禁忌とされた封印された過去との対峙

「そうか・・・ならとりあえず俺に付き合って飲め。話は済んだとは言えこのままとっとと帰るではこのバーの人間のメンツもたたんだろう、それに奢ると言った俺のメンツもな」
「・・・そうですね、そうします」
そして話も終わったと見てグラスを持ち向ける比古清十郎に倣い、ネフリーも飲むことにして同じようにグラスを向けた。比古清十郎に付き合わんとして・・・















・・・それから時間は経ち、比古清十郎は場を切り上げネフリーと別れを交わし宿に戻った。その際は別に何も言うことなく時間は過ぎ、翌日になって三人はケテルブルクを後にしてグランコクマに戻った。






「・・・そうか、レプリカのネビリム先生は始末したんだな」
「えぇ・・・ほとんどカクノシン氏に任せてしまいましたが・・・」
・・・そして所は代わり、ピオニーの私室。
グランコクマに戻ってきた事で比古清十郎はルーク達の元に戻りディストもまた兵に任せて牢の中に戻した所で、ジェイドは私室にまで行きピオニーに報告をし終えた。
「それでディストはどうしてる?」
「色々と物事を考えざるを得ない精神状態のようで、塞ぎこんでいます。しばらくはそっとしておかないと立ち直れないと見ています」
「そうか・・・」
続いて今度はディストの事について聞くピオニーはまだ時間が必要と返され、複雑そうに表情を歪める。
「・・・とりあえずディストの事はしばらく放っておくしかないか。もう少しすればプラネットストーム停止に預言を詠む事の廃止が決まる、それまでは他の神託の盾の処分を下すには面倒が重なるからどうするかの決断は置いてやれる」
「・・・もしその判断が芳しくない物だったとしたなら?」
「・・・こちらからはもうディストの事は擁護はしない、向こうの処断に任せる。流石にこれ以降もネビリム先生の復活に身をやつそうと言うのならこちらも弁護出来ない上、個人としても公人としても見逃す訳にはいかんからな」
「そうですか・・・」
その表情のまま決断の保留を口にするピオニーだがもしもの時の事をジェイドから聞かれ、苦渋の決断を下す気はあると重く返し一先ず納得させる。



・・・わかっているのだ、ピオニーも。もしここでただディストを擁護するような決断を下すようなことをしたのならジェイドの事はどうなるのかと、ディストのことだけ贔屓をするようなことになるのかを。それは当事者のジェイドにとっても決断を下したピオニーにとっても、そうすることはとても許されることではなかった。



「・・・報告は以上か、ジェイド?」
「はい」
「じゃあ戻れ、まだやるべきことは残っているんだからな」
「はっ、失礼します」
そんな内心を互いに分かっているからこそ、余計な詮索は不要。
言葉にこもった意思までもを確認し終わった所でピオニーの命令を受け、ジェイドは敬礼を返して私室を後にする。
「・・・ネビリム先生の件は終わった、か・・・結局俺は何も出来なかったな、あいつらを送り出す以外に何も・・・」
そして一人残ったピオニーは寂しげに天井を仰ぎ、独白を漏らす。
「言い訳をするつもりで言う訳じゃないが、出来れば俺も行きたかったな・・・そうすりゃもうちょっとまともに気持ちを振り切れると思ったんだが・・・やっぱ俺も俺で引きずってたんだろうな・・・」
そして更に口に出すのは羨望混じりの独白・・・ピオニーもジェイド達がケテルブルクに行く間自覚していたのだ、ネビリムとの思い出に決着をつけたいと。しかしやはり当事者として立場もあって関係出来なかったことは心残りであった。
「・・・ま、今更言っても意味のないことだ。俺もちゃんと区切りをつけないとな、周りに迷惑をかけないように・・・そしてせめてディストがどういう決断を下すかまでに決めなきゃな・・・!」
しかし立場があるからこそと理解しているから気持ちを切り替えられる。ピオニーは顔を下ろしながらも強い意思を目に宿し、これから先の事へと気持ちを移した。ネビリム関連の事を吹っ切る為に・・・










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