時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「久しぶりだな、ルーク・・・」
「あぁ・・・って言いたいけど、今更俺に何の用だよ?ガイ」
「な、何の用って・・・そりゃお前の事を知ったから、お前に会いたいって思って・・・」
「だったらもう用は済んだよな?・・・もう俺は戻るぞ、部屋に」
「えっ?・・・ちょっと待ってくれ、ルーク!」
嬉しそうに再会を喜ぶガイだが、対照的に淡々と話を進めるルーク。ガイはそんな姿に戸惑い、ルークは会話に見切りをつけてさっさと退出しようとするが慌てて声を出して引き留めようとする。
「・・・なんだよ?会いたいだけならもう用は済んだだろ、まだなんかあるのか?」
「ルーク・・・なんでそんなにお前、俺に素っ気ないんだよ・・・?」
「・・・お前、それ本気で言ってんのか?お前が復讐の為にファブレに入り込んでたってのは俺も聞いてんだぞ」
「・・・っ!」
「・・・はぁ」
ルークもその制止に鬱陶しそうに振り向き対応するが、ガイが辛そうに何故と聞いてくるので呆れたようにルークは知ってると告げる。ガイもその声でようやく思い出したようでたまらず息を飲むが、ルークは一つ溜め息を深く吐く。
「・・・なぁガイ、お前俺に何を期待してんだ?」
「な、何をって・・・」
「こう言っちゃなんだけど、昔も今も俺は実権を持っちゃいない。このグランコクマで世話になってからはバチカルにいた時より自由ではあるし俺がちゃんとした勉強を出来るようにピオニー陛下は取り計らってくれたけど、客分扱いである事に変わりはない・・・そんな俺に何を求めてるんだ、お前?」
「・・・っ!?」
・・・ルークの冷たくも確かな成長と非難を含んだ瞳がガイを襲った。昔とは雲泥の差の冷静でいて落ち着いた姿にガイは信じられないと驚愕し、目を見開く。
「・・・お前がどんな気持ちで俺に会いたかったかは知らない。けど俺は今言った通りこのグランコクマじゃ客分扱いだ、ピオニー陛下がどう判断するかが重要だ・・・けどだ、ガイ。それを含めて言わせてもらう・・・もうこれ以上俺に関わろうとするな」
「!?そんな、なんで・・・!?」
「・・・これも聞いたかわからないけど、俺は今年が終わったらキムラスカに帰る身だ。けどお前を俺は連れて帰るつもりはないし、連れて帰れるとは思ってない・・・ファブレに復讐しようと思っている奴を」
「そ、それは・・・」
「・・・折角ピオニー陛下がお前を使用人でって言っても、チャンスをやる形で拾い上げてくれたんだ。だからもう俺に関わろうとするな、使用人としてでもマルクトに仕えろ。それが俺からかつての主従関係があったから言ってやれる最後の命令であり、お前の事を見逃すって意味でかけてやれる情けだ」
「っ!!・・・・・・」
・・・そして続けざまに淡々と、それでいて威厳を持たせた声でルークはハッキリと命令した。自分に関わるな、マルクトで使用人として生きろと。ただ最後に情けと言った辺りはルークも少しは思うところがあったようだが、そんなことには気付けずガイはその言葉に相当な衝撃を受けてうなだれて沈黙した。
「・・・すみません、陛下。見苦しい場面をお見せしました」
「いやいい、こちらこそいきなり呼び出して悪かった。もう部屋に戻りたいなら戻っても構わんぞ」
「はい、失礼します」
「アスラン、部屋まで付いていってやれ。そしてその後に通常の任務に戻れ」
「はっ!」
そんなガイから視線をピオニーに向け頭を下げるルーク。ピオニーはこちらも悪いと返しつつ部屋に戻るよう言えばルークも頭を下げ踵を返せば、すかさずピオニーがフリングスに命を出し、フリングスは敬礼をしてその後に付いていこうとする・・・
「・・・待てよ、ルーク・・・」
「っ・・・なんだよ」
・・・だがうなだれたままのガイからかかった声にたまらずルークは立ち止まり振り返った、その声にただならぬ不気味さを感じた為に。










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