禁忌とされた封印された過去との対峙

・・・それで比古清十郎達はしばらくグランコクマを出ることをルーク達に伝えた上で、アルビオールで世界各地を飛び回った。とはいっても触媒のある場所のヒントは比古清十郎が知っていてかつ推理も済んでいたので特に苦労することもなく、触媒を更に二つ集められた。

それで今度はダアトにあるという触媒の元へと比古清十郎達は進路を向ける・・・









「・・・しかしまた、何故このような形でバラけさせたんでしょうか・・・惑星譜術の触媒を・・・」
「大方国境を越えて各地にバラまけばわざわざ集めようとする物好きの興味を削げると思ってだろう。手間に時間がかかることを理解させてな。そして手掛かりが抽象的ではあったが見る者が見ればすぐにわかる仕様なのはそう言った意味合いに加え、いずれ必要になるかもしれないとでも思い惑星譜術の触媒を分かりやすく書き留めておきたかったのだろう。例え存在が危険な物を封印するためとは言え後に有用になるかもしれんからな」
「っ、成程・・・」
そんなダアトに向かうアルビオールの中、ジェイドがそっと疑問に漏らした声に比古清十郎がその訳を告げ微妙な表情にさせる。様々な思惑、それもあまり心地よくない思惑があって処分をされず封印に留まったということに。
「ただそれで触媒も残り二つと言いたい所だが、答えろディスト。お前はホドにあったという惑星譜術の触媒・・・それを持っているな?」
「「!?」」
だがここで確信めいた比古清十郎からの問い掛けに、当事者のディストだけでなくジェイドも驚きに目を見開かせた。触媒を持っていると確信したことに。
「・・・ちょっ、ちょっと待ってください!た、確かに私は触媒を個人的に持ってはいます・・・ですが何故それを知っているんですか・・・?」
「何、簡単なことだ。もしお前がネビリムとやらを復活させる為にそのレプリカを保険として考えていたなら、当然触媒を探すことは必要になる。だがそこで問題になるのがホドにあったという触媒の事だ・・・お前くらいの奴ならその事実に気付けば当然触媒を用いて封印を諦めるだろうが、そのような素振りは一切見せなかった。故に俺は思ったんだ、コイツは触媒を持っているとな」
「・・・っ!」
たまらずディストは肯定はしつつも慌てて何故わかると問い掛けると、その鋭い視点での根拠の発表を受けたまらず冷や汗混じりに息を呑んだ。
「それで・・・聞くが、何故お前はその触媒を持っている?」
「それは・・・ヴァンからいただいたのですよ。どうやって入手したかは知りませんが、おそらく崩落するホドの中からかろうじて手にした武器がたまたまその触媒だった・・・という所でしょう。話によればマルクトにより自身を使って疑似超振動を起こされ見捨てられた、とのことですから何か手元に武器を持とうとしてかろうじて見つかったのがそれだったのでしょう。それでその触媒を見て私はヴァンからそれを譲り受けたのですよ。もしもの時はそのレプリカを復活をさせようと思いね」
「っ・・・!」
「そうか」
更に比古清十郎から何故所有してるのかを鋭い視線で問われ、ディストは観念したようその経緯を詳しく語る。比古清十郎はその経緯に納得するが、ジェイドの顔は苦そうに曇っていた。
「ではその触媒はダアトにあるのか?」
「えぇまぁ・・・ただダアトに元々あるという触媒の位置は私は確認はしてはいません。後で取りに行けばいいとタカを括っていましたからね・・・」
「・・・チッ、使えんな。まぁいい、元々探す予定だった物だ。さっさと探して触媒を持っていくぞ、ロニール雪山とやらにな」
「はい・・・!」
そんなジェイドに構わず話を続ける比古清十郎は探す手間に表情を苛立たしげに歪めるが、反対にディストは声に喜色を滲ませていた。レプリカのネビリムに会える、その事に対する喜色を・・・






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