時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・贖罪をしたい、そう望む気持ちはわかる。けどその罪が許されることなら許されてほしい、そうルークは言っていたな」
「・・・ルーク・・・」
更に続く独白調のピオニーの声にジェイドの顔が微妙に歪む。
「もしルークがジェイドを助けたいと思うなら、ルークはジェイドを助けようとするだろうな。例え国外追放になったとしても・・・」
「・・・ですが、それは・・・」
「そう言えばルークが言っていたが・・・贖罪とは絶対に死で購わなければならないものなのか?俺も罪の償い方は一つではないと思うが・・・」
「っ・・・!」
ルークの気持ちを吐露するピオニーの独白にジェイドはなんとか反論しようとしたが、贖罪の在り方を問うような声に言葉を詰まらせる。
「・・・俺は思う、有り体な言い方になるかもしれんが生きてこそ償えることもあると。それに自分が死にたいと思ってそれで結果死に、満足するということに意味はあるのか?」
「それは・・・」
「・・・少なくともルークはジェイドが罪の意識を持っているならそうしてほしいと思っている、生きていてほしいと思っていて生きていてこそやれることがあるとな。それに国外追放という処置にしたのもそのルークの願いというのが大きな理由でもある」
「っ・・・ルークの願い・・・?」
言葉がうまく出てこないジェイドに自身の考えと共にルークの願いと述べるピオニーに、ジェイドは何をと怪訝そうな様子を浮かべる。
「・・・ジェイドの性格に考え方を考えるとただ罪が許されるなんて事は望むべき事じゃない、そうルークは見た。だからルークはあえて俺に望んだ、安息の死より苦しむことになっても生を与えて欲しいと」
「・・・よく分かっていますね、そして意外に性格が悪くなった物です。苦しむことになってもなどと言えるとは・・・」
「・・・確かにジェイドにとって苦しみになるだろうな。だがルークはその苦しみがせめて和らげられるよう、キムラスカに来るなら自分が何とかお前を雇い入れれるようにしたいと言っていたな」
「!馬鹿な、そのようなことが出来るはずがない・・・!」
「・・・そう聞いて俺はなんと馬鹿なことをと思った。だがそれが『ジェイド=カーティス』では無理だとしても、もしや『ジェイド=バルフォア』なら出来るのではないか・・・俺はそう思えた」
「!」
更にルークの考えを聞き皮肉げな笑みを浮かべるが、マルクトの人間であり死霊使いという異名で呼ばれた人物を迎え入れたい気持ちがあると明かされジェイドは不可能だという考えを多大に込め信じられないと声を荒らげる。しかしピオニーがカーティスという名前の関係ない今ならなんとかなるのではと言ったことに、最大限の驚愕に目を見開き制止した。
「無論そんな簡単な事ではないだろう、向こうも名前を変えただけでは信じることなど出来んだろうしな。しかし本当に贖罪をしたいというならキムラスカに信じられないと言うことを覚悟した上で、ルークに付いていく方がいいんじゃないのかと俺は考えた・・・ジェイドがレプリカ、そしてルークの事を思うならこれからの生涯をルークに費やしサポートをする事でだ。そうする方が俺はただ死を望むよりずっと真っ当な償いかただと思うがな」
「・・・そのようなことが、出来るのでしょうか・・・私に・・・」
「・・・もしそうする気でいると言うなら明日の行動次第で変わるだろうな。そのままグランコクマから出るならもうルークも俺も関知は出来んが、内密にグランコクマに戻られたらそうそう俺達もジェイドを見つけることは出来んだろうな。ジェイドは頭がいいしもう『ジェイド=カーティス』はいなくなる、そんな状況では誰も『ジェイド=カーティス』がまた舞い戻ってきたなどとは思わんだろうからな」
「・・・陛下・・・」
そのジェイドに最後に揺さぶりをかけるよう後ろを向きながらも正確に心を揺らす声を向け、尚且つマルクトに残ってルークに付く事を公然の秘密とする用意があると言い切るピオニーに、ジェイドはただなんとも言えない複雑な表情を浮かべるしか出来なかった。








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