禁忌とされた封印された過去との対峙

「さて・・・フリングス少将、アリエッタはこのように言っていますがもうよろしいですか?」
「えぇ・・・ただこれは聞かなければなりませんが、貴方は最終的にどのようにされるのですか?これは一応聞いておかなければならないのですが・・・」
「・・・そうですね、それはお答えしなければいけませんでした」
アリエッタの事は一先ず結論が出た。そう確認してフリングスに話を振るがただと聞き返された問い掛けに、ディストは失念していたと一つ頷く。
「・・・ちなみにお聞きしますが、答え次第で最終的に我々を監視なしで釈放されるおつもりですか?マルクトは」
「えぇ一応は。ただまた何か不穏な行動を起こしたなら即刻制圧に向かう事になるでしょう、これはシンク殿にも伝えました」
「そうですか・・・でしたらお答えします。私はケテルブルクに帰り、残りの人生を静かに過ごしたいと思います」
「ケテルブルクに・・・ですか・・・」
そこでふと後に監視はつくのかと問うディストにシンクに先に言った事を用いて同じようにフリングスは返すと、ならと本心を明かしたディストになんとも言えない神妙な表情になる。
「えぇ、これより私はもう特に何か起こすつもりはありません。今から何かをするような気持ちにも到底なりませんから・・・だからひっそりと暮らしたいんです、様々な事を見つめ直した上で残りの人生を過ごすために・・・」
「そう言うことですか・・・わかりました、すんなりとそのまま要望が通るとは思えませんが貴方の願いが通じるように私から働きかけたいと思います。そして平行して神託の盾からの除籍だけに留めるようにしておきます」
「ありがとうございます、フリングス少将」
そして自身の思いの丈を昔を想うように懐かしそうに語る姿にフリングスもすぐにそうなる可能性はないと言いつつその考えを尊重する意向を示し、ディストは謝意を込めて頭を下げた。















・・・それで両者の意志を確認し終えた所でフリングスは二人を元の場所に戻し、二人の意向を伝えるよう上層部に報告をした後ピオニーの私室に向かった。



「・・・そうか、ディストはケテルブルクに戻りたいと・・・」
「えぇ、見たところ危険思想を持っているようには思えませんでした。ただ無条件で彼を釈放出来るとは思えませんので、周りを納得させるためには多少準備期間は必要と思いますが・・・」
「それなら問題はないだろう。神託の盾を辞めるというなら然程時間はいらない。精々3ヶ月程でもグランコクマで奉仕活動をしてもらえれば解放はしてやれる。それにケテルブルクなら現地の人間に活動を報告させるとでも言えば反対意見もなんとかなるだろう・・・後はアリエッタだがお前の言ったよう1ヶ月ならグランコクマに置いてやれるが、後は本人次第だ。そこから先は俺達では関与出来んから、まともな道を歩むことを望むのみ・・・か」
「はい、そうなります・・・」
そして二人の事を報告し終わったフリングスだがディストの事はどうにでもなるがと言うピオニーだが、アリエッタの事になり暗さを滲ませる表情で横を向く姿にフリングスもただ頷く以外に出来なかった。
「・・・もう下がっていいぞ、アスラン」
「はっ、失礼します」
そのまま退出を命ずるピオニーにフリングスは即座に敬礼を返し、私室を後にする・・・
「・・・アリエッタも似たような立場だからこそ声をかけた、か・・・相当に心境に変化があったようだな、サフィール・・・確かに考えてみればアリエッタも同じ立場じゃあるけどな・・・」
一人残ったピオニーは天井を仰ぎ見ながらそっと呟く、ディストの変化を確かに感じて。
「・・・もう大丈夫とは言えんが、サフィールの事を信じてみるか。それにもう、これ以上あいつにこだわる訳にもいかないからな・・・」
そして信じると言いつつもサフィールの事ばかりは考えられないと、首を横に振る・・・そう、世界が新たに変わっていかなければならない以上、ディストにばかりピオニーが気をかけるわけにはいかないのだ。ただでさえジェイドの事があったのだから、気を張らなければならないこともピオニーは自身でわかっている。
「・・・もうアスランに個人的に報告させるのも止めるか・・・」
だからこそピオニーはそっと決意を漏らした、わざわざ気になるからと報告させるのは止めようと・・・















・・・その後時間が経ちピオニーの元にはアリエッタは神託の盾を辞めた後ライガの元に行くとグランコクマを出て、ディストは3ヶ月経ってケテルブルクに戻ることになったと報告が入った。その報告に思うところはあったが、ピオニーは必要以上に何も言えないとその報告は聞き流すに至った。












・・・そして、3年の時が過ぎた・・・






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