時代と焔の守り手は龍の剣 第四話

・・・イオンとともにタルタロスから逃げ出したセカン達。彼女達はタルタロスから大分離れてから夜営をして一夜を過ごし、朝になってから目的地であるセントビナーを目指して急いだ。

そして今目の前にはセントビナーがある・・・のだが、その入口は神託の盾により固められていた。これではセントビナーに入れないと、セカン達は悩んでいた。

そのセカン達の前にエンゲーブから来たという食糧を積んだ一台の馬車がセントビナーに入っていき、まだ二台目の馬車が来ることを知ったセカン達はその馬車に頼んで隠して乗せていってもらうことにした。



「すみません、その馬車止まってください!」
「・・・あら、セカンちゃんじゃない!それに大佐も・・・」
「ローズさん・・・!?」
馬車が通るだろう道を遡ってセカンが馬車を止めると、そこから顔を出したのはローズおばさん。
しかし本来なら歓迎すべきはずの馬車なのに、チーグルに食糧を渡してもらっているはずのローズおばさんがここにいることで、セカンは周りに気付かれない程度に動揺する。



・・・そんなセカンはライガの件についてはそこで何も言うことはなく話をして、その結果セントビナー内にまで馬車に乗せていってもらうことになった。
そして神託の盾の検閲を終え神託の盾の目が届かない位置に停止した馬車から降りたセカン達は、ローズおばさん達に挨拶する。
「どうもありがとうございました、ローズさん」
「いいのよ、このくらい・・・あっそうそう!カクノシンさんに伝えなきゃいけないことがあったわ!すみません、大佐。少しセカンちゃんとお話させてくれませんか?」
「えっ・・・?」
「ええ、構いませんよ。私達は基地に顔を出しに行きますので、その間セカンはローズさんとお話をしていてください」
礼を言うセカンにローズおばさんはふと思い出したよう声を上げるが、特におばさんから何か伝えられるような事はないと思ったセカンは普通になんのことだと首を傾げる。だが一方で話は進み、もうセカンはローズおばさんと話をすることが決定した。
「話が終わりましたら宿に集合しましょう。では我々は基地に向かいますので、これで」
「・・・んじゃ、また後でな」
そしてジェイドは一礼すると時間が経って少しは気を落ち着かせ後で会う約束を述べたルークとティアとイオンとともに、基地のある方へ向かっていく。
「・・・セカンちゃん、例の食糧の件のことだけど・・・」
「あっ・・・あのこと、ですね・・・」
それを見送ったセカンの目の前にローズおばさんは近付き、大事だと分かる緊迫感を伴わせ小声で話す。そのことから話の中身はチーグルへの食糧提供に関する事だと気付き、ハッキリとは中身に触れずセカンは固唾を飲む。
「結果を言うなら見つかったそうよ。かなり八方に捜索の手を広げて、時間がかかったようだけどね」
「そうですか・・・よかった」
そしてローズおばさんから成功だと出て来た事で、セカンはホッと胸を撫で下ろしそうになる。とは言え行動にしたら周りに怪しまれかねないので、手は添えずに安心する。
「ただちょうど子供が産まれたらしくて、もう少しその子供が落ち着くまでは離れられないらしいわ。ここに来る前に多少多めに食糧は渡してはおいたけど、まだ時間が必要だと思うからもうしばらくお願いね」
「あ、はい。そういうことならわかりました。ただこれから帰るんですよね、師匠の所に・・・いくら被害を無くす為って言っても、結構色々言われそうだな・・・私」
「アハハ・・・確かに言いそうだね、あの人なら」
しかし今すぐには子供の存在の為に移動出来ないと伝えられると、セカンは快く了承する。だが金を出す大元の比古清十郎を思い出しズンと重い空気でうなだれるセカンに、ローズおばさんは乾いた笑いを浮かべ同意する。
「よかったら私が手紙を書いてあげようかい?あんまりセカンちゃんを起こらないようにさ」
「そんな手紙見せたらまた色々言われそうなので遠慮します・・・」
それでも不憫に思ったローズおばさんは弁護を申し出るが、自分で決めた事を何を言うと言われる自身の姿を思い浮かべセカンは力無く首を横に振る。



・・・少し比古清十郎の元に帰るのが気が重いセカンであった。








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