時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・皆さん、私は預言の全てを否定する気はありません。かつてのローレライが言ったよう預言という物をユリアがどのような気持ちで残したか、それを知っているからです。このような言葉一つで全てを肯定も否定もする気はありません、ただその狙いとも言うべき本来の目的が正しく伝わらなかった・・・それが故にかつてのモースのような預言を正しいかを考えることも議論することもなく、ただ盲信して実行することが目的と成り代わった者が現れるという事態を引き起こす形になってしまいました。そしてその流れを私も含め少なからずこの世界に生きる者達はただ流され受け入れていました、預言が人のより良い未来の為のものと疑いもしないでいたということで」
‘‘‘‘・・・’’’’
そこで一転して預言をただの悪とせず時代の流れがそうさせてしまったと考えを述べるルークに、聴衆は沈痛な面持ちに変わる。自らも考えざるを得ない、その訴えかける語り口に。
「ですがその流れも偶然に近い形でモースにヴァンの狙いを知れた事により、後々に大いなるうねりを作る形で止められました。預言にただ付き従うということの意味を見直すべきではないか、そのように人々の繋がりが図らずも出来たことで・・・その結果全ての真実が必然と偶然の入り交じる形で明らかとなり、人々の知るところとなったわけです。かつてない国を越えた繋がりが出来たことによって」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
ルークの話に誰もが引き込まれる・・・そのような空気の中で自身が至ったという結論を再び意を決して口にするルークに、聴衆はハッとした表情を浮かべる。
「この3年、私はキムラスカとマルクトの間で戦争はおろか小さな争いもあったという話は聞いていません。これらは国の上層部の働きによるものでもありますが、元をただせば世界の人々の意識が改革されたことに起因しています。預言による滅び、それを避けるためにとは言えです・・・ただ人々が結び付いたのが世界が滅びると詠まれた預言だということは複雑に思われるかもしれませんが、元々はと言えば預言が詠まれた目的は滅びを避けるための物なのですから本懐を達成したものと見ていいかと思われます・・・ただ、だからこそ預言の役目を終えた今、改めて私は言いたいんです。この人々の結び付きが作った平和というかけがえのない物をより良い物として、更なる繁栄に繋げたいと」
‘‘‘‘!’’’’
「もう預言に頼り、依存するような政治は行えません。預言は役目を終えたのですから・・・ならどのように政治をするのかと言えば、我々自身の考えを持ってでしか政治を行えません。事実この3年でキムラスカもマルクトもダアトも、預言に頼らない政治に取り組んできました。それで結果として言うなら預言に頼らなくてもやれることを証明出来た3年でもありましたが、そこには様々な人々との協力に繋がりがあったからこそ出来た事が多くあった3年でもありました。それこそキムラスカにマルクトにダアト・・・3国が垣根を越えてやったからこそ出来た事も。その事に預言が無くても人は繋がれることを再認識しました、私は。しかし私はそれを一時の物として終わらせたくないと思っています、この平和に繋がりを・・・皆さんはどう思っていますか?」
‘‘‘‘・・・’’’’
・・・もうルークの話に聴衆は抗う気も、反発する様子も見せていなかった。


まっすぐに前を見つめ想いを伝えると共に問いを投げ掛けるルークの声にポツポツと聴衆は声を上げるが、1つも反感の声は上がっておらずむしろ納得の声が頷きと共に上がるばかりだ。







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