時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・ありがとうございます。皆さんから反発の声が目立って出ることがなかった事を、私は非常に嬉しく思います」
少ししてルークは辺りを見渡して一回礼をして、すぐに頭を上げる。
「平和を保つのに我々国の上層部が人々の模範となり、先導をしなければならない責務があるのは事実です。ですがこれからの時代では、皆さんの協力も必要になります。キムラスカやマルクトやダアトと国の事など関係無く、相手国かどうかなどという問題でもなく自国民相手でも一人一人協力して平和を作るために仲良くなることで」
‘‘‘‘!’’’’
「ただ相手の事が気に入らない、相手の事が嫌いだというような感情を時には抱くかもしれません。それも人の感情としては当然の事ですし、衝突は避けられない時もあるでしょう・・・しかしそのような不和が全てうまくいかないとは誰も言っていませんし、何よりキムラスカとマルクトとの和平も成功しています。様々な障害をはね除けた上で、前だったらけして不可能とも思われていた事が」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
「・・・おそらくこれより先にはまた今までと違った困難も出てくることでしょう。ですが私は信じています、人々がその困難を自分の力で乗り越えてくれることを。そしてそのためにも私は身を粉にして動きたいと思っています、キムラスカは勿論ですが世界の人々の為に・・・!」
‘‘‘‘・・・ワァーーーッ!!’’’’
・・・今正に人は一つとなった。長くも確かに人に訴えかける演説に終わりを告げるようキッパリと言葉を言い切ったルークに、聴衆は一拍置いて打ち合わせをしたわけでもなく歓声を上げた・・・次代の王の誠実でいて、真剣な姿に。



(ルーク殿、いやルーク様・・・立派になられましたね。この方でしたらマルクトも今まで以上の交流が出来るようになるでしょう。もう心配はいりません、これなら・・・)
・・・その姿を傍らで見ていたフリングスも笑顔で拍手を送りながら呼び名を変えつつ確信を得ていた、ルークならもう心配はないと信頼を向ける形で・・・















・・・その後、ルークの演説も終わったことで興奮覚め遣らぬ聴衆達に城の中に戻ると告げた上で一同は引き上げた。

それで城の中に入りパーティーに入った訳だがその中でルークは先程の演説が見事だったことから多数の人々に囲まれ、フリングスもろくに会話を出来ないくらいに忙しい時間を過ごしていた。















・・・ルークがそのように忙しい中で一方演説が終わった城の前では、聴衆が兵士の案内で天空客車の前に長蛇の列を作って下の階層に降りる順番待ちをしていた。



しかしその中で一人列に入るのを拒むよう噴水を眺め見るように立ち、酒の瓶を口に含み煽る男がいた。
「・・・見ていたんですね。以前のグランコクマでならともかく、貴方はこう言った催し物には顔を出さないと思っていたのですが・・・」
「フン、弟子と言わずとも曲がりなりに剣を教えた相手の成人の祝いだ。その成長がどのような物かくらいは俺でも気にするさ」
「成程・・・」
その人物に近付きジェイドが声をかければ、男・・・比古清十郎は歳を取ったようには見えないその顔を大して驚いた様子も見せず振り向かせ、ジェイドも納得する。
「それでどうでしたか、我が主の成長は?」
「悪くない。青臭さは相変わらずあるようだが、清濁併せ呑み自分の役割を理解した行動が出来ているように見えた。相当に厳しく叩き込んだようだな」
「いえいえ、私はあくまでも主の望むままに望むことをお教えしたまでです。私のしたことなど微々たる物ですよ」
「フッ、そうか・・・大した主だ、臣下に謙遜などという行動を教え込むとはな」
「・・・誉め言葉として受け取っておきましょう」
ジェイドはそこで今のルークについての事を聞くが自身が滅多にない誉め言葉をもらったことに謙遜をすると、皮肉げな笑みと言葉を向けられ苦笑を浮かべた。久しぶりの比古清十郎らしい達者で容赦のない言葉に。






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