時代と焔の守り手は龍の剣 第五話

「まずはフォミクリー装置についてだが、簡単に言えばその装置を使えば対象の物を複写し本物そっくりの偽物・・・レプリカという物を作れる装置の事だ。そしてその装置を作ったのが、そこにいるジェイド・カーティスだ」
「えっ・・・?」
「・・・」
話がまずフォミクリー装置の話に入りジェイドの事を聞き、セカンはジェイドの方を見る。そこにはバツが悪そうな顔のジェイド。
「本来ならこの技術は禁忌の技術として封印されていなければならなかったが、どこから情報が漏洩したのか知らんが俺が調べればフォミクリーの存在を知るくらいには資料が存在していた。禁忌の技術を封印するにはずさんな管理だったが故に、その情報を元にフォミクリー装置はコーラル城に作られたのだろう」
「・・・いえ、それは違います。おそらくコーラル城のフォミクリー装置を作ったのは六神将のディストだと思われます」
「・・・ほぅ。どういうことだ?」
「っ・・・」
自身の推論を話す比古清十郎にジェイドは力無く口を挟み、その声に不機嫌さが増したよう眉を上げ声を静かに怒らせる様子にセカンは固唾を呑む。
「彼は、私の昔馴染みです。私とともにレプリカ技術の研究に取り掛かっていた時期もあります。ディストの目的が昔から変わっていないなら、彼がやったことだと思われます。その証拠は彼の同僚であるアッシュ、ルークにセカンと瓜二つの彼になります・・・」
「・・・どういうことですか、師匠にジェイドさん?私とルークさん、それにアッシュと何の関係が・・・?」
だが話の流れが自身も含めた三人に焦点が行き、セカンはどういうことだと問う・・・半ば不安を感じているのを否定しながら。
「・・・結論から言わせてもらう、セカン」






「お前は、いやそのルークとやらも・・・そのフォミクリー装置からアッシュを元に生まれた・・・レプリカだ」






「・・・えっ?」
・・・目を閉じた比古清十郎から重く、だが確かに強く放たれた事実。キョトンと目を丸くするセカンに、そのまま比古清十郎は続ける。
「お前は俺に拾われた時、言っていただろう。『二人目が成功した今、こっちを生かす意味はない。適当に始末しろ』という声を聞いたと」
「・・・っ!」
ハッと息を呑むセカンの脳裏に浮かぶのは、ヴァンの顔。
「二人目という意味にフォミクリー装置にお前を見つけた時とほぼ同時にさらわれたルークがコーラル城で見つかった事・・・それらを繋ぎ合わせた時に出て来た物が、お前がレプリカだという事実だ」
「ま、待ってください・・・私がその・・・レプリカだというならまだわかります・・・けど何故、ルークさんまでもがレプリカだと・・・?それに何故レプリカを作る必要が・・・」
「・・・お前も『聖なる焔の光』の秘めたる物を知らん訳ではないだろう。お前達を作った奴らの目的は間違いなくそれだ」
「・・・っ!」
比古清十郎の語りにセカンは動揺しながら声を出すが、暗に含められた『聖なる焔の光』という言葉と先程から自身の脳内で警鐘を鳴らしていた物が合致したことでセカンは戦慄した。
「・・・では、私達は・・・ヴァン謡将にあのアッシュの代わりとして、『聖なる焔の光』になるよう作られたという事なのですね・・・」
「・・・そういう事だ」
だがそれは最早どのようにしても、否定出来ない事実。自身の中でもハッキリ点が線になった推測にセカンはそれを目を伏せながら口にし、比古清十郎も若干声を抑え自身もその考えだとを認める。







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