時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「甘えられないなんてのは、そんなのお前が勝手に言ってることだろ・・・甘えたいなら甘えりゃいいじゃねーか」
「っ・・・私はもう、それが出来ないと思ってるから悩んで・・・」
「悩んでるからなんだっつーんだよ・・・お前はそう思ってるかもしんねーけど、相手はそれを求めてるって事もある・・・今のお前の姿をな」
「え・・・?」
・・・そして続けられたルークの言葉に、セカンは目を瞬かせた。甘えろとの言葉にたまらずセカンは非難めかせた反論をしようとするが、そうして欲しいと自身を引き合いに出され言葉を止める。
「だって今のお前って滅多にない形で本心を出しただろ、どうしたいかって・・・それって確かに見せたくない姿なのかもしれないけど、そんな風に心を開いてくれた方がこっちも何をどうしたいのか言えると思う・・・自分の事を引き合いに出すのはなんつーか微妙だけと、俺もどうしたいのかって言ったからカクノシンやジェイドだって手を貸してくれた。本当ならあいつらやお前だけで十分だっただろうし面倒だっただろうにだ・・・だからさ。お前は俺とは違うかもしんない、いや違うからこそ甘えたいなら甘えりゃいいと思うんだよ。自分の気持ちを素直に吐き出してな」
「でも、それだと師匠の迷惑に・・・」
「どうだろうな。多分予想だけどあいつは色々言いはしても本当に迷惑じゃなかったら迷惑なんて言わないと思うし、案外そうやって甘えてくれた方があいつも嬉しいんじゃねーのかな。ただあんまそういうことはあいつは言わないと思うし、素直に言いそうにないけどな・・・ただ一つ言えるのはお前がこうやって俺に本音を話してくれるのは嬉しかった、経過はどうあっても俺のことを信じてくれるんだって」
「・・・だから師匠にも、同じようにしろと言うんですか?」
「俺は少なくともそう思ってる、そうした方がいいってな」
「っ・・・」
本当の気持ちの吐露、それこそを望んでる。自分の事を交えてルークがそうすることを真摯に言葉をかけて勧めると、セカンは揺れた瞳と共に迷いに揺れた表情を見せる。
「・・・そんなに重く考えんなよ、セカン。これからの時代ってのは言ったら預言がなくなった後の滅びを避けた時代で、それもお前達の望んだ時代なんだ。それでこれから先の時代で迷うことになるのはある意味当然だと俺は思うし、誰かに頼ったりしてもいいと思うぞ」
「・・・だから師匠に甘えろ、と?」
「あぁ・・・つーか今すぐ結論を出すなんて無理だろ、これからの一生に関わることなんだしな。むしろ焦って変な事になったら、それこそカクノシンがまずいことになるくらい怒るんじゃねーのか?」
「う・・・それを言われると、痛い・・・」
そんな様子に更に続けて今度は軽い言葉を向けられセカンは窺うように視線を向けるが、失敗した時の比古清十郎と出された瞬間苦い表情を浮かべる・・・やはり比古清十郎の恐怖はひとかたならぬ物がセカンにはあったようだ。
「・・・焦る必要なんてねーんだよ、セカン。これからやりたいことっていうかやるべきことは探せば出てくると思うぞ。そりゃまぁずっと甘えてばっかりってのはいけないとは思うから、いずれどうにかした方がいいとは思うけどな」
「そうですね・・・」
「・・・ま、まぁさ・・・もしセカンがやることないとか、自主的に来たいって言うんならさ・・・困った時は、その・・・キムラスカっていうか、俺の所に来いよ・・・っていうか来て欲しいって、俺は思ってる・・・!」
「・・・えっ・・・っ!?」
明らかに弱くなったその空気にルークが静かに説くようゆっくり比古清十郎の元で考えるように言えば、セカンも意気消沈と言った様子で頷く。が、続いたルークの途端に恥ずかしげに赤く染まり視線を背けた顔から出た言葉にセカンは一瞬戸惑ったが、その姿が連想させることがなんなのかに思いいたり目を驚きに大きく見開いた・・・一種の告白、そう取れるルークの様子に。








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