時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

・・・そして数日が経った。この数日の間で特に変わった出来事はなかった、強いて言うなら気が重そうに頭を抱えるルークをジェイドが時折屋敷内で見られるようになったくらいである。



・・・そんな数日の後、ルークはフリングスの帰還の日になった事でセシル少将と数人の兵士を引き連れバチカルの街を案内していた。その行き着く先には間違いなく怒りを浮かべた比古清十郎が待っている、そういった確信を感じながら・・・












「・・・」
「・・・ルーク様、こちらは?」
「・・・ここはミヤギ道場という道場です。ここで学べる技術はキムラスカ独特の、と言うよりはこの道場特有の技術になります。少将も聞かれているのではありませんか、そのような技術があることは?」
「えぇ、多少は」
・・・バチカルの案内でふとルークが立ち止まったのは下の層にあるミヤギ道場の前。そこでフリングスがどうしたのかと問えば、ルークからの講釈を聞き一先ず頷く。
「知っているなら話は早い・・・ただこの道場で学べる事は昔に比べたなら少なくなりました。音素の恩恵がなくなったことで。しかしこの道場に未だ残る技術はフリングス少将にも見ていただく価値があるものと思われます・・・いかがですか?そろそろ少将もマルクトに戻る為の船に乗る時間に近づいています。それで残りの時間を使う形でこの道場でその技術に歴史を学んでみては?」
「・・・その申し出、ありがたく受けさせていただきましょう。ルーク様からのお言葉もありますが、軍人としてその技術に純粋な興味もありますので」
「・・・決まりですね」
そして本題とミヤギ道場での技術を学ぶかと問えば、フリングスは快い笑みを浮かべ是と返しルークも笑顔で頷きセシル少将達に視線を向ける。
「と言うわけだ。かねて話していた通り少将達は道場の前で待機しているように」
「はっ、かしこまりました!」
「あぁ。ではフリングス少将、中に・・・」
「えぇ・・・」
威厳を持って命令を下すルークにセシル少将を代表として兵士達は敬礼を返し、ルーク達はそれを受けてミヤギ道場の中へと入っていく・・・



・・・さて、このミヤギ道場に行くという流れ。これはあらかじめ予定されていた流れであるが、それはセシル少将達にとってだけでなくフリングスにとってもだった。それは何故かと言えば比古清十郎との対面の為である。

このバチカルにおいて人の目の入らず安全でいて、かつルークを一人にさせて大丈夫な場所など城やファブレ邸ぐらいしかない。しかしそこは許可の取れた人物以外入れないことから使えない・・・だからこそルークはジェイドに頼みセッティングしてもらったのだ、比古清十郎達との対面に横槍を入れられないような場所を。

それで色々な面を踏まえて場所を探し、結果快く場所を貸してくれたのがミヤギ道場だ。そして場所を確保したことでジェイドはフリングスに帰る前に比古清十郎達と対面する場を設けるから話を合わせてほしいと話を通し、ルークもセシル少将にフリングスの人柄にマルクトで世話になった分もあるから時間を取ってほしいと願ったことでこのミヤギ道場での対面の場が整えられることになったのだ。認識違いが多少あるとは言えだ。

・・・尚これは余談だがセシル少将がそのような事に協力してくれたのはフリングスという人物の人柄をこの数日で知ったからだ。でなければ真面目な彼女はすぐには頷くこともなかったろう。更には話をした時の顔を見てルークは信頼を覚えたからだけではない何かをセシル少将から見てとっていた、それが何かは本人の名誉の為にも言いこそはしなかったが・・・



「・・・来たか」
「あぁ、久しぶりだなカクノシン・・・それに、セカンも」
「はい、お久しぶりです・・・」
・・・そしてミヤギ道場の中に入り道場主のミヤギの気遣いで知り合いだけでと通された奥の間。
そこには比古清十郎と、この数年で同じアッシュのレプリカではあるが性差もありより女性らしく艶を増したセカンがいた。








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