時代と焔の守り手は龍の剣 第六話

・・・それから比古清十郎とジェイドは必要な事も話終わった為、特に何も話すことなくルークとともにカイツールの国境に戻った。

ルークの心に荒んだ物が発生はしたものの、ジェイドのケアもあり一時の休息を得てルークは多少は気分を持ち直す事には成功した(ニーツ氏は細やかな気配りはセカンには時たまは見せるようですが、まだ日の浅いルークには気を遣わなかったので私がその役目を負いましたbyジェイド)。

・・・そしてヴァン達の報告を待っていると、三人は港から送られてきた使いからどうなったのかという結果を聞いた。



「整備隊長は助かり、アリエッタは逃げた・・・」
「はっ。ヴァン謡将の報告によればアリエッタはアッシュとともにコーラル城には来ておらず、城の奥にいたアリエッタにヴァン謡将が捕縛の為の戦いを仕掛けようとしたら一目散に整備隊長を置き魔物に捕まり逃げたとのことです」
宿の外、ルークが代表の形で使いの兵士から報告を受けるその姿の影で、比古清十郎とジェイドはそっと眉を上げる。
「つきましては港から船を出す事が出来るようになりましたので、すぐに船は出せるとのことです。馬車を用意しておりますが、いかがされますか?」
「あぁ、分かった。すぐ乗るから頼む」
「ハッ!それではこちらに・・・」
だが二人はその事に気付けず馬車を使う事をルークは了承し、兵士は凛と敬礼を返すと手を進路上に差し出し三人を案内しだす。
(アリエッタはヴァンには敵わぬと見て逃げたか)
(妥当な選択でしょうね、アッシュがいないからこそアリエッタも逃げ出したのでしょうが・・・恐らくコーラル城には他の六神将は誰かいたでしょうね、アリエッタのみでは流石にルークとイオン様を捕らえるには色々力不足でしょうし・・・まぁ二人がコーラル城に来なかった事とヴァン謡将がアリエッタの討伐に乗り出した事から敢えて対立することを選ばず、アリエッタを残して撤退したのではと思われますが・・・)
(だろうな)
ルークの後ろ姿を付いていく中、二人はアリエッタの行動から他の六神将もいたのだろうと推測して小声で会話をする。
(ただ、アッシュがコーラル城にいなかったのは意外でしたね。彼の性格からしてまず堂々と待ち受けていると思ったのですが・・・)
(多分それはアッシュの行動の抑止の為だ。向こうからしてまだルークは殺されたくないが、アッシュを置いておいてはどう転ぶか分からんから離れた位置に他の六神将が配慮したんだろう・・・ただその推測に従うなら、ルークまで呼び出したのは殺すためではないと言う事になるがな)
(・・・えぇ、考えられる可能性として一番高いのが同調フォンスロットを開く事だと思われます)
そしてその推測から二人はルークを殺すことが呼び出しの目的ではないと、大方の当たりをつける。
(何にせよ、これよりは一層気を張らねばなるまい。ヴァンはこの行動には関わりはなかったようだが、バチカルに着けば遅かれ早かれ奴は今の顔を外して大それた事をするようになる。それを防ぐためには・・・)
(ルークを守る事ですね、分かっています。それと後で港に着いてから手紙を出しますので、内容の検閲をお願いします)
(ああ、わかってる)
それらの推測を繋げ合わせ更にヴァンの本性を考えれば必要なのはルークを守る事。ジェイドは理解していると言いつつもマルクトへの協力と自身の処分を含めた手紙の件を口にし、比古清十郎はそれは忘れてないと返す。



・・・徐々に整いつつある密かな迎撃体制。それを他の誰にも悟らせないままルークとともに馬車に乗り、二人は軍港に向かう・・・






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