禁忌とされた封印された過去との対峙
・・・それで二人が向かったのはケテルブルクの中心部に位置するカジノのバーカウンターだった。
「さて・・・酒も来たことだが、とりあえずお前が奴らとどのような会話を交わしたかを話せ。お前がどれだけ事情を知っているかを知らん事には話が二度手間になりかねん」
「はい、わかりました・・・」
そこでカウンターで横並びになってバーテンから酒をもらい、しばらく寄るなと達しを与えてから比古清十郎が話題を振ればネフリーも意を決して話し出す。
・・・そこからネフリーの話を比古清十郎は表情を変えることなく受け入れ続けた、話を語る本人が悩んで気持ちを打ち明けている姿と対照的に。
「・・・という訳です・・・貴方には面倒をかけました、兄達が・・・私の方からお詫びさせていただきます」
「もう終わった事だ、気にするな。それにお前に迷惑をかけられた覚えはないから詫びる必要もない」
そして話が終わり申し訳ないと頭を下げるネフリーに比古清十郎は淡々と気にする必要はないと告げる。
「・・・まぁとりあえず話はわかった、ディストがあのようにまいっていた理由もな」
「・・・ちなみに貴方はあそこで何を話していたのですか?」
「大したことじゃない、あそこで目に見えて辛気臭さが滲み出てる二人を見て何事かと声をかけただけだ。ただジェイドから妹に会ったとまでは聞いたが、そこまで話をしていたとは思わなかったがな」
「そうですか・・・」
そこで一度空気を改め話をし出す比古清十郎にネフリーは先程の事を聞くが、そんなに実のある話でなさそうな返しに微妙そうに返す。
「そのように気に病むな。もう終わった事、そう言っただろう」
「ですが・・・」
「・・・お前の存在があったからこそ奴らは多少なりにも救われた、そう言われてもか?」
「えっ・・・?」
尚も浮かないその様子に比古清十郎は再度声をかけるが、イマイチの反応・・・そこに比古清十郎が仕方ないと更に投じた言葉にネフリーは呆けた声を上げる、何をと。
「言っていたぞ、奴らは。ネフリーがいたからこそ程度の違いはあれど、完全に道を踏み外す事はなかったと」
「そんな・・・兄さんがそんなことを言うなんて・・・」
「なんだかんだで奴も妹をそれなりに想っていた、ということだ。それはディストもだがピオニーも同じことだろう。それほどにネビリムの私塾仲間という縁は重い。奴らにとってな・・・だからこそ一人真っ当な道を歩むお前の姿が奴らの励ましとなり、指標となったのだろう。ネビリムを過去の者として受け入れ生きる、その姿がな」
「・・・っ!」
本人達がいたらまず言えないだろう本音をズバズバと打ち明けていく比古清十郎の言葉に、ネフリーは何とも言えない粟立ちと恥ずかしさを身に感じて頬を染めた。自身がそこまで思われていることに。
「・・・まぁお前の気持ちもわからんでもない。奴らの姿はまだ落ち着きが見えんというのは確かな事実だ、端から見れば不安もあるだろう。だがもうネビリムの復活をディストが考えることはない、だから放っておいてやれ。どうせしばらくは自分自身と向き合わねば結論は出ないだろうからな・・・そして迷いが晴れて自身に会いに来た時に会ってやれ、迷いを晴らして胸を張って会いに来たディスト達にな」
「・・・はい、そうします」
そして最後に比古清十郎が自信を覗かせた笑みを見せ待てと言った事に、ネフリーは少し考えた後に頷いた。晴れやかにではないが、今もう一度会うべきではないと噛み締め納得した上で。
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「さて・・・酒も来たことだが、とりあえずお前が奴らとどのような会話を交わしたかを話せ。お前がどれだけ事情を知っているかを知らん事には話が二度手間になりかねん」
「はい、わかりました・・・」
そこでカウンターで横並びになってバーテンから酒をもらい、しばらく寄るなと達しを与えてから比古清十郎が話題を振ればネフリーも意を決して話し出す。
・・・そこからネフリーの話を比古清十郎は表情を変えることなく受け入れ続けた、話を語る本人が悩んで気持ちを打ち明けている姿と対照的に。
「・・・という訳です・・・貴方には面倒をかけました、兄達が・・・私の方からお詫びさせていただきます」
「もう終わった事だ、気にするな。それにお前に迷惑をかけられた覚えはないから詫びる必要もない」
そして話が終わり申し訳ないと頭を下げるネフリーに比古清十郎は淡々と気にする必要はないと告げる。
「・・・まぁとりあえず話はわかった、ディストがあのようにまいっていた理由もな」
「・・・ちなみに貴方はあそこで何を話していたのですか?」
「大したことじゃない、あそこで目に見えて辛気臭さが滲み出てる二人を見て何事かと声をかけただけだ。ただジェイドから妹に会ったとまでは聞いたが、そこまで話をしていたとは思わなかったがな」
「そうですか・・・」
そこで一度空気を改め話をし出す比古清十郎にネフリーは先程の事を聞くが、そんなに実のある話でなさそうな返しに微妙そうに返す。
「そのように気に病むな。もう終わった事、そう言っただろう」
「ですが・・・」
「・・・お前の存在があったからこそ奴らは多少なりにも救われた、そう言われてもか?」
「えっ・・・?」
尚も浮かないその様子に比古清十郎は再度声をかけるが、イマイチの反応・・・そこに比古清十郎が仕方ないと更に投じた言葉にネフリーは呆けた声を上げる、何をと。
「言っていたぞ、奴らは。ネフリーがいたからこそ程度の違いはあれど、完全に道を踏み外す事はなかったと」
「そんな・・・兄さんがそんなことを言うなんて・・・」
「なんだかんだで奴も妹をそれなりに想っていた、ということだ。それはディストもだがピオニーも同じことだろう。それほどにネビリムの私塾仲間という縁は重い。奴らにとってな・・・だからこそ一人真っ当な道を歩むお前の姿が奴らの励ましとなり、指標となったのだろう。ネビリムを過去の者として受け入れ生きる、その姿がな」
「・・・っ!」
本人達がいたらまず言えないだろう本音をズバズバと打ち明けていく比古清十郎の言葉に、ネフリーは何とも言えない粟立ちと恥ずかしさを身に感じて頬を染めた。自身がそこまで思われていることに。
「・・・まぁお前の気持ちもわからんでもない。奴らの姿はまだ落ち着きが見えんというのは確かな事実だ、端から見れば不安もあるだろう。だがもうネビリムの復活をディストが考えることはない、だから放っておいてやれ。どうせしばらくは自分自身と向き合わねば結論は出ないだろうからな・・・そして迷いが晴れて自身に会いに来た時に会ってやれ、迷いを晴らして胸を張って会いに来たディスト達にな」
「・・・はい、そうします」
そして最後に比古清十郎が自信を覗かせた笑みを見せ待てと言った事に、ネフリーは少し考えた後に頷いた。晴れやかにではないが、今もう一度会うべきではないと噛み締め納得した上で。
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