢えて泳がしてみようと近くの物陰の方に身を寄せる。
・・・だがその考えが幸か不幸か、比古清十郎は予想だにしないものを目撃した。
(・・・・・・なんだ!?あれは、ルークは苦しんでいるのか!?まるで何かに操られているように見える・・・!)
甲板に来て一人になったルークだったが、唐突に何か海の方に苦しんだような声を上げて両手を差し出す姿に比古清十郎はただ事ではないと目を見開く。そしてルークの手元に光が収束しだす・・・
(何、あれは・・・!見ていても仕方ない、俺がアイツを落ち着かせるしか・・・何、ヴァン・・・!?)
一向にルークが落ち着かずむしろ激しくなる様子を見て比古清十郎はそこから飛び出そうとするが、階段を降りてきたヴァンがルークに急いで近付き落ち着かせようと話しかける様子を見てその場に留まる。
(・・・・・・どうやら落ち着いたようだな・・・む、あれは・・・)
そのままヴァンにルークのことを任せているとルークはなんとか落ち着いたが、ふらっとヴァンに体を預け気を失った姿を見てなんとかなったと比古清十郎は感じた。だがその瞬間、比古清十郎はヴァンの顔を見た。
(・・・セカンの感じた物は確かだったようだな。あれは弟子を見る師の目などではない、他人をゴミとしか見ない人間のクズの目だ・・・)
あれだけルークに優しい態度だったのがいきなり一変して、冷酷さしか感じない感情の伴わない物へと表情が変わった。その事に比古清十郎は自身以外どうなっても構わないといった考えのクズどもと同じ目をしていると、セカンの報告が正しかった事を確信する。
(恐らく奴の思惑の内ではなかったのだろう、今のルークの暴走は・・・でなければ超振動を今この場でぶっぱなすなんて許すはずがない。まだルークを作った意味は奴からすれば果たされてはいないからな・・・だが何故ルークは暴走した・・・?)
そして事態が落ち着いたからこそ比古清十郎は考える、何故ヴァンの意志でなくルークが暴走したのかを。
(・・・こればかりは推測を立てようがないな。とりあえずはルークが起きて二人がこの場から退散するのを待って、その後ジェイドに今の様子を話すか・・・)
だがその原因に関しては比古清十郎にも検討がつけられない。どう言うことなのかは後で二人で話すかと思いながら、比古清十郎は早く目の前の二人が退散することを願う・・・
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