時代と焔の守り手は龍の剣 第一話
・・・歴史に載らない存在同士の一つの出会い。その出会いから、七年近くが経った・・・
・・・青々と繁った草原、雲の切れ間から見える太陽が草原に立つ二人をさんさんと照り付ける。
「行くぞ」
「・・・はい」
白いマントを羽織る七年前からなんら歳を取ったように見えない男、ニーツ・カクノシン。彼は威圧的に目を細めて木柄の刀を抜き、目の前のホド特有の着物を着て艶やかな黒髪を後ろで結んだ緑目の整った顔立ちに成長したセカンに緊迫感を持たせ刀を抜かせる。
『『カッ!』』
‘キィンッ!’
瞬間、二人の目が同時に開き一瞬で二人とも前に詰めて刀を交える。
「くっ・・・!」
その鍔ぜり合いの一瞬で力比べでは分が悪いと感じたのかセカンは一歩飛んで身を引くと、その場で相当な高さを飛び上がる。
「龍槌閃!」
「龍翔閃!」
‘ギィンッ!’
「っ・・・!」
そこから下にいる師にセカンは唐竹を狙うよう龍槌閃で切り掛かるが、下から師は左手を峰の部分に添えつつ龍翔閃飛び上がりながらセカンの龍槌閃を迎撃する。その衝突の瞬間セカンは師の龍槌閃に威力負けしたようで体勢を崩され宙に浮かされるが、宙で一回転して師の前に着地する。
「・・・ふん」
すると数瞬しか切り合っていないのに突然カクノシンは刀を納め、満足そうに鼻を鳴らす。
「大分マシになってはいる。俺ほどではないにしてもな」
(自信たっぷりに言われるの腹立つ・・・けど、師匠にまともに一撃入れられてないしなぁ・・・)
髪をかきあげいかにもキメているポーズの師を前に、セカンは刀を納めジト目で見つつも何度思ったかしれない不満と憧憬を内心考える。
・・・この七年、セカンはカクノシンの元ですくすく育っていった。最初は何も出来ない自身に少なからずセカンはカクノシンに対し、申し訳がない気持ちがあった。例えカクノシンから離れたくないと、自身がわがままを言った迷惑から始まった者だとしても。
だが、カクノシンは何だかんだ言いつつもセカンを自ら見捨てるような事は一言すら言いはしなかった。ぶっきらぼうに振る舞いつつも、セカンはそんなカクノシンに優しさを感じずにはいられなかった。
・・・そんな暮らしが一年程も続き、セカンも大分家事が出来るようになり落ち着いてきた時のことである。度々食料を買いに行く為住んでいる小屋から街に出る二人だったが、一度外に出れば当然魔物がはびこっている。そんな時に魔物を倒すのは当然カクノシンの役目になるわけだが、セカンはそんな時に疑問に思った。‘何故師匠はこれほど強いのか’と。
一年も一緒にいるとそれなりに子供でもわかるようになる、強さがどれほどのもので街にいる人や兵士と比べてカクノシンが異質な強さなのかが。そこでセカンはある日思い切って聞いた、「なんで師匠はそんなに強いんですか?」と。
・・・その問いにカクノシンは驚いたように止まったが、すぐさま答えを返した。「預言が嫌いだからだ」と。
・・・預言。その時のセカンにとっての預言とは非常に縁の浅い物だった。カクノシンが人付き合いが悪く人里に出ない上、預言に頼らない生活をしているものだから自然とセカンも預言に頼らないようになっていた。むしろ預言により献立すら決めるその風潮を、子供ながらになんでと思う程だった。
そしてカクノシンの強さに憧れつつもあったセカンは更に聞いた。「それなら預言を嫌いなら私も強くなれるんですか?」と。
その問いにまたもカクノシンは驚いたように止まったが、「・・・強くなりたいというなら俺の剣を教えてやる、だが剣を教える時は今までのように甘くはしない。そう聞いて覚悟はあるか?」とセカンに問い返した。
その問いに少しでもカクノシンに近付きたかったセカンは「はい!」と、即答で返した。
・・・そこから始まったのだ。カクノシンの流派の飛天御剣流を学ぶ弟子としての生活が・・・
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・・・青々と繁った草原、雲の切れ間から見える太陽が草原に立つ二人をさんさんと照り付ける。
「行くぞ」
「・・・はい」
白いマントを羽織る七年前からなんら歳を取ったように見えない男、ニーツ・カクノシン。彼は威圧的に目を細めて木柄の刀を抜き、目の前のホド特有の着物を着て艶やかな黒髪を後ろで結んだ緑目の整った顔立ちに成長したセカンに緊迫感を持たせ刀を抜かせる。
『『カッ!』』
‘キィンッ!’
