「・・・とりあえずはガイに関してはしばらく挙動をさりげに注視しておけ。様子を見た限りでは今すぐにはルークをどうこうしようなどとは見えんが、何かが起きればそれはマルクトのせいになる。見てみぬフリをすれば、それはお前自身のせいになるがな」
「・・・えぇ、わかっています」
そこから比古清十郎は話を切り替えガイの様子を見るようジェイドに言い、ジェイドは重く頷いて返す。
「ああ、それと・・・もしもアッシュがルークが来なかったと言う事で整備隊長とやらを殺したなら、ルークにマルクトとキムラスカが結託してダアトを攻めこむようにキムラスカ王に頼むよう進言させた方がいい。正直そっちの方が楽でいい気はするがな」
「・・・そうですね、それは考えておきましょう」
そんなジェイドに更にダアトを追い込むような提案を比古清十郎はして、その事についても重く頷く。



・・・これはダアトに対してやり過ぎかと思われるが、他国の人間を人質に取り理不尽な要求を呑まなかったからと言ってその人質をあっさりと殺してしまうような人間がいる組織をむざむざと見過ごす方が異常であると言えよう。ましてや下の人間が勝手にやったことだから自分には関係無いなどと言う言い訳など、国家間の友好を保つ事において不適切極まりない物である。



「ただ実際にそこまでやってしまえば、アッシュはキムラスカを相手取る事になりますが・・・彼はもうキムラスカに何の未練もなく、このような事をしているのでしょうか・・・」
「さぁな。アッシュが自身の行動の果てに何を見ているのかなど、俺には見当はつかん。だが奴のやっていることはキムラスカにマルクトを敵にしても一切構わんと言ってるような物で、その行動だけでももう万死に値する。そんな奴の言い分をマルクト皇帝は事情を聞いたらすんなり無罪とでも言うと思うか？」
「・・・いえ、思いませんね」
・・・だからこそアッシュの行動はキムラスカだけでなく、ダアトの立場も一層危うくする物と言えた。



本当に人質を殺してしまえば流石に預言にどっぷり漬かっているキムラスカとは言え、れっきとした被害者であるルークが証言をすればダアトを責めざるを得なくなる。少なくとも軍港襲撃に関わった神託の盾を全員差し出さなければまずキムラスカは納得出来ないだろう、いくらイオンが必死に敵ではあるが身内でもある神託の盾の処遇を自身で厳しくやるからと言ってもまずキムラスカが信じられるはずがない。そうしてしまえば余計にキムラスカの感情を逆撫ですることになるだろう、そしてそれをアッシュは知ってか知らずか平然とやってのけている・・・



「どちらにせよもう奴のやったことは到底許された事ではない。今更これだけのことをやっておいて、許しを請える立場でも開き直れる立場でも許される立場でもない。奴の考えなど一々気にする必要などない、捕らえて話を聞けばそれで済むことだ・・・最もアッシュがすんなり捕らえられるとは思えんがな」
「・・・」
最後に含みを入れた目付きの鋭くなった瞳を見て、ジェイドは何も言わず視線を横を向ける。



・・・もうアッシュの取った行動は比古清十郎はハッキリと言葉にしてこそいないものの、キムラスカにもマルクトにも捕らえられて当然であるし、流れの中でアッシュは両軍に殺されても当然であった。



（・・・まぁ捕らえるよりは今度見つけた瞬間殺した方が後々楽な気がするんですけどね、ルークにいらない接触をされるより先に・・・）
そんな中でジェイドはしっかりと考えていく、ルークにいらないことをされる前にアッシュを確実にほふりさる為に何をすべきなのかを・・・








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