時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「私が選んだ道です、キムラスカに行くと選んだのは・・・ですがそれを忘れてただルークさんを言い訳に使い、自分の責任を無いものとするなど出来るわけありません。私にも責任があるんです・・・そこから逃げるつもりは、ありません。私の責任は、私自身が背負います」
「セカン・・・」
まっすぐルークを見つめ、花が周りに咲くような笑みを浮かべ覚悟を述べるセカン。その笑顔にルークもつられて笑顔になり、互いに見つめあう。
「見つめあうのは結構ですが、そろそろここから出ませんか?あまり長くいても不自然ですし、フリングス少将をお見送りする時間にも近くなってきてます」
「なっ!?見、見つめあうって・・・!」
「そ、そんな・・・私は・・・!」
明らかにいい空気になりつつあった二人であったが、ジェイドが口を挟んだことで慌てて二人は顔を赤くして口ごもりながらジェイドに釈明しようとする。
「どちらでもいいので今のままの状態で外に出ない方がよろしいですよ。変に仲のよい姿をすぐに見せたらそれこそフリングス少将を見送る時がそのまま九頭龍閃を受け、彼岸に見送られる側に変わりますよ」
「っ!・・・わ、わかった・・・すまない、ジェイド・・・」
「いえ、気にしないでください・・・流石に目の前で主に死なれるなど目覚めが悪いですからね」
しかし全く聞く様子もないばかりか現実的過ぎて嫌な比喩を聞かされルークもハッとして冷や汗をかきながら礼を言い、ジェイドは口調は変えずともそんな未来を避けたかったからと後半を小さいながらも重く呟く。
「で、では行きましょうかフリングスさん・・・私も一緒にお見送りしますから」
「・・・えぇ、では行きましょう」
セカンも流石にそんなことはと慌てて話題転換をして、フリングスもすんなりと頷く・・・やはり共通して比古清十郎の恐怖は大きかったようだ。












・・・それで道場から出たルーク達だが、少し身なりが乱れたルークの姿にセシル少将は何故と問い掛けたが正直に答える訳にもいかなかったので適当に誤魔化すに留めた。かなり強引な形で気にするなと言ったため、セシル少将には不審な目を向けられ続けたが。

何はともあれそんな場を切り抜けたルーク達はフリングスを見送る為、港へと移動した。



「・・・ではフリングス少将、ピオニー陛下によろしくお伝えください。少将もご健勝をお祈りします」
「はい、こちらもルーク様もこれからの活躍を願っております・・・ではこれで、失礼します」
船の前にて互いが顔を合わせ、別れの挨拶を交わしフリングスは頭を下げて船の方へと向かう・・・ちなみに比古清十郎は先に船の中に入っている。それが場の空気を読んでの物か、単にめんどくさくての物か、はたまた娘を取られた事に煮えくり返る腹を抑えるためかは定かではない。






・・・それでフリングス達を乗せた船はバチカルを離れ、一先ずの目的地であるケセドニアに向かう。



‘ガチャッ’
「入るぞ」
「っ、カクノシンさん・・・どうしたんですか?」
その航路を行く船のフリングスがいた船室の扉が開かれ、ずかずかと入室してきた比古清十郎に驚きつつ首を傾げる。
「何、俺はケセドニアで降りる予定なんでな。その前にお前と話をしにもだが酒を飲みに来た」
「グランコクマまで乗られないのですか?貴方でしたら陛下も歓迎されると思うのですが・・・」
「何、ケセドニアからカイツールを経由した方が早いからだ。別に俺は歓迎などいらんし、ただの陶芸家風情を手厚くもてなせばおかしな話になるだろう」
「陛下はそのようなことは気にしませんが・・・そう言うことなら仕方ないですね」
「その代わりと言ってはなんだが、お前が付き合え。嫌とは言わせんぞ」
「・・・えぇ、わかりました。お付き合いします」
その比古清十郎は酒瓶を出しながら話と飲みに来たと言うが、ケセドニアで別れると言ったことにフリングスは何故と言う。しかし迷う様子も見せない姿にフリングスも観念したようで、比古清十郎に笑顔を浮かべた。飲むのに付き合うと。







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