時代と焔の守り手は龍の剣 第六話

「わざわざコーラル城に呼び寄せるには理由がある。可能性としてルークを呼び寄せる事を考えてみると、聞いた所アッシュはルークを狙いカイツールで攻撃を仕掛けたと聞いた。恐らくはルークを殺そうと狙った物だろうが、お前は何か他にアッシュに目ぼしい目的があると思うか?」
「・・・私も大方そうではないかと思います」
比古清十郎の考えを述べられ、ジェイドもその考えに大筋で同意する。
「ただこれは、アッシュとアリエッタの二人のみでコーラル城にて待ち構えていたらの場合です。タルタロスにてアッシュは私達を殺そうとしましたが、それはリグレットにより止められましたからね。精神的に発達していないアリエッタならともかくとしても、他の六神将がルークを殺す事を認めるとは思えません。二人だけなら殺す事が目的でも十分有り得ると思いますが、他の六神将はアッシュの独断は許さないでしょう。そう考えれば彼の近くには誰か一人は制止役の六神将がいて、そうすることは難しいと思われます」
だがジェイドはその可能性は他の六神将次第ではないのではないかと告げる。
「まぁ確かに、単独専行を勝手に決めるような人間を一人にさせることはせんだろう。敵もそこまで馬鹿ではない、まずアッシュはアリエッタ以外の誰かに監視されていると見ていいだろう・・・だがそれなら何がアッシュの目的か、だ」
その意見を聞き比古清十郎も納得しつつも、別の目的を模索するよう手をあごに添える。
「・・・考えられる可能性は一つあります」
「なんだ?」
そんな比古清十郎にジェイドは重く話を切り出す。
「前に貴方がコーラル城に行った時、フォミクリー装置があったと言ったでしょう。恐らくアッシュはそのフォミクリー装置を使い、ルークの同調フォンスロットを開くのではないかと思われます」
「同調フォンスロットを開くだと?なんだそれは?」
「端的に言えば被験者とレプリカが完全同位体であってこそ成り立つ、両者の意識をフォンスロットを開けて繋げる技術の事です」
「何?フォミクリーというのはそんなことまで出来るのか・・・」
同調フォンスロットの事を聞き、比古清十郎は眉を寄せる。
「はい。意識を繋げることが出来れば被験者のレプリカに対しての優位性が発揮され、一方的にレプリカを操る事すら可能と思われます。同位体の存在を研究したことがありませんので推測混じりの見解でしかありませんが、ディストが付いているのであればその可能性は十分に有り得ると思います」
「・・・そのようなことになれば、厄介な事になる可能性以外考えられんな」
「具体的にアッシュがどうするのか、目的がわからないことが一抹の不安を覚えますね。ただコーラル城に行かなければそれも意味がないことです」
「・・・意味がない、確かにそうだ・・・と言いたいが、アッシュの行動がどういった考えの上で起こした事なのか。正直気になる所だな」
「気になる?何がですか?」
ジェイドは推測を言いつつもアッシュの目的のコーラル城に行かないのでいいだろうと言い、比古清十郎は同意しつつも今度はアッシュの思考の事を口にする。
「・・・この軍港をアリエッタに襲撃させた件について、だ。俺は最近までヴァンにさらわれて利用されるだけの存在かと思っていたのだが、この軍港はキムラスカの所有領だ。そこを攻撃させたと言うことはダアト、いやヴァンの元に自分から行ったかヴァンの元にいるうちに忠誠を誓ったのかと思ったが・・・それではルークを執拗に攻撃することには繋がらんと思ったんだ」
「確かに・・・」
比古清十郎の疑問の声を聞き、ジェイドも納得して頷く。










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