時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・これで試験は終わった。後はお前の好きにしろ、セカン。キムラスカに行くなら行け、まだ小屋にいるというなら別にいても構わん」
「・・・師匠・・・いえ、今はこう呼ばせてください・・・お父さん、今までどうもありがとうございました。私は・・・ルークさんと共に、このままバチカルに残ります」
「・・・そうか」
そんな中で口を開き好きにしろと言う比古清十郎にセカンは改めた口調でお父さんと呼び頭を下げれば、フッと微笑を浮かべ床に置いた外套を手に取り上げ再び身にまとう。
「・・・まぁこいつに愛想を尽かしたならいつでも戻ってこい。その時はまた迎え入れてやろう」
「は、はい・・・」
「と言うわけだ。もしセカンが戻ってくるような事態になったなら・・・今度は正真正銘、手心を加えず九頭龍閃を叩き込んでやろう」
「っ・・・あ、あぁ・・・そうならないようにちゃんとやるよ・・・」
そしてセカンに珍しく見守るような優しい笑顔を見せるが、対して次にルークに向けられた顔が明らかに悪意に満ちた笑みでもしもの殺害宣言があったことにルークはひきつり笑いで受け入れる以外に出来ない・・・何度ルークが感じたか知らないが頷かねば死ぬ、それも今見せられた九頭龍閃を本気で叩き込まれると感じた為に。
「そうか・・・ならいい、俺はもう行く。時間が来るまで港で待っているからゆっくりしてこい、フリングス」
「あ、はい・・・」
そこまで言いもうこれ以上はいいと思ったようで港で待つと言ってさっさと退出していく比古清十郎に、フリングスは自分に来たことに驚きつつも頷く。
「・・・案外あっさりというか、まとまった形で終わりましたね。私はもう少しこじれるかと思ったんですが・・・」
「・・・正直私もそう思いました」
比古清十郎が道場から完全にいなくなったことでフリングスがそのままに正直な感想を漏らし、セカンも同じと意外そうに頷く。
「・・・あぁは言いましたしやりもしましたが、カクノシン氏は覚悟さえ見せればすぐに認めるつもりだったのではないでしょうか?」
「えっ・・・?」
「そうでなければあの人は言葉少なくも確かな反論に出ると思いますよ、実力行使も含めて・・・直接言えば剣を向けられるでしょうが、あの人はあれでいて親バカと呼ばれる人種ですからね。少なくとも歯牙にもかかないような人が相手でしたらセカンを任せるなんて選択肢にも上がらなかったでしょうし、ましてや試験などすることすらなかったでしょう・・・そこは少なからずルークがカクノシン氏に認められたからこそ、と言えると思います」
「俺が、あいつに認められてた・・・?」
ジェイドがそんな場に自身の推測を述べるとルークが呆けた声を上げるが、続いた信頼あってこその物と聞き信じられないと呆然とした声に変わる。
「ただそれもセカンが貴方を見限るような事態になってしまえば、そのなけなしの信頼が一気に有り余る殺意に切り替わるでしょうが・・・」
「う・・・でもそれが俺の責任になるんだし、放り出すわけにはいかないよな・・・セカンの為にも・・・」
「いえ、それは違いますルークさん。私が選んだことですから、私にも責任があることです」
「セカン・・・」
だがと危険も告げるジェイドにルークは意志を新たに言葉にしようとするが、首を横に振り自分をまっすぐ見つめてくるセカンに同じくまっすぐ見つめ返す。









37/41ページ
スキ