時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・なんでだ、ルーク・・・何故お前は俺を必要としない・・・?」
「・・・なんでって・・・それは、多分昔の俺だったらお前にすがるしかなかったと確かに思う・・・けどもう今は違う、俺は知ってしまったから・・・いろんな事を。それこそお前の事だけじゃない、師匠の事も含めて様々にだ。なのにそう言った事を全部気にしないでお前の事をただ頼るなんて、今の俺には出来ない・・・俺はもう『ルーク=フォン=ファブレ』として生きるって決めたから」
「っ!」
うなだれたままのガイからのただならぬ想いがこもった問いかけ・・・だがルークは最初こそどう答えようかという感じだったが、次第に真剣な面持ちになってまっすぐに答えた。俺が『ルーク』だからと。その答えにガイはピクッと体を揺らす。
「だから俺はお前に頼らない、頼れないって分かってるから・・・だから「ふざけるな!」・・・!」
「何故お前がそんなことを言う、何がファブレとしてだ・・・お前はそんな使命感に満ちた事なんか言わず、ワガママばかり言うのがお前だろ!」
「「「・・・っ!」」」
それで決定的な事を言おうとしたルークの言葉を怒声で遮ったガイにルークは驚きに止まるが、鬼気迫る様子で続けた言葉にルークだけでなくピオニーとフリングスも唖然としたように目を見開いた。ルークの確かな成長を見ようとしない、むしろ馬鹿であってこそと望んですらいるような発言に。
「そんなお前が俺を必要としないなんて有り得るはずがない!お前は「アスラン!」」
‘ガッ!’
「がっ・・・!?」
「・・・よくやった、アスラン」
更に尚も自分はルークに必要と徐々に近付きながら続けんとしたガイ。だがピオニーが名前を呼んだとほぼ同時にフリングスがガイの腕を取り背後に回って地面に瞬時に押し倒した姿に、ピオニーも怒りを滲ませながら配下の迷いない行動を称賛して立ち上がってガイの前に行き腰を屈める。
「な、何を・・・ピオニー陛下・・・?」
「・・・お前は今までの話は聞いていなかったのか?ルーク殿は様々な事を経験した上で自分の道を決めたんだ。なのにお前はどうだ?そんなルーク殿の事を全く認めようとしない、そればかりか否定までした・・・正直聞くに耐えんかったぞ、お前が自分の価値観だけをルーク殿に押し付ける様は」
「押し付けって、そんな・・・」
ガイは首を上げながら理解出来ないと言った声を上げるが、逆にお前の方が理解出来ないと言う。しかしまだ尚も自分は間違ってないと言わんとする姿に、ピオニーは目を細める。
「・・・ならお前はもしルーク殿に必要とされたとしよう、そして共にキムラスカに帰ってほしいと言われたとしよう。そうしたらお前はこのマルクトを捨ててキムラスカに行くというのか?更に言うならファブレへの復讐を忘れられると言うのか?」
「そっ!?それ、は・・・」
・・・ピオニーから出た質問はガイに衝撃を与えると共に、その発言が意味する事を突き付けた。
ルークは自分を必要とするべき、むしろ必要としなければ許さない。そんなルークに対しての発言から一転マルクトはどうするのかとファブレへの復讐の事を言われて、ガイは瞬時に驚き口ごもった。
「・・・おい、アスラン。もうこれ以上こいつを試す必要はない。とっとと兵士を呼んで牢屋に連れていけ」
「っ!?ピ、ピオニー陛下!待ってください!ルークも何か言ってくれ!」
「・・・陛下、もう部屋に戻ってもいいですか?」
「あぁ、ゆっくり休まれるといい」
「!!」
「では失礼します」
更に試験を失格で終了と言ったピオニーにたまらずガイは待つようにルークにまで嘆願しだすが、ルークはもう一瞥すらせずピオニーの許可をもらったことで頭を下げた後にとっとと退出していく。そうなった事にガイは信じられない物を見るようただその後ろ姿を見ていた・・・















「・・・あの後すぐに牢に入れ処刑と言った流れになりましたが、あの態度はいただけませんでしたね」
「あぁ・・・」
・・・時は戻り現在のグランコクマ。
回想も終わった所で二人共に厳めしく眉を寄せる。








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