時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「まずは久しぶりと言っておこう」
「あぁ・・・元気だったか、二人とも?」
「えぇ、こちらは特に変わった事もなかったので・・・この通りです」
「そうか、よかった」
そんな時に比古清十郎から再会の挨拶をされてルークが笑顔で返事を返せば、セカンも笑顔で返しルークはまた微笑みがえす。
「・・・さて、あまり時間のない次期キムラスカ王を気遣ってさっさと本題に入ってやろう。ありがたく思え」
「「「「・・・っ!」」」」
しかしそんないい雰囲気を見て明らかにピリピリした空気で本題と言い出した比古清十郎に、ルーク達の顔が一気に強張った。
「・・・あぁ、やるなら早目にやろう。正直すっげぇこえぇけどな・・・!」
「フン、いい心掛けだ。どうやら3年前の事は忘れてないようだな」
「そりゃあ、まぁな・・・」
だがルークは意を決して頬をヒクヒクさせながらも頷き、比古清十郎も皮肉げな笑みで口角を上げ3年前と切り出す。















・・・ここで時間は3年前に遡り、ルーク達が翌日には解散する事になったグランコクマに戻る。



「・・・」
・・・夜のグランコクマの街中の噴水の前、セカンは一人悩ましげな表情を浮かべ立っていた。
(これからどうしよう、私は・・・ずっと師匠と一緒にこれまで生きてきた・・・けどそれでずっと甘える訳にはいかない、シンクの言ったような事になるのは私も避けたい・・・けれど、これから私がどうしたいかが思い浮かばない・・・)
それでセカンのその心中にはこれからどうするか、その考えで一杯になっていた。



・・・元々はヴァン一味に受けた仕打ちにより比古清十郎に依存をする形で育ってきたセカンだが、成長するに従い依存ではなく共存と呼べるくらいにまでの状態になっていった。

だがやはり生きてきた年月の少なさはどうともし難く比古清十郎という親元を離れる事を今まで考えてなかったセカンにとって、シンクの言葉は酷くその心中に重くのし掛かっていた。

確かに比古清十郎の元でずっとおんぶにだっこの状態を続けるつもりはない。しかしなら何をやりたいか、そう問われると何も言葉が出てこない、これがセカンの現実だった。

・・・この辺りは元々預言を覆すことが最大の目的であったことでそこから先の事を展望を見据えていなかったことに加え、比古清十郎とたまに向かうエンゲーブなどでの暮らし以外にあまり外を知らぬが故の弊害と言えた。



「・・・こんなとこにいたのかよ、セカン」
「っ・・・ルークさん・・・?」
考え事に没頭していたセカン。そんな時にルークが自分の前に現れた事で不意に驚き目を丸くするが、すぐにルークに近付く。
「ダメですよ、ルークさん。まだここには貴方を狙う人達がいるかもしれないんですから、早く宮殿に戻ってください」
「いーんだよ、こんな時間だからあんまり人もいないし・・・つーかお前もお前で宮殿に戻れよ、もう大分時間遅いぞ」
「・・・いいんです、私は・・・しばらく一人にしてください・・・」
それでルークの安全に気を配り戻るように言うが、気にした様子も見せず反対に戻れと言われシュンとセカンは横を向く。
「・・・んだよ、俺はそんなに頼りないのか?」
「・・・え?」
だがルークから予想外の声がかかったことにキョトンとセカンはルークの方を向く・・・そこには不満そうな声と対照的な、悲し気な顔があった。









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