時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

・・・その後、また後日ルークとよろしくしてほしいとの言葉を残しジェイドは部屋を後にしてフリングスもゆっくり休むことにしてその日を終えた。















・・・それで数日の間に貴族やインゴベルトなどの者達との顔合わせをしながらも、フリングスは過ごし・・・ルークの成人の儀を執り行う当日となった。



「・・・準備はよろしいでしょうか、少将?」
「えぇ、では行きましょう」
自身にあてがわれた部屋にキムラスカの兵士が入ってきて声をかけてきて、フリングスは頷くと共にその兵士に従い部屋を出る。



・・・この成人の儀と言うのはただの成人の儀ではない。キムラスカやマルクトにダアトの上層部の考える意味合いとしては区切りをつけるという意味合いが強いものであり、それを人々に示す為の意味合いが強いものであった。

しかし何の区切りをつけるためかと言えば預言を詠まなくなったと言うことを改めて思い返させることに加え、ルークという本来なら死を詠まれた上に戦争のきっかけになっていたやもしれぬ存在の事を思い返してもらうことで改めて今の政治が間違っていないと示すためだ。

・・・尚念のために言うなら各国は政治において特に失敗などはしていない、あくまでこれは未だに残る預言を絶対とする信望者を牽制するための手段として考えられた物だ。でなければいかに次期王とは言え一人の貴族の為に成人の儀など執り行うようなことはない、精々身内や貴族内で祝う程度に納めてしかるべきのものなのだから。

故にそう言った狙いも含まれたこの成人の儀の段取りとしては通常にはない事として城の前に用意された舞台の上で人々にルーク達はその姿を見せ、成人を祝うと共に今までの歴史の流れを説明すると共にこれからの様々な物を諸々に含んだ意気込みを発表して城に戻り後はパーティーをする・・・と言った段取りになっている。












(・・・これでいよいよか、本当の意味で預言に別れを告げる時は)
・・・城から外へ出る門の前、周りをキムラスカの貴族や兵士に囲まれる中フリングスは緊迫した面持ちでジッと控えていた。



・・・重ね重ね言うがこの三年の間の各国の政治は問題は多少上層部内でゴタゴタがあったとは言え特になかったと言えた、預言がなくともまともに問題なく動く形で。しかしそれを未だ預言があれば、と宣う輩は出ているのだ。

無論今となっては預言が滅びの道筋を現した物と知ってる国は取り合うことはなかった上に、次第にそのような輩達もそれほど預言にこだわることのなくなった周りの者達に囲まれて生きていく内に心変わりをしていく者が増えていった。

これは預言に頼らない方がいいと第七譜石の事実を聞いて考える者が多数になったと言うのもあるが、実はその風潮に一役買ったのがただ何も考えず預言に従ったことにより被害を受けたという者達の話だった。

きっかけはどこからだったのかは定かではないが、それでもそう言い出した者達のエピソードが広まるのには時間はかからなかった。ただ話には尾びれせびれがついたりあまりにも我が身かわいさから同情を誘う為だけとすぐわかる話があったりもしたが、そう言ったかつてのダアトから預言の事をただ知らされず不幸になった者達の話は確かに人々の心を打った。

・・・滅びと人々の過去の傷の二つの事実、それらに預言にこだわっていた者の数は次第に減り今となってはほとんど表立っては存在してないが今も細々といることは事実。だからこそ国はそれらの人物に対しての宣言も含めて成人の儀を大々的にしようと決めたのだ。



(・・・よし、行こう)
・・・その為の舞台に繋がる門は開かれた。
フリングスは開いた門の先に向かう貴族達の後に付いていく、決意を伴わせた表情で・・・









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