時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・ですがそのような事態になることはありませんでした。マルクトがアクゼリュスを消滅させるという陰謀に気付き、キムラスカもまた預言にただ盲目に従うことの是非を考えたことで・・・」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
ただその考えざるを得なかった時間もルークの声により、聴衆は現実に引き戻される。
「戦争にならなかった、この事を喜ぶのは当然と言えるでしょう。ですが忘れてはいけないことがまだあります。それはかつてアクゼリュスに住んでいた方々が預言通りに行っていたなら、預言を達成させる為に殺される事になっていた・・・ということです。当時アクゼリュスに残っていた人の数は一万程との事・・・これは預言の為だから必要な犠牲だ、などと言って許されるような犠牲でしょうか?・・・ですがその事を指摘したとて当時の大詠師であったモースは当然だと言っていた事でしょう、何せキムラスカを謀り思い通りに動かそうとしたのですから」
‘‘‘‘っ!’’’’
更に流れからアクゼリュスの事に加えて暗にナタリアの事実を仄めかすルークの話口に、聴衆もその事実に思い至り絶句する。
「・・・お分かりですか、皆さん?預言をただ実行することだけを目的としたモースはそれ以外は何も見ようとしないばかりか、全てを利用しようとまでしました。これらは全て預言を実行する事を担っていた者達の独断によっての危機でした。今はユリアシティの人々も預言の真の意味を理解していただいたからこそ心を改めているようですが、当時はその役割もあって誰にもそれを明かすことなどしはしませんでした」
更にルークが悲しげに預言を独占していた者達の事でユリアシティと出す。



・・・外郭大地の降下と障気の中和、更にはプラネットストームの停止にと話を進めていった時ユリアシティの人間達は一切関わることなく進んでいった。それは何故かと言えば、市長を含めた住民の複数が死んでしまったことで混乱と共に街が機能しなくなっていたからだ。

故に事が全て終わった後にダアトと話し合った上でユリアシティはモースとの繋がりを肯定した上で、心を入れ換えたという設定を受け入れた。いや、受け入れざるを得なかった。ユリアシティの存在は魔界に外殻大地が降りた事、地図上でそこになかったはずの場所にいきなり現れたことで到底その存在を隠しきれる物ではなかったために。

しかしそんな降って湧いたような状況をただ受け入れる住民だけではなく預言にプラネットストームの復活を願う者もいたが、これは世間がそんな団体を望んでいなかった事に加えユリアシティの住人だということで一層厳しい目で見られることとなった。事実を知っていて心を入れ換えたはずのユリアシティの者が、そのような集まりに加わっていたことで。

・・・そんな者の行動もあって一時ユリアシティに対する風当たりは相当厳しいものがあったが、今はそのようなことはない。元々の住人達も事実を受け入れるくらいになった為に、人々の目が変わったのだ。



「・・・もし事実が何もわからず全てが進んだなら個々が各々の行動を取るだけに留まり、けして人々はまとまることなく終わっていたと思われます。預言の名の元に振り回された上で国は滅び、世界が滅びることで。そして結果として預言は悪くない、誰かが預言を歪めたからこうなったのだと最後まで残った者は言っていただろう事も想像がつきます・・・預言のみを大事として、誰かを省みる事もなく動いてきた事をけして認めることなく棚に上げて滅ぶ形で・・・」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
ルークの想像する人物は知るものからすればすぐにわかるモースで、その自分勝手な人物像を聞き聴衆の顔は酷く歪んでいた。あまりに利己的でいて排他的、それでいて頑迷さの滲み出た人物像に。






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