時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・駄目だな、どうにも辛気臭い雰囲気になってしまった・・・悪いけどフリングス少将、今度は陛下とかそっちの近況を聞かせてもらっていいか?」
「えぇ、いいですよ。ピオニー陛下ですが・・・」
・・・ペールはまだしも、ナタリアの話は重くいい気分になれる物とは到底言えない。ルークは空気の微妙さに首を横に振り話題の転換を求めれば、フリングスもすんなりと頷き話を始める。マルクトでの世間話を・・・












・・・ルーク達と穏やかに話をしつつ過ごしていたフリングス。だが楽しい時間はすぐに過ぎ、辺りが夕焼けの明かりに染まりつつなってきたことで話を切り上げることになりファブレ邸を出ることになった。



「すみません、長居をしてしまったばかりかお見送りまで・・・」
「いや、時間は取るって言ってあったしフリングス少将なら構わない」
それで入口で見送る事にしたルーク達にフリングスは頭を下げるが、笑顔で別に大丈夫とルークは首を横に振る。
「ではマルクトに戻られるまでゆっくりされて・・・!?」
「・・・どうされたのですか・・・っ!?」
そしてルークは貴族然とした気遣いの言葉を向けようとしたが唐突に下の階層に向かう天空客車の方を見て驚いたよう目を見開いて制止し、フリングスも何をと視線を向ければ同じような形で固まり制止した。
「あれは、もしや・・・っ!」
「ジェイド、今すぐあいつを追い掛けろ。今ならまだ距離的にもバチカルから出れない、今すぐ追い掛けるんだ・・・!」
「・・・はっ!」
更にジェイドもその先を見て二人と共通の物を見たようで愕然と声を上げる中、ルークの焦ったような急ぎの命令が下されジェイドは頷きそちらに向かい走り出す。
「ルーク殿・・・」
「・・・フリングス少将、貴方は客人だ。このバチカルであまり派手な動きをされるのは望ましい事ではない。とは言え貴方もどうなるか気になるだろう、後で経緯はジェイドに伝えさせるようにする。すまないが今は城へと向かってほしい」
「・・・はい、では失礼します」
フリングスはそんな光景に何かを言いたそうに声を上げるとルークはその中身を察したように緊迫したよう今は何もせず城に向かうようにと言い、道理が道理なだけにフリングスもそれ以上は何も言わず頭を下げて近くにいた兵士と共に城へと向かう。そして残ったルークは複雑そうな表情を浮かべながらも屋敷の中へと戻っていった・・・















・・・そして時間は過ぎて夜。バチカルの城の中にて用意された部屋で、フリングスはジェイドと対峙していた。
「・・・ではやはり・・・」
「えぇ、間違いはありませんでした」
話を聞き終わりフリングスは神妙な表情になり、ジェイドは眼鏡をそっと手で押さえる。
「ルークにも報告しましたが、彼は喜びと複雑さが入り混ざったような表情を浮かべていました。まさか来るとは思っていなかったんでしょうね、それも自らが赴く形で・・・」
「えぇ、正直に言えば私も驚きました。あの人の姿を見た時、まさかと思いましたから・・・」
「それは私もですよ」
それでルークの驚きを報告すれば自分もと言うフリングスに、更に自分もとジェイドは首を振る・・・それ程に三人共に意外な驚きに満ちたものだった、三人が見た姿は。
「まぁそこは置いておいてこのバチカルにはルークの成人の儀が終わり貴方がグランコクマに戻る時までいるそうです。それで面倒でなければ帰る時についでに船に乗せていただきたいとのことですが・・・」
「・・・大丈夫だと思います。あの方には様々なご恩がありますし、グランコクマに戻る時には特に問題もないと思われますから我々の乗る船に乗っていただくのは」
「そうですか・・・ではその時までは特に変わったことはされないでください、その時が来たら勝手に来るとの事ですから」
「はい、わかりました」
そしてジェイドが会った人物から以後の流れを説明されたことでフリングスは素直に頷く、そうすると真摯に受け止める事で・・・









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