時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue
・・・自身の意に沿わない処分を告げられたジェイドはその後退出を命じられ、謁見の間から出て様々な後片付けへと奔走することになった。
「・・・ふぅ」
・・・それで数日後、ジェイドは人のいない夜の軍部のかつての自身の机の前にて後片付けを全ての終えて一息ついていた。カーティス家との離縁の為の手続きに家の荷物の撤去、軍においての除籍に関する必要な手続きなどマルクトから出ていく為に片付けるべき事を片付け終えて。
「・・・終わったか?」
「・・・ピオニー陛下・・・」
そんな場に何事もなく入ってきたピオニーの姿に、ジェイドは眉を寄せる。
「どうしたのですか、一体・・・?」
「いやなに、後片付けも今日で終わると聞いたんでな。最後に話をしに来た」
「・・・そうですか」
それで訳を問えば最後に微笑を浮かべられながら話と返ってきた事に、ジェイドは何を言うでもなく視線を自然と背けていた。
「・・・不満か、ジェイド?俺がお前に下した結論は?」
「それは・・・」
「今は嘘をつかなくてもいい、正直に答えろ」
「・・・はい。私は全てが終わった時に贖罪を望みました、それこそ自らの命を持って・・・ですがそのきっかけをなくしてしまった、と言うことは私からすれば望むべき事態ではありませんでした・・・自らで命を絶つような事をしてもそれはただの自己満足にしか過ぎませんから・・・だから私はマルクトに、私を裁いてもらいたかった・・・」
ピオニーはその姿に表情を真剣に切り替え正直に気持ちを話せと命じると、ジェイドは明らかに気落ちしたように頭を下に向け絞り出すように本音を漏らす。本意ではなかったと。
「・・・そうか。だがもうこれは決定したことだ。そして明日には『ジェイド=カーティス』はグランコクマ、ひいてはマルクトから出ていってもらうことになる。異論は聞かんぞ」
「・・・はい、それはわかっています」
しかしそこまでの想いを受けて尚真剣な面持ちを浮かべながらピオニーは結論を覆さないと言い切り、ジェイドもただ力ない声を上げる・・・強い諦めを滲ませ。
「・・・ならいい。それとこれはあくまで独り言になるが、聞き終わるまでここで待て。いいな?」
「は?・・・わかりました」
ピオニーは返答に納得して頷くが、いきなり後ろを向いてから独り言を聞けと妙な事を命令しだしジェイドは一瞬呆けかけながらも頷いて返す。
「・・・『ジェイド=カーティス』を国外追放にすることにはしたが、あくまで国外追放にすると決めたのは『ジェイド=カーティス』だったよな?ならカーティスの名を返上した今、『ジェイド=カーティス』と言う人物はいないんじゃないのか?もしそうなら国外追放をする意味はないと思うが・・・」
「!・・・ピオニー、もしや貴方は・・・!」
それでピオニーは途端に考え事をする為に独り言を漏らすかのような芝居を始めるが、その発言にたまらずジェイドは目を見開き詰め寄りかけた・・・その中身が自身を実質的な無罪放免にするのではないか、そう先を匂わせるような中身だったために。
「いや、流石にそれは出来んな。いくらなんでもマルクトの人間はそこまで甘くはない、名前を変えただけで罪人をのうのうと何もせず残すことなどさせはせんだろう」
「・・・っ・・・」
だがすぐにその言葉を首をひねりながら自身で有り得ないと否定したピオニーに、ジェイドは足を止めどういうつもりかと懐疑的な視線を強める。
「とは言えジェイドも頭がいい、うまくすればこのマルクト内に身を隠すことも不可能ではないだろうな。それに・・・ルークも、ジェイドをどうにか助けることは出来んかと言っていたからな」
「っ!」
・・・そして続いた明らかに意図して強調された声に、ジェイドは息を呑んだ。ルークという名を聞き。
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「・・・ふぅ」
・・・それで数日後、ジェイドは人のいない夜の軍部のかつての自身の机の前にて後片付けを全ての終えて一息ついていた。カーティス家との離縁の為の手続きに家の荷物の撤去、軍においての除籍に関する必要な手続きなどマルクトから出ていく為に片付けるべき事を片付け終えて。
「・・・終わったか?」
「・・・ピオニー陛下・・・」
そんな場に何事もなく入ってきたピオニーの姿に、ジェイドは眉を寄せる。
「どうしたのですか、一体・・・?」
「いやなに、後片付けも今日で終わると聞いたんでな。最後に話をしに来た」
「・・・そうですか」
それで訳を問えば最後に微笑を浮かべられながら話と返ってきた事に、ジェイドは何を言うでもなく視線を自然と背けていた。
「・・・不満か、ジェイド?俺がお前に下した結論は?」
「それは・・・」
「今は嘘をつかなくてもいい、正直に答えろ」
「・・・はい。私は全てが終わった時に贖罪を望みました、それこそ自らの命を持って・・・ですがそのきっかけをなくしてしまった、と言うことは私からすれば望むべき事態ではありませんでした・・・自らで命を絶つような事をしてもそれはただの自己満足にしか過ぎませんから・・・だから私はマルクトに、私を裁いてもらいたかった・・・」
ピオニーはその姿に表情を真剣に切り替え正直に気持ちを話せと命じると、ジェイドは明らかに気落ちしたように頭を下に向け絞り出すように本音を漏らす。本意ではなかったと。
「・・・そうか。だがもうこれは決定したことだ。そして明日には『ジェイド=カーティス』はグランコクマ、ひいてはマルクトから出ていってもらうことになる。異論は聞かんぞ」
「・・・はい、それはわかっています」
しかしそこまでの想いを受けて尚真剣な面持ちを浮かべながらピオニーは結論を覆さないと言い切り、ジェイドもただ力ない声を上げる・・・強い諦めを滲ませ。
「・・・ならいい。それとこれはあくまで独り言になるが、聞き終わるまでここで待て。いいな?」
「は?・・・わかりました」
ピオニーは返答に納得して頷くが、いきなり後ろを向いてから独り言を聞けと妙な事を命令しだしジェイドは一瞬呆けかけながらも頷いて返す。
「・・・『ジェイド=カーティス』を国外追放にすることにはしたが、あくまで国外追放にすると決めたのは『ジェイド=カーティス』だったよな?ならカーティスの名を返上した今、『ジェイド=カーティス』と言う人物はいないんじゃないのか?もしそうなら国外追放をする意味はないと思うが・・・」
「!・・・ピオニー、もしや貴方は・・・!」
それでピオニーは途端に考え事をする為に独り言を漏らすかのような芝居を始めるが、その発言にたまらずジェイドは目を見開き詰め寄りかけた・・・その中身が自身を実質的な無罪放免にするのではないか、そう先を匂わせるような中身だったために。
「いや、流石にそれは出来んな。いくらなんでもマルクトの人間はそこまで甘くはない、名前を変えただけで罪人をのうのうと何もせず残すことなどさせはせんだろう」
「・・・っ・・・」
だがすぐにその言葉を首をひねりながら自身で有り得ないと否定したピオニーに、ジェイドは足を止めどういうつもりかと懐疑的な視線を強める。
「とは言えジェイドも頭がいい、うまくすればこのマルクト内に身を隠すことも不可能ではないだろうな。それに・・・ルークも、ジェイドをどうにか助けることは出来んかと言っていたからな」
「っ!」
・・・そして続いた明らかに意図して強調された声に、ジェイドは息を呑んだ。ルークという名を聞き。
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