瞬間、二人の目が同時に開き一瞬で二人とも前に詰めて刀を交える。
「くっ・・・!」
その鍔ぜり合いの一瞬で力比べでは分が悪いと感じたのかセカンは一歩飛んで身を引くと、その場で相当な高さを飛び上がる。
「龍槌閃!」
「龍翔閃!」
‘ギィンッ!’
「っ・・・!」
そこから下にいる師にセカンは唐竹を狙うよう龍槌閃で切り掛かるが、下から師は左手を峰の部分に添えつつ龍翔閃飛び上がりながらセカンの龍槌閃を迎撃する。その衝突の瞬間セカンは師の龍槌閃に威力負けしたようで体勢を崩され宙に浮かされるが、宙で一回転して師の前に着地する。
「・・・ふん」
すると数瞬しか切り合っていないのに突然カクノシンは刀を納め、満足そうに鼻を鳴らす。
「大分マシになってはいる。俺ほどではないにしてもな」
(自信たっぷりに言われるの腹立つ・・・けど、師匠にまともに一撃入れられてないしなぁ・・・)
髪をかきあげいかにもキメているポーズの師を前に、セカンは刀を納めジト目で見つつも何度思ったかしれない不満と憧憬を内心考える。
・・・この七年、セカンはカクノシンの元ですくすく育っていった。最初は何も出来ない自身に少なからずセカンはカクノシンに対し、申し訳がない気持ちがあった。例えカクノシンから離れたくないと、自身がわがままを言った迷惑から始まった者だとしても。
だが、カクノシンは何だかんだ言いつつもセカンを自ら見捨てるような事は一言すら言いはしなかった。ぶっきらぼうに振る舞いつつも、セカンはそんなカクノシンに優しさを感じずにはいられなかった。
・・・そんな暮らしが一年程も続き、セカンも大分家事が出来るようになり落ち着いてきた時のことである。度々食料を買いに行く為住んでいる小屋から街に出る二人だったが、一度外に出れば当然魔物がはびこっている。そんな時に魔物を倒すのは当然カクノシンの役目になるわけだが、セカンはそんな時に疑問に思った。‘何故師匠はこれほど強いのか’と。
一年も一緒にいるとそれなりに子供でもわかるようになる、強さがどれほどのもので街にいる人や兵士と比べてカクノシンが異質な強さなのかが。そこでセカンはある日思い切って聞いた、「なんで師匠はそんなに強いんですか?」と。
・・・その問いにカクノシンは驚いたように止まったが、すぐさま答えを返した。「預言が嫌いだからだ」と。
・・・預言。その時のセカンにとっての預言とは非常に縁の浅い物だった。カクノシンが人付き合いが悪く人里に出ない上、預言に頼らない生活をしているものだから自然とセカンも預言に頼らないようになっていた。むしろ預言により献立すら決めるその風潮を、子供ながらになんでと思う程だった。
そしてカクノシンの強さに憧れつつもあったセカンは更に聞いた。「それなら預言を嫌いなら私も強くなれるんですか?」と。
その問いにまたもカクノシンは驚いたように止まったが、「・・・強くなりたいというなら俺の剣を教えてやる、だが剣を教える時は今までのように甘くはしない。そう聞いて覚悟はあるか?」とセカンに問い返した。
その問いに少しでもカクノシンに近付きたかったセカンは「はい!」と、即答で返した。
・・・そこから始まったのだ。カクノシンの流派の飛天御剣流を学ぶ弟子としての生活が・・・
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