時代と焔の守り手は龍の剣 第五話
「どういった狙いがあってレプリカ技術を開発したのかなど俺は知りたくもないし、知った所で何の役にも立たん。マルクトの上層部もそう判断するだろう。そしてその上でお前はいかに不意を突かれたとは言え、一方的にタルタロスを襲撃されて兵士達を全て殺された・・・一連の流れを報告すれば当然レプリカ技術の事もだが、タルタロスの事も上層部はお前の罪に加算しなければならん。恐らくマルクトは監督不行き届きとして、お前をタルタロスの乗員を全てむざむざと殺してしまった事で責任者のお前を罰するだろう」
「私が、タルタロスの件で罰を・・・何故!?」
・・・レプリカ技術の件は自分の責任だと気付いても、やはりタルタロスは全く自分の知った事ではないと思っていたのだろう。心底理解出来ないという声に、比古清十郎は怒りさえ通り越した呆れを宿した目で答えていく。
「・・・通常、戦場において負け戦だと確信した場合は速やかに撤退しなければならない。戦闘が目的でない場合は尚更だ。セカンの手紙で俺はお前がキムラスカに何やら戦争ではない、なんらかの目的で向かっているのだろうという内容を目にした・・・だが明らかな負け戦に引きずり込まれたという時に、お前がタルタロスを取り返そうとセカン達に自分の部下のように命令をしたという文を目にした時は俺は神経を疑ったぞ。お前のな」
「・・・戦時下ですから、私の命令を聞くのは当然でしょう」
「ならばお前は何を持ってタルタロスを取り返せると確信した、ジェイド・カーティス?周りは全て神託の盾により他の兵士達は殺され敵しかおらず、使える戦力は自身を含めて精々四人しかいない上、肝心の敵戦力は六神将に魔物を含めればどう少なく見ても数百規模はほぼ確実・・・そんななかでタルタロスの制御を奪ったとて、タルタロスの中の敵を全て片付ける事とは繋がらん。それでお前はたった四人でどうやってその数百規模の敵を片付ける、もしくは逃げおおせるつもりだった?もし逃げおおせるにしても、飛べる魔物を引き連れた神託の盾を撒けるなどとは当然思えんがな」
「っ!それ、は・・・」
ジェイドの声に答えながらも比古清十郎はタルタロスでのジェイドの判断に批判を入れつつ、そう判断した訳を問う・・・が、死霊使いと異名を取るはずのキレ者は即答出来ず、あろうことか言葉を濁す。
(間違いない、コイツ・・・ブリッジさえ取れば、タルタロスを取り返せるなどと考えていやがった・・・!)
その様子を見て比古清十郎は瞬時に自分がジェイドの考えを予測していたものと同じだと知り、眉を一気に釣り上げた。
・・・普通、艦隊戦などの戦いを想定した艦では外側は強化はしても、内側の強化はまずしないものだ。外敵が来る前に追い払い叩くのが役目の艦に、わざわざ敵を中に入れてから叩く機能をつけるのは意味を成さないが為に。
ただ一応外敵が来た時の為のもしもとして骸狩りでタルタロスの動きを止める位には備えをしてはいたようだが、それでもあくまで緊急用の足止め程度。つまり直接敵を倒す物ではないのだ、到底状況を好転させられるものとは言えない。ましてやタルタロスを取り返す程とはとても・・・
それにもし骸狩りとは別に何か打つ手立てがあったとしても、相手もそんなに馬鹿ではない。多少戦力を削げたとしても、すぐさま見切られていた事だろう。ただ、もしもと思ってそんなものがあるからジェイドは強気で取り返せると言ったのかと比古清十郎は考えていたのだが・・・そんなことは全くなかった。
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「私が、タルタロスの件で罰を・・・何故!?」
・・・レプリカ技術の件は自分の責任だと気付いても、やはりタルタロスは全く自分の知った事ではないと思っていたのだろう。心底理解出来ないという声に、比古清十郎は怒りさえ通り越した呆れを宿した目で答えていく。
「・・・通常、戦場において負け戦だと確信した場合は速やかに撤退しなければならない。戦闘が目的でない場合は尚更だ。セカンの手紙で俺はお前がキムラスカに何やら戦争ではない、なんらかの目的で向かっているのだろうという内容を目にした・・・だが明らかな負け戦に引きずり込まれたという時に、お前がタルタロスを取り返そうとセカン達に自分の部下のように命令をしたという文を目にした時は俺は神経を疑ったぞ。お前のな」
「・・・戦時下ですから、私の命令を聞くのは当然でしょう」
「ならばお前は何を持ってタルタロスを取り返せると確信した、ジェイド・カーティス?周りは全て神託の盾により他の兵士達は殺され敵しかおらず、使える戦力は自身を含めて精々四人しかいない上、肝心の敵戦力は六神将に魔物を含めればどう少なく見ても数百規模はほぼ確実・・・そんななかでタルタロスの制御を奪ったとて、タルタロスの中の敵を全て片付ける事とは繋がらん。それでお前はたった四人でどうやってその数百規模の敵を片付ける、もしくは逃げおおせるつもりだった?もし逃げおおせるにしても、飛べる魔物を引き連れた神託の盾を撒けるなどとは当然思えんがな」
「っ!それ、は・・・」
ジェイドの声に答えながらも比古清十郎はタルタロスでのジェイドの判断に批判を入れつつ、そう判断した訳を問う・・・が、死霊使いと異名を取るはずのキレ者は即答出来ず、あろうことか言葉を濁す。
(間違いない、コイツ・・・ブリッジさえ取れば、タルタロスを取り返せるなどと考えていやがった・・・!)
その様子を見て比古清十郎は瞬時に自分がジェイドの考えを予測していたものと同じだと知り、眉を一気に釣り上げた。
・・・普通、艦隊戦などの戦いを想定した艦では外側は強化はしても、内側の強化はまずしないものだ。外敵が来る前に追い払い叩くのが役目の艦に、わざわざ敵を中に入れてから叩く機能をつけるのは意味を成さないが為に。
ただ一応外敵が来た時の為のもしもとして骸狩りでタルタロスの動きを止める位には備えをしてはいたようだが、それでもあくまで緊急用の足止め程度。つまり直接敵を倒す物ではないのだ、到底状況を好転させられるものとは言えない。ましてやタルタロスを取り返す程とはとても・・・
それにもし骸狩りとは別に何か打つ手立てがあったとしても、相手もそんなに馬鹿ではない。多少戦力を削げたとしても、すぐさま見切られていた事だろう。ただ、もしもと思ってそんなものがあるからジェイドは強気で取り返せると言ったのかと比古清十郎は考えていたのだが・・・そんなことは全くなかった。
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