時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

(・・・中々に壮観ですね)
・・・そして門の先にいくと、相当の数の聴衆がキムラスカの用意した舞台の下に溢れかえるようにいたことでフリングスは感心の声を心中で漏らす。
(やはり人々も様々な関心を持っているようですね、ルーク殿の成人の儀に・・・とは言え私はあくまでもマルクトの代表として招かれただけ、あまり代表として相応しくない態度は控えねば・・・)
しかしフリングスは自重をするようと自身の立場を思い表情を更に引き締め、ただ並ぶように言われた場に歩を進める。
「・・・皆の者、ルークの成人の儀の為によくぞ集まってくれた」
それで整列が済んだ所でインゴベルトが隣にルークを伴わせた状態で拡声器の前で口上を口にする、始まりを告げる口上を・・・












・・・インゴベルトが開始を告げた成人の儀。ルークの成人を祝う流れもそこそこに済み、歴史の流れを説明する時になった時は多少空気は重いものになったがとりあえずは人々への示しもつかせる形で済ませることが出来た・・・これは預言があるからとただ従ってきた国の愚行も多少明かす形だった故、人々も重く受け止めざるを得なかったからだ。
「・・・ではルーク、これよりはそなた自身の言葉で民に語られよ」
「はい、陛下」
そしてこれからの意気込みを伝える場面になったのだが、そこでインゴベルトからバトンを渡されルークが拡声器の前に来る。
「・・・少し言葉が崩れる無礼、お許しいただきたい。このような場において格式ない言葉遣いはいかようかと思われるかもしれないが、これより先は私が『ルーク』個人として語りたいと陛下に願い出た物だから」
‘‘‘‘・・・’’’’
それで第一声を放つ訳だが言葉遣いを乱すと言われた事に聴衆からは反論は出ず、反対に一気に緊張感が高まった。ルークのあまりにも真剣な想いがその一言から一瞬で伝わった為に。
「・・・3年前まで私は人に誇れるような人間とは到底言えませんでした。預言の事があるから、誘拐されたからと言われ屋敷から出られないことを嘆き腐る日々・・・その当時の私は恥ずべき事をしていたと思っています。ですが皆様方も知られているよう、そのような日々に唐突な変化がありました。それが全ては今は亡きグランツ兄妹による血肉を分けた者達の争いから発端した、ティア=グランツによるファブレ邸の襲撃です」
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
滔々と語られる中に出てきたグランツ兄妹による争いの話に、聴衆の緊迫感が強まる・・・グランツ兄妹から発端する流れの件はレプリカ関連を除いては概ね世界中に広がってはいる、分かりやすい物語として脚色もされているが書籍という形になって広められたことで。だが、それがルーク当人からこのような形で語られたことはない。それが故に聴衆は体を固くしたのだ、歴史の一端を当事者から聞けることに。
「私は当時いきなり屋敷を出させられるという理不尽な状況に陥りましたが、その反面でどこか気分が高揚していることを自覚もしていました。初めてに等しい外の世界を見る事で。しかしそのような事態はすぐに終わりを告げました、当時私を保護してくれたマルクトを神託の盾が執拗な襲撃をかけた事で」
‘‘‘‘・・・’’’’
それで話が当時の神託の盾となったことに聴衆もまた空気を固まらせる、その時の神託の盾はヴァンの一味ということもあって印象の悪い集団であったことで。







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