禁忌とされた封印された過去との対峙

「・・・これで今日の分は終わり、ですね」
「お疲れ様、サフィール」
「いえ、これくらいは当然の事ですよ」
・・・場はケテルブルクの知事の部屋、ここにサフィールとネフリーの二人は執務に取り掛かっていた。それで自身に割り当てられた机の上で書類をまとめるサフィールにネフリーは労いの声をかけ、互いに穏やかな顔を見せる。
‘ガチャ’
「・・・サフィール、いますか?」
「おやアリエッタ、どうしたのですか?ここにまで来て」
そんな二人のいる部屋の扉が開き、入室してきたのは口調から拙さが薄くなり三年分成長して大人の空気を身に付けたアリエッタでサフィールは来訪の訳を問う。
「サフィールの家にいたらお客様が来ました。それでこっちにいるって案内する為に来ました」
「・・・お久しぶりですね、サフィールさん」
「これは・・・フリングス少将、お久しぶりです」
それで来たわけを言うアリエッタの後ろから現れたのはフリングスで、サフィールもネフリーも立ち上がり頭を下げる。
「そう固くならないでください、今日はバチカルからグランコクマに戻る道すがらこちらに立ち寄っただけですから任務などではありません」
「バチカルから、ですか・・・そう言えばキムラスカではルーク殿の成人の儀が行われているという話でしたね・・・それで代表として少将が向かわれたと言うことですか」
「そう言うことになります」
そんな二人の様子に笑顔で任務で来た訳ではないから気にするなと言うが、サフィールが頭を上げて言葉からバチカルに行ったことを推測した事を肯定して頷く。
「・・・と言うわけで、と言うのもなんですが今日の私はあくまで一個人として貴殿方に話をしたいと思い会いに来ました。ですので時間があるなら付き合っていただきたいのですが、いかがですか?」
「・・・どうしますか、ネフリー?私は貴女の判断に従いますが・・・」
「そうですね・・・わかりました、お付き合いします。ちょうど仕事も一段落した所ですから」
「そうですか、ありがとうございます」
ただと来訪の立場としては一個人なのだと言い話をしたいと願うフリングスに、サフィールがネフリーに判断を委ねれば快く頷きフリングスもまた笑顔で頭を下げる。












・・・それで仕事の後片付けも済ませ、四人が向かったのは現在サフィールの住む家だった。



「・・・しかし驚きましたね、まさかアリエッタがサフィールさんの所にいたとは・・・」
そしてテーブルを囲むよう四人が紅茶のカップを掲げながら会話を交わす中、フリングスがアリエッタがここにいる事を意外だと切り出す。
「一応グランコクマを出る前に彼女に言っておいたんです、困った時にはケテルブルクに行くから頼ってくださいと。それでケテルブルクに戻ってしばらくしたら彼女が来たんです」
「・・・あの後ママのいるところに戻りました。それでしばらくして落ち着いたんですけど、何をやりたいのかって考えた時に何かやりたいなんて考えることも出来なくて・・・それにママも言ったんです、『何も目的が見えないままここにいるくらいなら人間の元に行け、このまま我の元にずっといても見ていて何の解決にもなりそうにない』と・・・それでママの元を離れた後にどうしようって思って思い出したんです、サフィールの言葉を」
「ダアトに戻ろうとは思わなかったのですか?」
「・・・それは考えられなかったです。多分戻ってもイオン様達の事で変なことばっかり考えてたと思うから・・・」
「そう言った事があるからサフィールさんを訪ねた、と?」
「はい・・・最初は色々迷惑をかけたと思いますけど、それでもサフィールはアリエッタを受け入れてくれました。それでアリエッタはサフィールの家に住み込むようになったんです・・・」
「そうですか・・・」
サフィールはそんな声に一応声はかけておいたと言い、アリエッタは色々考え困難があった上でその声を頼りにケテルブルクに来たのだと言い、フリングスはその葛藤の結果なのだと納得し重く頷いた。











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