禁忌とされた封印された過去との対峙

・・・それで二人は街中にある空いていたベンチを見つけ、雪を払いそこに座った。
「・・・」
「・・・」
しかし二人の間にはろくな会話が交わされる事はない・・・わかっているのだ、二人も。ネビリムの事をどう言えばいいのか、はたまたどう話を聞けばいいのかが互いにわからないということを。
「・・・兄さん、サフィール?」
「・・・ネフリー?」
するとそこに現れたのは二人がそこに来たのを怪訝に思っているネフリーだった。
「どうしたの?サフィールはこの前来たから分かるけど、兄さんも一緒なんて・・・」
「・・・少し用があって一緒にケテルブルクに来ていたのですよ。サフィールはその時単独行動の許可をあげていたんです」
「サフィールに?・・・兄さん、どうしたの?今のサフィールは六神将のディストとして活動しているって聞いたけれど、そのディストという名を呼ばないなんて・・・」
「っ・・・失言でしたね・・・」
そのまま二人が揃っていることについて聞くネフリーになんてことはないと返すが、ジェイドの妹らしく聡い指摘にたまらず苦い顔にジェイドはなる・・・ついついネビリムの件にネフリーがサフィールと呼んだことから、気が緩んでそう呼んだことに。
「・・・どうしたの、兄さん?そもそもどう言った理由でこのケテルブルクに来たのか、それを私は聞きたいのだけれど・・・」
「・・・そうですね。もう終わったことでもありますから、お話しましょう。ただあまり公にするにははばかられる話ですから場所を変えませんか?」
「・・・そう、なら付いてきて。私の所ならあまり人目も気にならないでしょうから」
そんな姿に有無を言わさぬ形でネフリーがここに来たわけを聞くと、ジェイドが観念したように頷き場所を変えることを提案しネフリーの先導で知事の執務室に二人は向かう・・・















・・・それで知事の部屋に来たジェイドはネフリーに対し、事の発端からの説明をした。比古清十郎の協力、惑星譜術、ピオニーの許可、レプリカのネビリムの結末・・・それまでの一連の流れを・・・



「・・・と言うわけで、我々は事を終わらせて戻ってきたんです」
「・・・そう、なんですか」
そしてジェイドが説明を終えた訳だがネフリーもどう反応していいものかと、口を濁す。
「・・・この事だけは言っておきますが、とりあえずもうレプリカの件についてはもう何も起こらないと思ってください。最後は私に譲っていただきましたが、カクノシン氏が片付けられましたから」
「・・・えぇ、でもまだサフィールもだけど兄さんも・・・見たところ、まだ割り切れてないように思えるけれど・・・」
「・・・私の本音としてはどうサフィールに立ち直っていただけるか、その事で頭の中を占めているんですよ。私はもう覚悟はしていましたから・・・」
「・・・そう・・・」
ジェイドはとりあえず事実の報告を再度強調するがネフリーの指摘に表情でも嘘をつけれないと思い、サフィールの事が不安だからだと言えばネフリーは悲し気にディストに近付く。
「・・・ごめんなさい、サフィール。貴方の事、この前の時に気付いてあげられなくて・・・」
「っ・・・あれは、その・・・貴女にいらぬ心配をかけたくなかったからですよ。そんなに気に病んでもらわれては、こちらが困ります・・・」
そして謝罪の言葉をかけ頭を下げるネフリーに力がなかったディストもたまらず首を横に振り、気にしないようにと言い含める。







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