時代と焔の守り手は龍の剣 第六話

「成程・・・それでは改めて聞きますが、ルーク殿。貴方はバチカルに戻ったなら、私とともにインゴベルト陛下に和平の事について話を通していただけますか?」
「あぁ、それは元々やる気だったし別に構わないけど・・・」
「・・・と言う訳です」
「「っ・・・!」」
その上口添えについて再確認をジェイドは取り、ルークがイオン達の方を少し微妙そうに見ながら了承する。ルークの答えに二人は目を見開き、ジェイドはイオン達を見ながら更に話を詰める。
「ルーク殿はこう言っておりますのでイオン様がコーラル城に行かれるのであれば、もうイオン様を守る義務は私はないと判断して協力を破棄致します。そこから先はどうぞお二人でコーラル城に行かれて下さい。イオン様はさらわれる覚悟、アニスは六神将に殺される覚悟がございましたらね・・・」
「「・・・っ!」」
眼鏡をクイッと上げる仕草から出されたイオンへの完璧な毒舌の突き放しに、二人は一気に総毛立ったようにジェイドを冷や汗を浮かべながら凝視する。その様子を比古清十郎は一人人知れず微笑を浮かべる。



・・・ジェイドの思考には既にイオンに対しての表面的な気遣いは存在しない。あくまでも言葉遣いはそのままだが、それでも自身達の力になれないどころか却って足を引っ張るような事しかしないイオン達に対しての遠慮は比古清十郎の話を聞いてからとうに消え去っているのだから。



「あの・・・旦那、ちょっとそれは言い過ぎなんじゃ・・・」
「だったらお前は導師達に付いていくか?」
「え・・・?」
すると場の空気に言い出しにくそうにガイが弁護をし出そうとするが、すかさず比古清十郎がその声を潰す。
「お前はどっちの味方だ?ジェイドか導師、どっちだ?」
「どっちって・・・どっちかって言ったら、俺はイオンの方だけど・・・」
鋭く放たれた視線と言葉にガイは少々たじろぎつつも、イオンの方の味方だと言う。
「導師を擁護するんだったらお前もコーラル城に行けばいいだろう。ジェイドの話を聞いて理解出来るだろう、コーラル城にはどのような危険があるのか分からないのにむざむざ行く必要などどこにもない。なのに敢えて行こうとする導師の味方をする、それはもう行くと言っている事と同意だ」
「そうじゃなくって、もう少し言い方があるだろうって言ってるんだ・・・!」
「言い方を変えればいいという話でもあるまい、これはコーラル城に行くか行かないかと言う話だろう。それともお前は絶対に二人に危険が及ばんような案があって導師の味方をしていると言うのか?」
「っ・・・それは・・・」
そんなガイにターゲットを絞った比古清十郎はすかさず反論の目を潰し、ガイの考え無しの思考の言葉を封殺する。
「・・・話にもならんな、この程度で何も返せんとは・・・そんな浅薄な考えだから目の前の護衛事だけに捕らわれ、主の護衛も意向も容易に放棄するんだな」
「え・・・?」
「主の護衛に意向・・・どういうことだよ、それ?」
その姿に比古清十郎は盛大に呆れた声を上げるが、聞き捨てならないことを聞いたとガイはピクッと反応し、怒りを伴わせた様子でその言葉の意味を問いかける。そんな中でルークはその発言の意味を訳がわからないという風な様子を見せる。
「・・・言葉通りの意味だ。主はコーラル城に行かないと言っている・・・なのにお前は主を立てる事もなく反対の意見を通し、あろうことか護衛をしなければならない主から離れるような行動を自ら取ろうとしている・・・これをどうひっくり返せば二つを放棄していないと言える?」
「「!?」」
その様子に怒りが伝染して苛立ちに変わった比古清十郎はハッキリとガイの取った行動の意味を問いかけるよう突き付け、ガイとルークは形は違えど両者共に表情が驚愕に染まる・・・察するにガイは言い訳が思い付かない事、ルークはガイの取った行動の意味を知り自身が否定されたと思ったのだろう。










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