禁忌とされた封印された過去との対峙

(師にすがりつくことが本懐などと考えているようなら、ですか・・・それならさしずめ私は師の事から目を背けていたのでしょうね、ネビリム先生の事を理解することもなく・・・)
その二人の様子を端から見ていたジェイドはその中身に、自分にも通じることを感じ気持ちが多少沈むことを感じ取っていた。
(・・・これは幼い頃に死に別れたと言うのもあるのでしょうが、ちゃんと先生から卒業出来なかった事がこじれたのでしょうね。そしてそれを認めないままに私達は生きてきた、賢しい顔をしながら・・・)
そして浮かぶのは後悔の念で、表情にも少し浮かびかけるがそれ以上は出ないようにジェイドは抑える。
(・・・ちゃんと卒業しましょう、私も。ネビリム先生なら私が思い直してくれればそれでいいとは言ってくれるでしょうが、ここまで来てしまったのですからきっちりとケジメをつけます。あのレプリカと対峙をして・・・!)
だがそんなことなど些細な事と言わんばかりに代わりにジェイドの心にはやる気が燃え上がってきていた、比古清十郎の言葉を受けて自信を持ってネビリムの元から卒業するために向き合おうと・・・












・・・その後、十分な休憩を取った事で比古清十郎達は再び目的のレプリカの封印されている地へ歩き出した。しかしディストは比古清十郎からの言葉が効いたようで、妙に沈んだ表情を浮かべながら二人の後を付いていっていた。

そんな状況が続きつつも三人は険しくも長い隘路を進んでいき、とうとう三人は隘路を抜けて拓けた場所へと出て少しして封印された場所へと到着した。



「・・・ここがレプリカのネビリムが封印された場所か」
「えぇ、そうです」
端から見れば地面に何やら意味のありそうな譜陣がかかれていて、凍り付いて切り立った崖以外にない場所。そんな場に何の感慨も見せない比古清十郎にディストは少し喜色を浮かべながら返す。
「それでどうすればいい?」
「触媒を取り出してこの譜陣に捧げてください、そうすれば封印が解けると思われます」
「・・・そうか」
比古清十郎は早速と封印の解き方を聞くと簡潔に返された事に淡々と触媒を取り出して並べていく。
「・・・む?」
‘ゴゴゴゴゴ・・・’
「こ、これは・・・!」
触媒を6つ並べ終えた、そのすぐ後に触媒達が光始めて目の前にあった氷壁が二つに分かれて開き始めた。それでその先にあった光景にディストは驚きに目を見開いた。



「・・・成程、こいつが・・・レプリカのネビリム、と言うわけか・・・」
「ご明察」



・・・そこから現れたのは上半身を見れば妙齢の美女と言うには差し支えないが、下半身は宙に浮きながらも禍々しく人間としてのフォルムをしていない存在だった。



そんな姿を見て声を少し険しくしてレプリカと判断する比古清十郎に、そのネビリムは余裕を持った艶笑で肯定を返す。
「ネ、ネビリム先生・・・!」
「フフ、久しぶりね。サフィール、それにジェイドも」
「えぇ、お久しぶりです。本当はもう二度と会うこともないと思っていたのですけどね」
「あら、冷たいのねジェイド」
その姿に感激を浮かべるサフィールと突き放すように嫌味を告げるジェイドだが、全く揺るぐことなく艶笑を浮かべるだけ。
「・・・」
その姿に比古清十郎は眉間に盛大にシワを刻んでいた。






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