時代と焔の守り手は龍の剣 第四話

・・・結局ミュウを加える事になり、出発することになったセカン達。ルークはミュウミュウ言うミュウの口調を気に入らなかった様子で、ティアは隠してはいるがミュウが来たことを嬉しそうな様子で二人が正反対に受け入れていた。

・・・そしてフーブラス河を抜け、一路カイツールに向かったセカン達はカイツールに到着した。



「あれは・・・アニス?」
国境沿いの街ということもあり、検問という物は存在する。その検問を行うマルクト兵の前、何か色々言っているアニスの後ろ姿をセカン達は目撃した。
「・・・月夜ばかりと思うなよ」
「アニス、ルークが聞いてますよ」
しかしマルクト兵から許可が下りなかったアニスは渋々セカン達の方へ戻るが、明らかな不満を込めた呟きと顔にイオンが柔らかに突っ込む。
「・・・!きゃわ~ん、アニスの王子様~!」
「おわっ!?」
そうイオンから聞いた瞬間驚きの変わり身で最大の笑みをアニスは見せ、ルークに飛び付き抱き着く。
(・・・なんなんだろう。これだけ露骨でなんで導師は注意もせず笑っていられるんだろう・・・)
・・・目に見えるのは明らかな媚び、なのにそれをたしなめるどころか許容するようなイオンの態度。導師と導師守護役の礼節に見識の基準はどうなっているのか、セカンはそんなことを思いながらやり取りを見ていた。



(え・・・ルークさんに向けて殺気!?)
適当にアニスをルークが振り払った辺りで、セカンは上の方からルークを殺さんとする殺気が向けられていると唐突に感じ取る。
「ところでどうやって検問所を抜けますか?私もルークも旅券がありません」
「ここで死ぬ奴にそんなものはいらねぇよ!」
(まずいっ!)
‘キィンッ!’
だが正確な場所を把握しようとする前にティアの声をきっかけに殺気の元が叫びながらルークを目指して飛び込んで来て、それを見てセカンは刀を抜き飛び降りた相手の振り下ろす剣を受け止める。



「なっ・・・!」
「あっ・・・貴方は!」



・・・瞬間、交錯した髪の毛の色だけが違う瓜二つの顔に両者の顔に驚愕が浮かぶ。そして同時にセカンは理解した・・・ルークを襲ったのはアッシュだと。
「・・・くっ!」
「っ!・・・チィ」
・・・これが互いが互い、顔を初めて見る者同士だったら硬直は今しばらく続いていただろう。だがセカンは一度アッシュの顔を見ている、その差で動揺から立ち直り力をこめ刀を振り払いアッシュを後ろに飛ばす。少し間を開けられ着地したアッシュも動揺から立ち直りつつ、舌打ちをしてセカンを睨む・・・いや、正確にはセカン越しに後ろで呆然としているルークの姿を。
(・・・まずい、私がここで躊躇したらルークさんが・・・なら後で何か起こる前に今アッシュを・・・!)
・・・尋常ではない憎しみを備えたこだわりのようなもの、そんなものがルークに向けてアッシュはある。そう一瞬で目を見て感じてしまったセカンは改めて刀を握り直し、この場で後に遺恨を残さないようアッシュを倒してしまおうと前に出ようとする。
‘キィンッ!’
だがそんな考えは突如横から現れ、同じように前に出たアッシュの剣を受け止めた男によって阻まれた。
「退け、アッシュ!」
「・・・ヴァン、どけ!」
「・・・どういうつもりだ。私はお前にこんな命令を下した覚えはない。退け!!」
ヴァンと呼ばれたその男の声に、アッシュはうまくいかないとでも思ったのか剣を納めジャンプしてその場から去って行った。
「・・・さて、すまなかった・・・!?」
その光景を確認し、ヴァンはセカン達の方へ振り返る。だが振り返ったヴァンはそこにあったセカンの顔に驚愕と・・・心配そうな感情を同時に浮かべた。
「どうしたのだ、一体・・・?急に震え出して・・・」
何故ヴァンがそうなったのかと言えば、体を抱きガチガチと震えながら目を伏せ明らかに正常とは言えない状態のセカンがいたのだから・・・





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