禁忌とされた封印された過去との対峙
・・・その後、宿に入ったジェイドは取ってあった部屋で比古清十郎にディストと共に一夜を明かした。特に何事もなかったように。それで一夜が明けた後、比古清十郎達は出立した。レプリカのネビリムが封印されたとされる地まで・・・
「・・・はぁ、はぁ・・・!」
「・・・すみません、そろそろ休憩にしませんか?このままではディストの体力が最後まで持ちそうにありません」
「・・・そうするか、ちょうど拓けた場所に来たことだからな」
・・・数時間後、比古清十郎達はマルクト軍が使用したという秘密の道を使い封印の地に向かっている訳だが、元々雪山と言うのは程度にもよるが攻略が難しい地。それに加えてこの秘密の道は秘密のと付くよう、ひっそりとした上にこのような所を通るのかという隘路になっていて、セフィロトまでの道に比べて断然険しい道のりと言えた。
故に体力のないディストが息を荒くするのも当然と言えたので、ジェイドも比古清十郎も前方に隘路にしては休むには十分なスペースがあったことで休憩することにした。下手に急かしても体力がなくなり、自身らがディストを担がねばならない展開が見えた為に。
「・・・この様子ではディストはしばらく休憩させた方がいいでしょうね」
「あぁ」
そしてそのスペースに着いて息を荒く吐きつつ整えようとするディストの姿に、ジェイドは長く休憩を取るべきと比古清十郎に具申する。と、そこでふとジェイドはハッとした様子で比古清十郎を見る。
「・・・少々お聞きしてよろしいですか?」
「何だ?」
「貴方から以前に年齢は43だということはお聞きしましたが、貴方の師匠にあたる先代の『比古清十郎』はどうされたのですか?・・・貴方の姿を察するに飛天御剣流の継承者なら、まだ60や70代でも平気で生きて活動していてもおかしくないと思うのですが・・・」
「お前は俺達をなんだと思っている」
そんなジェイドから出てきた問いかけは先代の『比古清十郎』についての事だが、どこか人間らしく見てない。その発言に軽く青筋を浮かべるが、比古清十郎は気を取り直して返す。
「まぁその質問には答えてやるが、もうとっくに死んでいる。と言っても俺が殺した訳でもましてや誰かに殺された訳でもない、ただの老衰だ」
「老衰・・・?」
「おい、何を疑っている・・・そもそもの話をするが、俺が先代に会った頃にはもう先代は60にも差し掛かりそうな頃だ。そんなジジイが二十年以上生きていれば老衰で死ぬことなどなんら不思議ではないだろう」
「60・・・そこまで経っても貴方以外に継承者を見つけられなかったと言うのですか?」
「それは飛天御剣流を使う資質があるかどうかもだが、役割を果たせるかどうかを見極める為だ。預言重視の風潮がはびこる中それをよしとしない奴が最低限の条件で、ある程度の才覚がないと話にならんからな。それで継承者を選ぼうとする内に歳を取り、ようやく俺と会った時にはそれくらいの年齢になっていたというわけだ。そして俺が飛天御剣流を継承した後は預言以外に課した理念の下で各地を回り、その最中に体調を崩して老衰で死んだ・・・との手紙を人伝にもらったというわけだ」
「・・・成程、そういった歴史があったのですね」
それで語られるのは先代の最後までの過程だが、そこには確固たる想いがあった・・・そう思わせる先代の生涯を語る比古清十郎の語り口に、ジェイドも疑いの思いを消し重く頷く。けして超人などではなく、一人の人間として生きて終わった先代の在り方に。
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「・・・はぁ、はぁ・・・!」
「・・・すみません、そろそろ休憩にしませんか?このままではディストの体力が最後まで持ちそうにありません」
「・・・そうするか、ちょうど拓けた場所に来たことだからな」
・・・数時間後、比古清十郎達はマルクト軍が使用したという秘密の道を使い封印の地に向かっている訳だが、元々雪山と言うのは程度にもよるが攻略が難しい地。それに加えてこの秘密の道は秘密のと付くよう、ひっそりとした上にこのような所を通るのかという隘路になっていて、セフィロトまでの道に比べて断然険しい道のりと言えた。
故に体力のないディストが息を荒くするのも当然と言えたので、ジェイドも比古清十郎も前方に隘路にしては休むには十分なスペースがあったことで休憩することにした。下手に急かしても体力がなくなり、自身らがディストを担がねばならない展開が見えた為に。
「・・・この様子ではディストはしばらく休憩させた方がいいでしょうね」
「あぁ」
そしてそのスペースに着いて息を荒く吐きつつ整えようとするディストの姿に、ジェイドは長く休憩を取るべきと比古清十郎に具申する。と、そこでふとジェイドはハッとした様子で比古清十郎を見る。
「・・・少々お聞きしてよろしいですか?」
「何だ?」
「貴方から以前に年齢は43だということはお聞きしましたが、貴方の師匠にあたる先代の『比古清十郎』はどうされたのですか?・・・貴方の姿を察するに飛天御剣流の継承者なら、まだ60や70代でも平気で生きて活動していてもおかしくないと思うのですが・・・」
「お前は俺達をなんだと思っている」
そんなジェイドから出てきた問いかけは先代の『比古清十郎』についての事だが、どこか人間らしく見てない。その発言に軽く青筋を浮かべるが、比古清十郎は気を取り直して返す。
「まぁその質問には答えてやるが、もうとっくに死んでいる。と言っても俺が殺した訳でもましてや誰かに殺された訳でもない、ただの老衰だ」
「老衰・・・?」
「おい、何を疑っている・・・そもそもの話をするが、俺が先代に会った頃にはもう先代は60にも差し掛かりそうな頃だ。そんなジジイが二十年以上生きていれば老衰で死ぬことなどなんら不思議ではないだろう」
「60・・・そこまで経っても貴方以外に継承者を見つけられなかったと言うのですか?」
「それは飛天御剣流を使う資質があるかどうかもだが、役割を果たせるかどうかを見極める為だ。預言重視の風潮がはびこる中それをよしとしない奴が最低限の条件で、ある程度の才覚がないと話にならんからな。それで継承者を選ぼうとする内に歳を取り、ようやく俺と会った時にはそれくらいの年齢になっていたというわけだ。そして俺が飛天御剣流を継承した後は預言以外に課した理念の下で各地を回り、その最中に体調を崩して老衰で死んだ・・・との手紙を人伝にもらったというわけだ」
「・・・成程、そういった歴史があったのですね」
それで語られるのは先代の最後までの過程だが、そこには確固たる想いがあった・・・そう思わせる先代の生涯を語る比古清十郎の語り口に、ジェイドも疑いの思いを消し重く頷く。けして超人などではなく、一人の人間として生きて終わった先代の在り方に。
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