禁忌とされた封印された過去との対峙

「・・・さて、ジェイドにピオニーが何を聞きたいかは知らんが俺から聞こう。話から察するにお前がレプリカの研究をしているのはそのネビリムとやらの為、と言うところか?」
「っ・・・はい、その通りです」
「そうか。では次に聞くが見た所ダアトに対し忠誠心を持ちそうにもないお前が神託の盾に入っていたのは研究を進める為にヴァンと目的が合致した、と言うところ・・・あぁ何度も質問するのも面倒だ、その辺りの事は洗いざらい全て答えろ。嘘偽りのないようにだ」
「・・・はい、わかりました」
そんな中で比古清十郎が目的及び神託の盾に入った事を聞こうとするが途中で思い直し改めて全部話すよう命じれば、ディストは観念したように頷く。
「・・・私が神託の盾に入ったのは確かにダアトに忠誠心があったからではありません。ヴァンから協力をしてほしいと持ちかけてきたんです。それで私がレプリカの技術を提供する代わりに、その研究にかかる費用に施設の提供・・・そしてネビリム先生のレプリカ情報をもらい受けるという約束をしていました」
「なにっ、ネビリム先生のレプリカ情報だと・・・どうしてヴァンがネビリム先生のレプリカ情報を持っているんだ・・・!?」
「それはネビリム先生が以前はダアトにいたからその繋がりでレプリカ情報を持っているとヴァンが言ったんですよ。遺品や関連資料はマルクトに引き取られたようですが、レプリカ情報に関してはヴァンが持っていてモースに預けたようですがね」
「「・・・っ!」」
それで自分の思惑に狙いを語るディストだがレプリカ情報と聞きたまらずピオニーが声を上げると、その情報の在処の経緯を言いジェイドも交えて微妙に表情を歪ませる。
「成程、それが狙いでお前はヴァン達に付き従っていたと言うわけか」
「そういうことです・・・まぁそれも貴方がモースを殺したせいでレプリカ情報を得ることも出来なくなって、私もやむを得ずロニール雪山に封印された先生のレプリカにすがることにしたんですけどね」
「・・・お前は本当にヴァンにモースがレプリカ情報を持っていたと思うか?」
「・・・え?」
比古清十郎は一人冷静に話の先を促せばディストは頷きつつも自嘲的な笑みを浮かべるが、唐突な問い掛けにキョトンと目を向く。二人のレプリカ情報所有の可能性を問う声に。
「・・・すみません、カクノシン氏。それはどのような考えがあって言われたのですか?」
「何、簡単な事だ。俺も門外漢故レプリカ技術の事はそこまで知らんが、レプリカ情報を得るには対象の肉体の一部から情報を抜き取らねばならんのだろう。だがそのネビリムとやらがいつ死んだのかは知らんが、元ダアトの人間とは言えその身体情報に繋がる遺体を引き取る理由がダアトにあると思うか?その辺り奴らが引き取りに来たかどうか、それは当事者のお前らが事情に詳しいと思うがどうだ?」
「・・・それは、有り得ません。そのネビリム先生のレプリカは私がネビリム先生の遺体を持って造ったレプリカで、ダアトの者が遺体を持っていったことは有り得ないでしょう。ましてやその時レプリカ技術は確立されたばかりで、それを見越して先生の遺体を一部でも持っていったなどとても・・・ましてやいくら遺品が欲しいとは言え遺体の一部を持ち帰るなど、そこまでする意味は見出だせません・・・」
ジェイドがその考えに待ったをかけ何故と問うと、比古清十郎がレプリカの産み出し方に当時の事を切り出したことに暗くもネビリムの遺体を持っていったのは有り得ないと漏らす。
「そうか。ならもう一つ質問してやるが、そんな状況でもあるのに何故ダアト・・・それもヴァンが正確にネビリムとやらのレプリカ情報を持っていると確信出来る?話によればダアトから出てその後お前らの所で死んだのだろう、ネビリムは。ならばお前らとそこまで近くもないヴァンがネビリムの身体情報を是が非でも入手するような道理はないはずだ」
「!・・・そ、そんな・・・では、まさか・・・私はヴァンに利用されていた、というのですか・・・!?」
「可能性は高いだろうな。そもそも遺体からならともかくとしても遺品に僅かに残っているかもしれん毛髪程度、それがネビリムの物だったと誰が証明出来る?それに元ダアトの人間だからと言って身体情報に繋がるような何かをご丁寧に誰かが取っておく事など有り得ると思うか?・・・騙されたんだよ、お前は。おそらくレプリカ情報を持っているとでも言えば最後までお前は従うと見ていたのだろうが、それで目的が達成されたならお前は従うか従わないか・・・その返答次第でお前は命がなかっただろうな」
「!・・・そ、そんな・・・」
そして更に比古清十郎は自身の推測を話すが・・・その推測を聞き終わりディストは愕然とした、嘘をつかれていた上に最後は自身を殺すのではと言われたことに。








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